国政報告

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民法の一部を改正する法律案について ※参考人質疑

第196回国会 2018年6月5日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

参考人の皆様には大変貴重なお話を伺うことができました。大変感謝申し上げます。

私の方からも幾つか質問させていただきます。

まず、前回の委員会でも政府にお尋ねしたのですが、窪田参考人に是非御意見を伺いたいと思います。

日本では、消費者が事業者に比べて非常に弱い立場にあり、被害の救済を得にくい状況にあります。それは、消費者が事業者に比べて情報量や交渉力において不利であり、その因果関係を立証していくということもありますが、根本的な原因としては、欧米に比べて、日本では積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自立性を伸ばす教育が根付いていないため、泣き寝入りしやすいという国民性という特性があるのではないかというふうに思います。

そこで、そのような環境下で、本来行政が積極的に関与して消費者を保護していかなければならないところを、逆に成年年齢を引き下げて、十八、十九歳の若年者に対する保護を失わせるのではという思い、更なる被害者を増やすことになるのではないかというふうに懸念しておりますが、このことについて窪田参考人の御見解をお伺いいたします。

参考人(窪田久美子君)

私も全く同感でございます。

糸数慶子君

ありがとうございます。

それでは、鎌田参考人と河上参考人に伺います。

私は、IRに反対の立場でございます。これは、ギャンブル依存症が引き起こす生活破綻、そして自殺増、さらには治安悪化と関連していることを指摘してきた立場でありますが、その立場に立ちながらも、あえて御質問申し上げたいと思います。

本改正案は、附則第十条のこの規定中、未成年者を二十歳未満の者に改める旨の改正を行っており、いわゆる公営ギャンブルができる対象年齢を二十歳で維持することというふうにしています。

法務省は、成年年齢を引き下げる意義について、十八、十九歳の者を独立の経済主体として位置付け、経済取引の面で言わば一人前の大人として扱い、その結果、若年者の自己決定権が様々な場面で拡大をする、こうした取扱いが新たに成年として扱われる若年者の自己決定権を尊重し、自らその生き方を選択することができるようにするものであるとして、若年者個人にとって大きなメリットをもたらすものであるというふうに述べています。

その一方で、十八、十九歳の公営ギャンブルを禁止し、彼らの自己決定権を制限しています。成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害の拡大への懸念について、消費者教育の充実でカバーできるのであれば、公営ギャンブルの対象年齢についても、若年者にギャンブルの依存症リスクに対する体系的な教育の充実を図って実施することでカバーすれば十八歳まで引き下げることができるという、そのような理屈になるのではないでしょうか。

このことについて御見解を鎌田参考人、河上参考人にお伺いいたします。

参考人(鎌田薫君)

民法成年年齢と比較的近いところにある課題だというふうに思っております。喫煙とか飲酒については、これは全く健康の観点からという別の視点があるので、それに対して、普通の経済活動ではないかというふうにおっしゃると、そういう考え方もあり得るかなというふうには思いますけれども。

ただ、これは、論理必然的にどう決まらなければ法律論として正当でないというふうな性格のものでは私はないというふうに思っていますので、現在その公営ギャンブルが二十歳まで許されないとか、あるいは、あれは学生生徒も禁じられているんですかね、何かそういう規制があるものをわざわざ緩めてやる必要はないじゃないかというだけの問題で、これはある種の政策判断であって、そこを十八に下げないからといって論理矛盾を来しているとは考えておりません。

参考人(河上正二君)

私も鎌田先生と同じような発想ですけれども、恐らく酒、たばこに関しては依存症の問題があるというのと、それから、ギャンブルもまたギャンブル依存症という問題があって、若いうちにそれに対して入り込んでしまった場合のその後の様々な問題を考えた場合に、この段階でそこに参加させることが適切かどうかというやっぱり政策的な配慮があるのだろうというふうに思います。

