国政報告

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児童虐待、旧姓の通称使用、選択的夫婦別姓について

第196回国会 2018年6月14日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

子供への虐待を防止するため、家裁の判断で親権を最長で二年間停止できるとする民法改正が二〇一一年に行われましたが、子供への虐待は後を絶ちません。先日も、五歳の女の子が親から十分な食事を与えられず、暴行を受け亡くなるという痛ましい事件がありました。二〇一六年度中、全国二百十か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は十二万二千五百七十八件で、過去最多となりました。

民法改正が虐待の防止の一助となっているのか検証する必要があるのではないかということを申し上げ、面会交流と養育費の取決め状況についてお伺いいたします。

二〇一一年の民法改正での親権の一時停止とともに、条文上、離婚後の親子の面会交流、監護費用の分担等が明示され、二〇一二年四月から、その趣旨を周知する方法として離婚届出用紙に面会交流と養育費の取決め状況のチェック欄が設けられました。

チェック状況の集計は法務省がされていますが、昨年の集計結果についてお伺いいたします。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

平成二十九年四月から平成三十年三月までの集計結果につきまして、未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出件数は十一万二千七百四十四件でございます。

まず、面会交流につきましては、取決めをしているにチェックが付されていたものは七万二千二百二十一件でありまして、これは未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出件数の約六四・一%に当たり、前年度の約六三・三%から〇・八ポイント上昇しております。

次に、養育費につきましては、取決めをしているにチェックが付されていたものは七万二千二百二十四件でございまして、これは未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出件数の約六四・一%に当たりまして、前年度の約六二・九%から一・二ポイント上昇しております。

糸数慶子君

それでは、厚生労働省に、面会交流と養育費の取決め状況と実施状況をそれぞれ伺います。

政府参考人(山本麻里君)

お答え申し上げます。

平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査の結果についてでございます。

まず、面会交流についてでございますが、母子世帯のうち面会交流の取決めをしている世帯が約二四%でございまして、そのうち約五三%が面会交流を現在も行っていると回答しております。また、父子世帯につきまして、面会交流の取決めをしている世帯が約二七%で、そのうち約六〇%が現在も面会交流を行っていると回答しております。

続きまして、養育費についてですが、母子世帯のうち取決めをしている世帯が約四三%で、そのうち約五三%が支払を現在も受けていると回答しております。また、父子世帯のうち取決めをしている世帯が約二一%で、そのうち一六%が支払を現在も受けていると回答しております。

糸数慶子君

養育費の支払ですが、まだまだ不十分であり、一人親世帯の貧困の要因にもなっています。

昨日成立いたしました成年年齢引下げの民法改正により、この養育費の支払終期が早まり、更に貧困と格差の拡大につながるのではないかと懸念を申し上げ、次の質問に入ります。

旧姓の通称使用についてお伺いいたします。

いわゆる夫婦別姓訴訟で、最高裁は二〇一五年十二月、女性に偏る不利益を認めながら、これらの不利益は氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るということで合憲判断しました。しかし、通称使用が認められず困っているという声は多く寄せられています。

そこで、旧姓の通称使用についてお伺いをいたします。

まず、内閣府男女共同参画局が、昨年七月、全国銀行協会に対し、銀行口座等の旧姓使用の協力要請を行っておりますが、六月二日付けのしんぶん赤旗によりますと、今資料としてお配りをしておりますが、銀行の対応がまちまちであることが分かりました。

全銀協それから地銀協、第二地銀協、全信協などのほか、ゆうちょ、みずほ、三井住友、三菱UFJ、横浜の各銀行に調査し、その結果を公表しています。みずほ、三井住友、三菱UFJ、横浜の四行は、以前から旧姓名義の口座の利用を認めていると回答し、ゆうちょ銀行は、要請を踏まえ検討している段階で、本人確認の方法を課題として挙げています。

通称使用が認められれば不利益は一定程度緩和されますが、認められなければ緩和どころか不満となり、認められる人との不公平が生じてしまいます。以前、自治体でも認められるところとそうでないところがあることを指摘いたしました。不利益の解消に向け更なる取組が必要だと思いますが、今後の取組について内閣府にお伺いいたします。

政府参考人(武川恵子君)

答えいたします。

平成二十九年六月六日に総理を本部長とするすべての女性が輝く社会づくり本部において決定いたしました女性活躍加速のための重点方針二〇一七におきまして、その前年の重点方針に引き続きまして、旧姓の通称としての使用の拡大に向けた検討を行うということが決められました。

その具体的な取組といたしまして、内閣府におきましては、昨年七月五日に全国銀行協会などの七団体に対しまして、各金融機関の実情に応じて可能な限り円滑に旧姓による口座の開設などが行われるよう協力依頼を行っております。

本年六月十二日におきましても、同様に女性活躍加速のための重点方針二〇一八を決定しておりますけれども、そこにおきましても、銀行口座などの社会の様々な場面で旧姓使用がしやすくなるよう、引き続き関係機関などに働きかけを行うということが決定されております。

社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、働きたい女性が不便を感じ、働く意欲が阻害されることがないよう、女性活躍の視点に立った制度などの整備といたしまして、旧姓の通称としての使用の拡大は重要でございます。旧姓による銀行口座の開設などにつきましても理解が深まるよう、引き続き様々な機会を捉えて周知に努めてまいります。

