国政報告

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大臣所信、久辺三区への直接補助金、米軍関係者が起こした事件、事故の補償について

第196回国会 2018年6月1日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

福井大臣におかれましては、就任以来、幾度となく沖縄を訪れていただきまして、大変敬意を表したいと思います。

前回の質疑もいろいろいたしましたけれども、沖縄におきまして、大臣が就任以来、事件や事故等が起こっております。沖縄担当大臣として、米軍基地問題や沖縄の経済振興等、今後どのように取り組んでいただけるのか、簡潔に御決意を伺いたいと思います。

国務大臣(福井照君)

もう一度最初から整理をさせていただければ、沖縄県の全国に占める米軍専用施設の割合、七〇・三%ということで集中をしてございます。県民の皆様にとって大きな負担となっていることから、引き続きこれを軽減することが最大、重要な課題と認識をしてございます。

他方、経済につきましては、近年では好調に推移しているものの、若年層を中心とした完全失業率が高いことや、リーディング産業である観光業、IT産業の高付加価値化が必要であることなど、いまだ解決すべき課題がございます。

私といたしましては、沖縄の振興を推進する立場で、基地の跡地利用を始め、沖縄振興を総合的、積極的に推進してまいる所存でございます。

糸数慶子君

ありがとうございます。

今後とも、是非、誠心誠意御尽力いただけますようにお願いしたいと思います。

それでは、具体的にお伺いいたします。

沖縄県名護市辺野古の新基地建設現場に近い久辺三区への直接補助金についてお伺いをしたいと思います。

辺野古、豊原、久志の久辺三区へ政府が二〇一五年から直接交付してきた再編関連特別地域支援事業補助金が廃止されるとのことですが、本補助金が県や市を通さず直接地縁団体に交付された経緯と今回廃止となる理由をお聞かせください。

政府参考人(辰己昌良君)

お答えいたします。

再編関連特別地域支援事業補助金、これは、米軍再編によって住民の生活に大きな影響を受ける地域の地縁団体に対して、その影響を緩和し、住民生活の向上等のため実施している補助金でございます。普天間飛行場代替施設建設事業を進めていく上で直接最も大きな影響を受けることとなる久辺三区、辺野古区、豊原区、久志区に対しきめ細やかな措置を行うことが必要であると考え、平成二十七年度に制定したものでございます。

この再編関連特別地域支援事業につきましては、今後、地元のお考えなどを伺いながら適切に対応してまいりたいと、このように考えております。

糸数慶子君

名護市が稲嶺市政下にある間、新基地に最も近い住民だけでも新基地建設推進のために懐柔する目的で政府が無理やり拠出した補助金という感が否めません。

市や県を通さず、地縁団体に国から直接補助金を出すという事例はほかにあるでしょうか。具体的な例をもしあるのでしたら述べていただき、補助金を交付したその理由も教えていただきたいと思います。

政府参考人(辰己昌良君)

お答えいたします。

防衛省として、再編関連特別地域支援事業補助金以外に地縁団体に直接補助金を交付した事例はございません。

糸数慶子君

久辺三区が要望している予算については、政府は市への再編交付金の中に組み入れるというふうにしているようですが、これ、名護市議会の承認が得られない可能性もあるわけですが、それについてはどういう見解をお持ちでしょうか。

政府参考人(辰己昌良君)

久辺三区が御要望されていることにつきまして地元がどのように対応されるか、今後、名護市議会がどういう判断をされるか、これについて防衛省としてお答えする立場にはございません。

いずれにいたしましても、久辺三区の皆様方からいただいている御要望に対してはしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

糸数慶子君

新基地建設の推進のためには補助金交付の在り方もゆがめるという、これは現政権の強権的な在り方が如実に現れた例だと思います。よその地域にはそういうことはないというお答えでございましたが、このような政権で本当に法治国家、民主主義国家と言えるのでしょうか。大変大きな疑問が残ります。

次に、米軍関係者が起こした事件、事故の補償について伺います。

五月二十七日の日曜日、沖縄県名護市において、キャンプ・ハンセン所属の米海兵隊員の運転する乗用車が対向車線にはみ出し、沖縄市の四十五歳の男性の運転するバイクと正面衝突をする事故が発生いたしました。男性は全身を強く打ち、事故の二時間後に亡くなられました。

