国政報告

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民法の一部を改正する法律案(婚姻適齢、男女差別規定、成年年齢引下げ、シチズンシップ教育)について

第196回国会 2018年5月31日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

まず、婚姻適齢についてお伺いいたします。

一九九六年に法制審議会が答申した民法改正案要綱では、女性の婚姻適齢を二歳引き上げ、男女とも十八歳とすることが適当であるとしました。その理由を二点お伺いいたします。法務大臣に伺います。

国務大臣(上川陽子君)

御指摘をいただきましたが、女性の婚姻開始年齢、これを十八歳に引き上げることにつきましては、平成八年に法制審議会から答申を得ているものでございます。この答申自体は、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることを相当とする理由につきまして言及をしているものでは必ずしもありませんが、答申に至るまでの法制審議会での審議の状況を踏まえますと、次のような理由であったものと考えられるところでございます。

すなわち、夫婦として共同生活を営むに当たって必要とされる成熟度は、社会の複雑化や高度化を踏まえると、肉体的、精神的成熟度よりも社会的、経済的な成熟度をより重視すべき状況になっていると考えられること、また、社会的、経済的な成熟度といった観点からは男女間に特段の差異はないと考えられることなどが考慮されたものと認識をしております。

糸数慶子君

社会的、経済的成熟に男女差はないとされたにもかかわらず、なぜ男女差別規定を二十二年間も改正しなかったのでしょうか、伺います。法務大臣に伺います。

国務大臣(上川陽子君)

委員から御指摘いただきましたこの女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることにつきましては平成八年の法制審議会から答申を得ておりましたが、この答申全般の内容につきまして国民の皆様の間に様々な意見があったこと等から、これを反映した法改正案の提出には至らなかったところでございます。

その後、女性の婚姻開始年齢の引上げについては、法制審議会民法成年年齢部会が平成二十一年に取りまとめた最終報告書におきまして、成年年齢を十八歳に引き下げるのであれば女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げるべきであるとの指摘がなされました。また、成年年齢を十八歳に引き下げることとしつつ、女性の婚姻開始年齢を現行法のまま十六歳とした場合には、女性のみ成年年齢と婚姻開始年齢が一致しないこととなりまして、男女の取扱いに差異が生じると、またこれが際立つということになるというところでございます。

こうしたことも踏まえまして、今回、成年年齢を十八歳に引き下げることに伴いまして、女性の婚姻開始年齢につきましても十八歳にすることとしたものでございます。

糸数慶子君

現在、婚姻最低年齢に男女差を設けている国はあるでしょうか。ありましたら、主な国で結構ですので、お示しください。法務大臣にお願いします。

国務大臣(上川陽子君)

婚姻開始年齢につきまして、諸外国における法律の改廃状況について厳密に把握しているわけではございませんけれども、法務省で把握している限りで申し上げますと、婚姻開始年齢に男女差を設けている国としては、インド、中国などがあるものと承知をしております。

糸数慶子君

我が国のこの婚姻最低年齢に男女差があることについては、今お配りしております資料の中にもございますのでちょっとこれを見ていただきたいと思いますが、国連の人権機関から、二十年前から度々このことを勧告されておりますが、その勧告の理由をお示しいただきたいと思います。法務大臣に伺います。

国務大臣(上川陽子君)

我が国は、平成二十八年三月に国連の女子差別撤廃委員会から、遅滞なく女性の婚姻開始年齢を男性と同じ十八歳に引き上げることを要請するとの勧告を受けております。また、児童の権利委員会、自由権規約委員会からも同様の勧告を受けております。

これらの勧告は、男性と女性とで異なる婚姻開始年齢を定めていることは差別的な取扱いに当たるという理由に基づいてされたものであるというふうに認識をしております。

糸数慶子君

一九九六年の法制審答申のその内容、これは、法制化は、男女平等や差別撤廃の見地から政府が主体的に見直してきたわけではありません。

例えば、婚外子の相続分規定は、二〇一三年九月四日、これは最高裁大法廷が違憲決定したことを受け、法改正をされました。ただし、出生届書に、先ほど石井議員からも、前回も指摘がございましたが、出生届書に嫡出子、嫡出でない子の記載を義務付ける戸籍法改正案は否決され、立法府の差別解消に消極的な姿勢を露呈しました。