糸数慶子君

ありがとうございました。武川局長には前向きにお答えいただきました。更なる取組に期待をしたいと思います。

上川大臣は、旧姓使用のこの広がりで本当に解決できるというふうに思っていらっしゃいますか、御見解を伺います。

国務大臣(上川陽子君)

旧姓の通称使用につきましては、戸籍上の氏との使い分けが必要になることなど、通称使用の拡大による対応が進めば全ての不利益が解消されるというふうには思ってはございません。

しかし、内閣府が実施している家族の法制に関する世論調査を見てみましても、平成八年から選択的夫婦別氏制度の導入の是非に関する選択肢の一つといたしまして、夫婦が婚姻前の名字、姓を名のることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字、姓を名のるべきであるけれども、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることにつきましては構わないと、こうした選択肢を設けておりまして、直近の平成二十九年の調査におきまして、その選択肢の選択した方でございますが、二四・四%に上っている状況でございます。

通称使用の希望は社会の中で非常に強いものがございまして、そうした希望の方々に社会生活上の不利益を少しでも解消すべく、より多くの場面で旧姓の通称使用が認められることが望ましいというふうに考えております。法務省におきましても、職員が対外的な文書も含めまして旧姓を通称として使用することができることとしております。

先ほど、政府全体といたしましても、直近の先ほど報告がございましたけれども、すべての女性が輝く社会づくり本部、ここにおきまして、社会活躍推進のための重点方針二〇一八、これが決定されたわけでございますが、様々な社会生活の場面におきまして、この旧姓の通称使用が認められるべく、しっかりと取り組むようにということが明記されたところでございます。

法務省といたしましても、政府が、女性の社会進出また社会の多様化、これらを踏まえて行っている旧姓の通称使用の拡大に向けた取組につきましては、引き続き協力し、努力をしてまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

選択的夫婦別姓について次に伺います。

今般、女性の婚姻適齢を十八歳に引き上げる民法改正案が可決、成立しましたので、一九九六年に法制審議会から答申された四つの柱のうち、婚姻適齢、再婚禁止期間、婚外子相続分規定の民法改正が行われ、いよいよ選択的夫婦別姓が残されています。

上川大臣は、法制審答申、国連からの勧告、国際的な差別撤廃の潮流などを示した上で婚姻適齢引上げのその遅れを指摘した私の質問に対して、いずれも真摯に受け止める必要があると答弁をされました。選択的夫婦別姓についても同じことが言えるのではないでしょうか。

法制審の答申であること、法律で同姓を強制している国が日本以外に見当たらないこと、国連機関から度々勧告されていること、婚姻当事者層の特に婚姻改姓を強いられる若い人たちが圧倒的に賛成し、反対は七十歳以上の高齢者に偏っていることなど、今でも十分に遅きに失しているというふうに思います。

幾ら質問いたしましても、声の大きい少数の方々の顔色をうかがっている法務省に前向きの答弁は期待はできませんので、少し視点を変えて質問したいと思います。

法制審答申のうち、婚外子相続分規定は二〇一三年九月に最高裁の違憲決定を受け、答申から十七年後にようやく法改正されました。再婚禁止期間は、二〇一五年十二月の違憲判決を受け、翌年、答申から二十年も遅れて法改正され、今回の婚姻適齢は法改正まで二十二年も掛かりました。しかも、改正の理由が法制審答申と同じであることが先日の答弁でも示されました。

法務大臣が諮問し、五年の歳月を掛け、様々な観点から審議され答申された内容が、結局司法の判断を待って法改正していることを上川大臣はどう受け止められ、諮問した法務大臣として法制審に対してどのような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。

国務大臣(上川陽子君)

法制審議会に諮問をする立場にあります法務大臣といたしまして、法制審議会において審議された内容及びその結果であります答申につきまして、重く受け止めるべきものであるというふうに考えております。

委員御指摘の期間経過後に、また最高裁判所による違憲の判断を受けた後に法制審議会の答申の内容を反映した改正法案を提出するに至ったことにつきましても、真摯に受け止めてまいりたいというふうに思っております。

糸数慶子君

選択的夫婦別姓が実現しないため、司法に訴えるケースが今年になって相次いでいます。

十八日、来週月曜日には、ニューヨーク在住で州法に従って婚姻した日本人夫妻が婚姻確認を求める訴えを東京地裁に起こします。州法に従って婚姻したのに婚姻関係が戸籍に記載されないことの不利益について、慰謝料を求めるものであります。

個別の裁判について伺うものではありませんが、生来の名前を名のり続けたいために裁判までしなければならないことについて、大臣は様々な意見があるから認められないという見解をお持ちなのでしょうか、伺います。

国務大臣(上川陽子君)

婚姻を考えていらっしゃる当事者の方々の中に、共に氏を変えないまま婚姻をしたいとして裁判手続に訴えていらっしゃる方々がいらっしゃることにつきましては承知をしているところでございます。現に係属している裁判手続についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

これまでも繰り返し述べているところでもございますが、選択的夫婦別氏制度の導入の問題につきましては、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄でございまして、国民の皆様の間にも様々な御意見があるということでございます。世論調査の結果等、また国民的な議論の動向を踏まえながら、引き続き対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

ただいまのような答弁では、提訴、訴訟を提起する人は増えると思われます。上川大臣も法務省も法改正の意思がおありだと私は信じております。反対派に屈することなく、法改正が早期に実現するためにこれからも粘り強く質問していくということを申し上げ、終わりたいと思います。

ありがとうございました。