乗用車を運転していた米兵は公務外であったとの報道がなされています。公務外の場合、被害補償は加害者との示談交渉によりますが、それで解決できない場合、米政府が代わりに支払うことになります。しかしながら、米軍による補償額が少なく、その上、実際に被害者が受け取るまで長時間掛かり過ぎてしまうケースが相次いでいます。米側の支払額が少なく、日本政府にSACO見舞金を求める手続を取るには、被害者は損害額を裁判で確定させなければなりません。裁判を更に行うことは、被害者にとっては大きな負担となります。

二〇〇八年に沖縄市で起きた公務外の米兵二人によるタクシー強盗致傷事件では、被害者のタクシー運転手は、裁判で加害者に命じられた二千八百万円の損害賠償が支払われず、後遺症で仕事もできないという、身体的にも経済的にも非常に大変な中、事件から四年後に亡くなられています。

報道によりますと、被害者は米軍に対して何度も補償金の支払を求めてまいりましたが、支払われず、防衛局に問合せをしても、調整中、後日回答すると繰り返すばかりだったということであります。ようやく米側の回答が昨年あったわけですが、提示された金額はたった百四十五万円、加害者本人や米政府への請求を永久に放棄することが支払の条件だったということです。

信じ難い内容ですが、この件について政府として把握している事実関係を教えてください。

政府参考人(辰己昌良君)

お答えいたします。

お尋ねの事件は、平成二十年一月、沖縄県沖縄市において、普天間基地所属の米海兵隊員二名が、被害者の運転されるタクシーに乗車した際に被害者の頭部を殴打するなどの暴行、これを加えた事案と承知しております。

本件につきましては、昨年の平成二十九年十一月に米側からの示談書を被害者の御遺族に提示させていただいたところですが、金銭面を含めて当事者間での解決に至らなかったことから、被害者側の方が訴訟を提起されているものと承知をしております。

米側の示談書の中に、御指摘の、事件から生ずる全ての請求、要求、訴訟及び訴訟の原因となるものから、同人、米国政府及びその職員、代行者、被用者を永久に免責するとの文言が含まれていることは事実ですが、一般論として申し上げれば、示談の性質とは、被害者側が示談金を受諾するなど、今後の請求権を放棄することが前提であると認識しています。

なお、防衛省としては、米側とのやり取りを通じて、米側の示談書が加害米兵の道義的責任をも免ずるものではないということを確認しているところでございます。

糸数慶子君

被害者救済の観点からいきますと、日本政府は米政府ともっと迅速に補償の手続を進めるべきではなかったのでしょうか。なぜ米側の支払が百四十五万円なのか、その金額の根拠は何でしょうか。また、手続に十年も掛かっているのはなぜか、政府としてその原因をどう見ているのか伺います。

政府参考人(辰己昌良君)

お答えいたします。

米軍等による公務外の事故などにつきましては、原則として加害者が賠償責任を負い、当事者間の示談により解決されることとなるわけでございますが、この示談が困難な場合には、日米地位協定第十八条六の規定により、日本政府が被害者からの補償請求を受け、その内容を審査した結果を米国政府に送付しているところです。

当事者間により解決されない場合の補償金額の算定に当たりましては、国家賠償における算定方法と同様に、事故等と相当因果関係のある範囲で通常生ずべき損害について、まずは防衛省において公正かつ、公正に請求を審査、算定した上で、米国政府に当該請求を送付いたします。その後、米側の方では、この防衛省の算定を尊重した上で、また参考にした上で、米国内の基準に基づいて金額を決定し、慰謝料を被害者側に提示しているシステムと承知しております。

本事案に関しましては、被害者が数年間の通院をされていたということ、症状固定が容易でなかったことや、かかるプロセスの、進めていく上での書類ですが、その確認等に被害者との間で時間を要していたと承知しております。

いずれにしても、慰謝料の提示までに長期間要したことについては重く受け止める必要があると考えており、補償の手続については迅速にできるよう対応してまいりたいと、このように考えております。