また、女性の再婚禁止期間は、二〇一五年十二月十六日、最高裁大法廷が違憲と判決したことから、翌年に法改正がなされました。最高裁が法令違憲と判断したからそれに従わざるを得なかったのであって、婚姻適齢については与党にも明確な反対意見があったわけではなく、世論調査でも男女とも十八歳への賛成が多数を占め、大方の意見や社会的コンセンサスがあったにもかかわらず、また国連から女性差別の撤廃や児童婚の解消が要請されていたにもかかわらず、無視し続けてまいりました。

憲法九十八条二項に、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と条約実施義務を規定していますが、なぜこれに従わなかったのでしょうか、法務大臣に伺います。

国務大臣(上川陽子君)

委員御指摘のとおり、我が国は、国際人権諸条約に基づきまして国連に設置された委員会から、男女で異なる婚姻開始年齢を定めている民法の規定を改正するよう勧告を受けております。委員の御指摘は、この婚姻開始年齢に関する現行の規定が条約に違反しているとの解釈を前提としているものと思われますが、政府といたしましては、現行の規定は男女の心身の発達の差異に対応したものでありまして、条約に違反するものではないというふうに認識をしております。

もっとも、社会経済が高度化、複雑化しておりますし、また今日の社会におきましては夫婦として共同生活を営むのに必要とされる社会的、経済的な成熟度も高度化していること、また社会的、経済的な成熟度といった観点からも男女間に差異はないと考えられること等を考慮して、今回の改正により、男性及び女性の婚姻開始年齢を共に十八歳としたものでございます。

糸数慶子君

上川大臣は、選択的夫婦別姓について、世論の動向、大方の意見、社会的コンセンサスなどを理由に法改正に否定的な答弁を繰り返されています。そうであれば、今回の民法改正も世論調査を行うなど大方の意見を参考にするべきだということを申し上げ、成年年齢の質問に入りたいと思います。

消費者の権利保護がいまだ十分に確立していない環境下で成年年齢引下げを行うことが更なる被害拡大を生む可能性について伺います。

日本では、消費者が事業者に比べて非常に弱い立場にあり、被害の救済を得にくい状況にあります。それは、消費者が事業者に比べて情報量や交渉力において不利であり、因果関係を立証しにくいということもありますが、根本的な原因としては、欧米に比べて、日本では積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自主性を、自立性を伸ばす教育が根付いていないため、泣き寝入りしやすいという国民性というか、特性があるのではないでしょうか。

そのような環境下では、本来行政が積極的に関与して消費者を保護していかなければならないところを、逆に成年年齢を引き下げて、十八、十九歳の若年者に対する保護を失わせるというのは、更なる被害者を増やすことになるのではないかと懸念いたしますが、このことについて法務大臣の御見解を伺います。

国務大臣(上川陽子君)

消費者の被害拡大の防止につきましては、これまでも政府として消費者教育の充実などの施策に取り組んできたところでございます。

改正法が施行される平成三十四年四月一日に新たに成人となる若者たちは、既にこのような充実した消費者教育を受けてきた者となります。さらに、消費者教育につきましては、平成三十二年度までを集中強化期間として更なる取組が進められているものと承知をしております。

また、今国会におきましては、若年者を中心に発生する消費者被害事例を念頭に置きました取消し権、これを追加すること等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律案が提出をされているところでございます。

さらに、本法律案の施行後は、多くの若者は高校三年生の途中で成年に達することになるため、自らの問題であることをより強く意識して消費者教育を受けることになるというふうに考えられます。

法務省としては、以上のような施策を通じまして、新たに成年と取り扱われることになります十八歳、十九歳の者の消費者被害の拡大を防止することは可能であると考えておりますが、今後も、平成三十四年四月一日の施行日までの期間を用いまして、関係省庁としっかり連携をし、更なる環境整備の施策の充実強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