ですから、ここの部分で矛盾しているという感じは持っておりません。

糸数慶子君

平澤参考人にお伺いいたします。

若年者の消費者被害の危険が高まるということであれば、被害救済の、防止のための相談窓口や啓発機関など、地方消費者行政の役割が極めて重要になってくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

参考人(平澤慎一君)

そのとおりだと思うんです。若年者の被害が増えたときに、それを救済する体制というのが非常に重要になりますし、それが引下げのための施策としても位置付けられなければいけないということになっていると思います。

ところが、現状は、地方消費者行政はなかなか厳しい状況に置かれていまして、平成三十年度、今ですよね、交付金が大幅に減少されたり使い勝手が非常に悪くなっていたりして、地方では消費生活センターの方を縮小したり人員を削減するという、本当に深刻で具体的な弊害が出ています。

そういう方向性と、この、今、民法成年年齢を引き下げて、若年者もそうやって責任を持たせるけれどもちゃんとフォローアップするんだよという方向性にすごくギャップを感じるところです。それは、今、まさに平成三十年度で大幅に下がったものですから、そういう声を各地から弁護士としても聞いたりしまして、そういう中で今施策がされているということ、この法案が審議されているということにすごくギャップとか不安とかいうことを感じるところであります。

糸数慶子君

引き続き平澤参考人に伺いますが、一応、先ほども質問ございましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。

若年者の消費者被害防止についてでありますが、消費者契約法以外の法律の必要性について、マルチ取引、それからエステ、キャッチセールス、インターネット取引などについてのこの規制は不要なのか、伺います。

参考人(平澤慎一君)

今御指摘にあったマルチとかエステとかキャッチセールスとか、これらは特定商取引法で規制がされています。ただし、特定商取引法上のマルチ、マルチは連鎖販売取引といいますけれども、その要件に当たらなければ保護されないわけで、その要件に当たるか当たらないかで随分違うわけです。

だから、未成年者取消し権のようなオールマイティーな権利が非常に重要だということなんですけれども、特定商取引法でそういう形で規制はされていますけれども、それをさらに十八歳、十九歳から未成年者取消し権がなくなるのであれば、更に強化する必要があるのじゃないかというふうに感じています。

例えば、そういう十八歳、十九歳の者についての知識とか経験についての確認をするとか、その確認義務を事業者に課すとか、それを適切に確認していれば取り消せなくする、逆に言えば、適切でなければ取り消せるとか、何かそういうような手当てをする。あるいは、マルチ取引については、やはり先ほどからも幾つか話が出ていますけれども、非常に深刻だし、それから広がりやすいので、もうその勧誘自体を禁止するような何か重い義務をつくるとか、そういうようなことが必要なんじゃないかというふうに考えています。

糸数慶子君

続けて平澤参考人に伺いますが、やはりこの若年者の被害が高額化するのはクレジットの利用やそしてキャッシング利用によるものが多いかと思いますが、その規制については改めてどのように考えるべきでしょうか、お伺いいたします。

参考人(平澤慎一君)

若年者は、先ほども述べましたけれども、お金がないわけですね。勧誘をして何かをさせるというときにはクレジットを組ませる、それによって被害金額が何十万になる。キャッシングもそういう形になります。

割賦販売法とか貸金業法では、それぞれで貸付けとかクレジットを組むについての規制を、要件とかその審査条件を定めていますけれども、それが例外規定があったり、あるいは自己申告でよいとか、そういうものが随所にあります。それを若い人についてはちゃんと厳しく、審査を厳しくするという形を取るべきなのではないかと思っています。

内閣府の消費者委員会の成年年齢ワーキング・グループでもそのような提言がされていますけれども、取りあえずは自主規制でやりましょうというような流れになっているかと思いますけれども、やはり真面目な業者は自主規制でやるかもしれませんが、そうじゃないところも多く出てくるのが常ですから、ちゃんと法令で規制をするということをやらないといけないのではないかというふうに考えています。

糸数慶子君

ありがとうございました。終わります。