糸数慶子君

結果からいたしましても、結局は迅速ではない対応をしたということと、それから、人一人の命が百四十五万円なのか、本当に言葉がありません。

先ほどから地位協定の不平等ということを藤田議員からも指摘がありましたけれども、その辺りを考えていきますと、本当にこれが地位協定の実態であるということを強く指摘をしたいというふうに思います。通告をしておりましたけれども、こういう場合に再度裁判を起こさなければならないという、被害者にとっては大変負担が大きいということを指摘をしたいと思います。

次に、沖縄県のまとめた平成三十年三月発行の統計資料、沖縄の米軍基地及び自衛隊基地によれば、SACO最終報告が出された後の平成九年から平成二十九年までの二十年間で、米軍構成員等による犯罪として沖縄県内で千百四十四件の犯罪が検挙されています。米軍人軍属、その家族が第一当事者の交通事故件数が二千九百三件あり、SACO最終報告以降、この米軍の補償金が支払われた件数はこのうち何件で、総額は幾らでしょうか。そのうち、沖縄県内で発生した犯罪に対し米軍が補償金を払った件数が何件あり、支払われた金額の総額は幾らだったか伺います。

政府参考人(辰己昌良君)

米軍等による公務上及び公務外の事件、事故等について、平成九年度から平成二十九年度までの間に日米両政府から支払われた賠償金及び米国政府から支払われた慰謝料、この合計件数は五千五百七十三件、その金額の合計は約四十七億円になります。このうち、沖縄県内の件数は二千九百六十三件、その金額の合計は約二十億円と承知しております。

糸数慶子君

二〇一六年四月に沖縄県うるま市で起きた二十歳の女性殺害遺棄事件について、今年三月二十二日に開かれた本委員会でもお伺いいたしましたが、再度伺います。

米政府は、当時、米軍属であった被告を、被用者でないと補償の肩代わりを拒否しているということでありました。日本政府は、日米地位協定第十八条六が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属に限定されるわけではなく、間接雇用の被用者にも含まれると理解しているとの見解を示しています。

事件から二年がたちました。政府は補償について米側と協議を行っているとのことでしたが、請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属に限定されるわけではなく、間接雇用の被用者も含まれるという日本政府の見解はその後も変わっていないでしょうか。また、このうるま市女性殺害遺棄事件について、協議の進捗状況も併せて河野外務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(河野太郎君)

日本政府といたしましては、日米地位協定第十八条六が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属のみに限定されているわけではなく、間接雇用の被用者も含まれていると理解をしており、このような日本政府の理解に変わりはございません。

平成二十八年四月にうるま市で起きました女性殺害遺棄事件につきましては、防衛省及び外務省において米側と様々なレベルで協議中でございますが、この補償につきましては、被害者側のプライバシーに関わるものでもあり、現時点で詳細にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

糸数慶子君

時間がありませんので、通告した質問の中で、次回にまたお伺いしたいと思いますが、先ほど藤田議員からもございました。河野大臣が、本当に心を込めてといいましょうか、米軍基地の騒音や土壌汚染被害に関するこの地位協定に関わるこの調査をした結果を見ておりますと、本当にすばらしい活動をされたというふうに評価いたします。

そして、先ほどの御答弁の中で、様々政府の立場になってお答えをしておりましたけれども、やはりそのポストにいらっしゃるわけですから、そのポストにいらっしゃるその権限といいましょうか、職責といいましょうか、それをしっかり業務の中で反映をしていただきたいと思います。

今、様々な質問をいたしましたけれども、沖縄の県民の命を日本の国民の命として本当に考えていらっしゃるのかどうか、御答弁を伺いながら大変疑問に思いました。私も娘が三名いて、孫が七名います。いつどこで本当にこういう二十歳の女性が殺害されたこの事件や事故に遭遇しないとも限らない状況の中で沖縄県民は生活をしています。でも、こうやって事故で亡くなって、その人の補償がたった百四十五万円、しかも長時間放置されて、国は解決する本当の気持ちがあるのかどうか。そういうことを考えますと、県民も日本国民の一人です、本当にこの不平等な地位協定、以前大臣がまとめて調査結果を出されたような状況に一歩でも近づけるように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。