糸数慶子君

実践的な消費者教育を全都道府県の高校で実施し、その結果を踏まえてから本改正案を提出する必要性についてお伺いいたします。

政府は、成年年齢引下げに向け、高校生に対し実践的な消費者教育を実施する必要があるとして、二〇一八年二月に、消費者庁、文部科学省、法務省及び金融庁の四省庁局長会議において、二〇一八年度から二〇二〇年度の三年間を集中強化期間とする若年者への消費者教育に関するアクションプログラムを決定したと承知しております。

このアクションプログラムは、消費者庁が作成している高校生向け消費者教育教材、「社会への扉」を全都道府県の全高校に提供し活用を促すことや、学校教育現場において外部講師の活用を進めるために、消費者教育コーディネーターを全都道府県で配置することを目標とすることが定められています。

その工程表を見ますと、例えば、「社会への扉」を活用した授業を実施する高校の都道府県数は、二〇一七年度が徳島県の一県のみで、二〇一八年度は八県、二〇一九年度が二十五県、そして二〇二〇年度でようやく四十七都道府県の全高校で実施する予定となっています。これでは、民法の成年年齢の引下げの法整備を行う具体的時期は、関係府省庁が行う各施策の効果等の、その若年者を中心とする国民への浸透の程度を見極める必要があるとしていた法制審議会民法成年年齢部会の最終報告書の意見にそぐわないのではないでしょうか。

成年年齢引下げに向けて必要とされるこの実践的な消費者教育が二〇二〇年度に全高校生に実施され、その効果が実際に現れ、若年者を中心とする国民の間に浸透すると思われる一定期間がたってから本改正案を国会に提出するのが本筋ではないかと思われますが、法務大臣の見解を伺います。

国務大臣(上川陽子君)

先ほども申し上げたとおりでございますが、政府としてはこれまで、成年年齢の引下げによって生じ得る弊害につきまして、これに対応するため、若年者の自立を促すような施策や、また消費者被害の拡大の防止に資する施策など、環境整備の施策に取り組んできたところでございます。

また、先ほど御指摘いただきましたアクションプログラム、「社会への扉」、この実践型の教育ということについてもメニューが整い、それについては全国規模でこれを進展していくべく、精力的な取組を進めるべく今対応しているところでございます。この環境整備の施策の取組につきましては、着実な効果を上げてきたものというふうに考えているところでございます。

平成二十七年の公職選挙法の改正によりまして、実際に十八歳、十九歳の者が選挙権を行使するようになったことは、これらの若者に対しまして社会の一員としての自覚をもたらすものであるというふうに考えております。

法務省としても、以上のような諸事情を踏まえまして、現時点において、成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐ前提となる環境は整ったものというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

次に、若年者に対する社会参画教育の取組を充実させてから法案を提出する、その必要性について伺います。

先ほど指摘いたしましたような、積極的に自らの権利を主張し利益を確保する自立した生き方をするための教育に関して、過去の政府答弁では、学校教育においてはこれまでも、社会参加や賢い消費者としての在り方、市民性を育む教育を行ってきたが、今後そうした教育を更に充実させるため、平成二十六年十一月に中央教育審議会に対して学習指導要領の改訂に関する諮問を行い、高等学校に主体的な社会参画の力を育む新科目を設置することについて審議がされ、平成二十九年度に新しい学習指導要領を告示、平成三十四年度から学年進行でそうした科目について実施をしていく旨、述べています。

その具体的な中身、検討の進捗状況について、文部科学省にお伺いいたします。

政府参考人(白間竜一郎君)

お答え申し上げます。

今御指摘のございました高等学校の学習指導要領についてでございますけれども、本年の三月に、中央教育審議会の答申を踏まえまして新しい高等学校の学習指導要領を改訂をいたしたところでございます。

この高等学校の学習指導要領におきましては、自立した主体としてより良い社会の形成に参画することに向けて、現実の具体的な事象を扱ったり、あるいは模擬的な活動を行ったりする必履修科目、これは高校生全員が必ず履修をする科目として公共を新設をしたところでございます。

この科目では、例えば、法や規範の意義や役割、多様な契約、消費者の権利と責任ですとか、あるいは政治参加と公正な世論形成、地方自治、雇用、労働、金融の動きなどに関する主題を設定をいたしまして、社会参画を視野に入れながら現実社会の諸課題の解決に向けて考察をすると、こういった学習を行うことという内容のものを新設したところでございます。

糸数慶子君

民法の成年年齢引下げは二〇二二年四月一日から施行されるので、二〇二二年度から高等学校で新科目が実施されるというのでは、成年年齢引下げに必要な環境整備としての教育の効果を若者に浸透させるどころか、成年年齢引下げと同時にその教育がスタートするということで、先ほどのアクションプログラムよりも対応が後手に回っているのではないでしょうか。再び文部科学省に伺います。

政府参考人(白間竜一郎君)

お答え申し上げます。

ただいま御説明させていただきました高等学校の学習指導要領につきましては、先生御指摘のように、平成三十四年度から学年進行で実施をするということでございますけれども、一方で、私ども、これまでも、主体的な社会参画の力を育てることの重要性、これにつきましては、平成十八年の教育基本法改正ですとか、あるいは平成十九年の学校教育法改正におきまして、既に、主体的に社会の形成に参画をし、その発展に寄与する態度を養うということは規定をされておることを踏まえまして、現行の今実施をしている学習指導要領におきましてもその充実を図っているところでございます。

具体的には、公民科の科目に現代社会というのがございますけれども、ここにおきまして社会参画と関連付けて指導するということになっておりまして、社会参画することによって、社会の維持発展に貢献するばかりでなく、自己実現を可能にすることができることなどを理解をさせる、どのように社会的な役割を担っていくのかということを考察させる、こういった指導が既に行われているところでございます。

また、これに加えまして、平成二十七年六月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立をしておりますけれども、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたということも踏まえまして、高等学校の授業においては現実の政治課題を扱うこと、また、その際の留意点等を示す通知を発出をいたしましたし、また、総務省とも連携をしまして、模擬選挙などの実践的な活動についてのワークシートを盛り込んだこれは副教材、これを作成をしまして全ての高校生に配付をしたりするなど、その充実に既に努めてきているところでございます。

こうしたこれまでも子供たちの社会参画に関する意識の向上等を図ってきているところでございまして、引き続きこういった教育の充実を進めてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

次に、法制審議会民法成年年齢部会が必要と指摘したシチズンシップ教育の取組について伺います。

法制審議会民法成年年齢部会の最終報告書では、成年年齢引下げに伴い、若年者の自立を援助する施策が必要として、具体的内容の一つとして、いわゆるシチズンシップ教育の導入、そして充実を挙げています。

このシチズンシップ教育とは、多様な価値観や文化で構成される現代社会において、個人が自己を守り自己実現を図るとともに、より良い社会の実現のために寄与するという目的のために、社会の意思決定や運営の過程において、個人としての権利と義務を行使し、多様な関係者と積極的に関わろうとする資質を獲得することができるようにするための教育とされています。

これはまさに、先ほど述べた、欧米に比べて日本が遅れている、積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自立性を重視した教育に資するものではないかと思われますが、当時の成年年齢部会の議事録を読みますと、このシチズンシップ教育は、幾つか数えるほどの学校現場で試みているだけで、日本では余り広がっていないとされており、これまでの成年年齢引下げに関する国会審議においても、政府からこの教育についての言及がされていないように思われます。

この成年年齢部会最終報告書で具体的に挙げられたシチズンシップ教育のその導入について、どのような取組をされているのでしょうか、文部科学省に伺います。

政府参考人(神山修君)

お答え申し上げます。

法制審議会民法成年年齢部会最終報告及びこれを受けました法制審議会の平成二十一年十月二十八日の答申によりますと、先生御指摘のとおり、シチズンシップ教育とは、社会の意思決定や運営の過程において、個人としての権利と義務を行使し、多様な関係者と積極的に関わろうとする資質を獲得することができるようにするための教育とされているところです。

文部科学省におきましては、シチズンシップ教育とは呼んではおりませんけれども、主権者として社会の中で自立し、他者と連携、協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせる教育を主権者教育として、その充実を図っているところです。

具体的に申し上げますと、学習指導要領に基づき、社会科、公民科等において指導を行いますとともに、全ての高校生の主権者教育に関する副教材を配付するとともに、若者の政治参加意識の向上を図るため、大学等の入学時におけるオリエンテーションなどを通じて行う投票に向けた学生への啓発活動、子供が地域に主体的に関わる地域行事などの機会の創出や家庭教育支援などを行っているところです。さらに、先ほど御答弁ございましたように、高等学校におきまして、社会に参画する主体として自立することを目指す科目、公共を新設することとしております。

今後とも、成年年齢の引下げも見据え、総務省などと連携しながら、学校、家庭、地域が互いに連携、協働し、社会全体で子供たちの発達段階に応じた主権者教育が実施されるよう取り組んでまいります。

糸数慶子君

法制審議会民法成年年齢部会が必要と指摘したワンストップサービスセンターの取組について伺います。

民法成年年齢部会最終報告書が必要と指摘している若年者の自立支援施策としては、ほかにも、欧米諸国のように、若年者が必要な各種情報提供や困ったときに各種相談を受けられるようなワンストップサービス、ワンストップサービスセンターの設置などが挙げられています。これに関し政府は、衆議院法務委員会での審議の中で、まず、子供・若者育成支援に関する相談に応じ、関係機関の紹介、その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点としては子ども・若者総合相談センターがあり、働くことに悩みを抱えている十五歳から三十九歳までの無業の若者に対しては地域若者サポートステーションがあり、正社員での就職を目指す若者に様々な就職支援を行う機関としてはわかものハローワークがあり、引きこもりの状態にある方の支援はひきこもり地域支援センターがある旨の答弁をしています。

しかし、これだけ様々な相談支援機関があると、逆に若年者が実際困ったときにどの機関へ相談したらよいか分からず、敷居が高い状況に陥っているのではないでしょうか。それではワンストップサービスセンターとは言えないので、若年者が迅速に必要とする相談支援を受けられる機関へたどり着けるように、まず初期の段階ではどこへアクセスしたらよいのか、伺います。また、そのような各相談窓口、支援機関についての周知はどのように行っているのかも併せて法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

政府が設置しております窓口で若年者が必要な各種情報提供を受けたり、あるいは困ったときに各種相談が受けられるものといたしましては、委員御指摘の各種の窓口がございます。まずは、地方公共団体が設けます子ども・若者総合相談センターでございますけれども、平成三十年四月一日現在で八十二の地方公共団体に設置されております。

また、働くことに悩みを抱えている十五歳から三十九歳の無業の若者に対してサポートをいたします地域若者サポートステーション、これも平成三十年度時点で全国百七十五か所に設置されております。

さらに、正社員での就職を目指す若者、若年者を対象に様々な支援を専門的に行います公共職業安定所としてわかものハローワーク等がございますが、平成三十年四月一日現在で、わかものハローワークは全国二十八か所、わかもの支援コーナー等は全国二百六か所にそれぞれ設置されております。

また、引きこもりの状態にある者につきまして支援を行うものとしてひきこもり地域支援センターがございますが、平成三十年四月一日現在で全ての都道府県及び政令指定都市に設置されているという状況でございます。

このうち、子ども・若者総合相談センターは、一般的に子供、若者の育成支援に関する相談に応じる窓口でありまして、ワンストップサービスとして呼ぶことができるものと承知しております。そのほかの窓口も、それぞれ就労、引きこもりといった分野に関するものではございますが、その分野におきましては、一つの場所で様々な相談が受けられるものでございます。

これらの窓口の存在につきましては、これまでも様々な形での周知が図られてきたところでございますが、引き続き、成年年齢の引下げを見据えて、関係省庁と連絡しつつ、更に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

糸数慶子君

成年年齢を引き下げる一方で、競馬、競輪等の公営競技の投票券を購入できる年齢を二十歳とすることの矛盾について伺います。

本改正案は、附則第十条において、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法及びモーターボート競走法の規定中、未成年者を二十歳未満の者に改める旨の改正を行っており、いわゆる公営ギャンブルができる対象年齢を二十歳で維持することとしていますが、その趣旨について法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

御指摘の競馬、競輪等の公営競技の投票券を購入することができる年齢につきましては、青少年のギャンブル依存症へのリスクに関してギャンブルの開始年齢と依存症リスクとの因果関係が明らかにされているとは言えないことや、教育現場の環境整備ができていないことなどから二十歳を維持することとしたものと承知しております。

糸数慶子君

法務大臣は、成年年齢を引き下げる意義について、十八、十九歳の者を独立の経済主体として位置付け、経済取引の面で言わば一人前の大人として扱うことを意味するものでございます、その結果、若年者の自己決定権が様々な場面で拡大をするということになるものでございます、こうした取扱いは、新たに成年として扱われる若年者の自己決定権を尊重し、自らその生き方を選択することができるようにするものであると考えられ、若年者個人にとって大きなメリットをもたらすものであると考えておりますと述べていらっしゃいます。

しかし、その一方で、十八、十九歳の公営ギャンブルを禁止するというのは彼らの自己決定権を制限することになり、矛盾しているのではないでしょうか。改めて申し上げたいと思いますが、私はIR法案などにはもちろん反対をしておりますが、ただ、ここの矛盾点はきちんとお伺いをしたいというふうに思っております。法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

御指摘のとおり、法務省といたしましては、成年年齢の引下げには十八歳、十九歳の若者の自己決定権を尊重するという意義があるものと考えておりまして、特に十八歳という年齢は進学や就職のように人生の節目に直面する年齢でありまして、こうした若者が自らの意思で人生の方向性を選択することができるよう、その環境を整えることには大きな意義があるものと考えております。

これに対しまして、二十歳未満の者の競馬、競輪等の公営競技の投票券の購入が禁止されております趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、青少年保護という点にあると承知しておりますが、公営競技の投票券を購入することができる年齢を引き下げることにつきましては、成年年齢の引下げのような積極的な意義は特段論じられていないように思われます。このため、成年年齢の引下げに伴い、公営競技の投票券を購入することができる年齢をこれに連動させる必要はないものと考えておりまして、これらの年齢を二十歳で維持することとしたといたしましても、成年年齢の引下げと矛盾するものではないと考えております。

糸数慶子君

納得はできませんけれども、また次に伺いたいと思います。

次に、成年年齢引下げが養育費の支払終期に及ぼす影響についてお伺いをいたします。

二〇一一年に、児童虐待の防止を図るため親権の停止制度等を新設した民法改正により、民法七百六十六条に、面会交流、養育費の分担についての例示、子の利益の優先の明確化が盛り込まれました。これにより、養育費の支払については一定の前進が図られたものの、依然として一人親世帯の養育費の受給額は十分な状況になっているとは言えないのではないでしょうか。

二〇一六年度全国ひとり親世帯等調査結果報告、養育費の受給状況についてお示しをいただきたいと思います。厚生労働省に伺います。

政府参考人(山本麻里君)

お答え申し上げます。

平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査の結果でございますが、母子世帯のうち養育費の取決めをしている世帯が約四三%ありまして、そのうち約五三%が現在も支払を受けていると回答しております。また、父子家庭のうち養育費の取決めをしている世帯が約二一%で、そのうち約一六%が現在も支払を受けていると回答しております。また、一世帯当たりの養育費の平均月額は、母子世帯が四万三千七百七円、父子世帯が三万二千五百五十円となっております。

糸数慶子君

現行法下で養育費の支払終期について成年に達するまでと合意されている場合において、成年年齢引下げにより、養育費を支払いたくない親からは十八歳で支払を打ち切ることが予想されます。その場合、受け取る側が裁判などを起こさなければ二十歳までの支払を確保できないという負担をどのように考えるのでしょうか。子供を育てる親はそのような負担を敬遠し、その結果、泣き寝入りを余儀なくされるのではないでしょうか。法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

御指摘のように、この法律案の施行前に、養育費の支払について子が成年に達するまで毎月幾らを支払うと、こういったような文言で合意が調っていた場合には、その合意が成立した時点での当事者の意思を推測することとなると思われます。一般的には合意当時の成年年齢は二十歳でありますので、その当時、成年年齢に関する法改正があり得ることを想定してそれに連動させると、こういう意思を有していたと、こういう例外的な場合を除きますと、成年に達するというのは二十歳に達するという意味であると解釈するのが自然であるというふうに思われます。

また、本法律案の施行前に既に確定している養育費の審判で成年に達するまでといったような支払を命ずるものにつきまして、当事者間でその内容について争いが生じた場合にも、一般的には先ほど申し上げました施行日前の合意に関してお答えしたところが当てはまるものと考えられまして、審判確定時の成年年齢である二十歳までの養育費の支払を命ずる内容であるとの解釈がされるものと考えております。

したがいまして、最終的には裁判所の判断に委ねられることにはなりますが、一般的には成年年齢の引下げが、既にされている子が成年に達するまで毎月幾らを支払うといった合意等に影響を及ぼすことはないものと考えております。

もっとも、養育費の支払の重要性に鑑みますと、両親の合理的な話合いによって養育費が適切に支払われることが子の利益に資するものと考えられますので、できる限り養育費の支払をめぐる紛争が生じないようにすることが望ましいものと考えております。このため、法務省といたしましては、成年年齢の引下げがこのような養育費の支払をめぐる紛争を誘発することがないよう、本法律案の内容を周知する際には、あわせて、養育費の支払終期に関して、先ほど述べました解釈についても周知に努めてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

養育費の支払期間は、専門家、法律家の間では、子が未成年の間ではなく未成熟の間という考え方が言われていますが、それが国民一般の間には共通認識となっていません。裁判所からも成年というのがまず一つの基準として先に出ており、成熟というものが第一の基準として出てくることはありません。養育費の支払期間は子が未成熟の間という考え方を広く周知させる必要があるのではないでしょうか、法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

御指摘のとおり、養育費は、子が未成熟で経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるべきものであり、必ずしも子が未成年である場合に限定されるものではなく、成年年齢の引下げが直ちに養育費の支払期間の終期を早めることにはならないと考えております。もっとも、国民の間に養育費を支払う必要があるのは子が未成年である間に限られるとの誤解がありますと、成年年齢の引下げが養育費の支払期間の終期を早めることにつながりかねないことになりますので、これまでの国会での御審議でもそのような懸念があるとの御意見をいただいているところでございます。

このような事態を防止するためには、御指摘のとおり、適切な周知活動をしていくことが必要であると考えております。法務省といたしましては、本法律案が成立した後には、養育費を支払う必要があるのは必ずしも子が未成年である間に限られるものではないということを含めて、本法律案の施行に当たって必要な情報について広く周知をしてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

成年年齢引下げにより、養育費支払終期は自らの判断で取引ができる成年として扱われる十八歳までという実務が大勢になることが予想され、現状でも養育費支払状況が低迷している中で、一人親家庭などの子供の更なる貧困、格差、機会の不平等などの拡大につながるのではないでしょうか。成年年齢の引下げが一人親家庭などの子供に対する貧困につながることのないよう、どのような支援を行っていくつもりでしょうか、厚生労働省に伺います。

政府参考人(山本麻里君)

お答え申し上げます。

子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、一人親家庭に対する支援を含め、子供の貧困対策に取り組んでおります。中でも、御指摘のように養育費の確保は重要であり、厚生労働省としては、すくすくサポート・プロジェクトに基づき、平成二十八年度から、自治体における弁護士による養育費相談の実施を支援しているほか、自治体の対応が困難な事例については公益財団法人に事業を委託し、直接当事者からの相談に応じるなどの取組を行っています。

さらに、親の就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援など総合的な支援を実施しており、具体的には、自治体の相談窓口のワンストップ化の推進、学習支援等を行うことが可能な居場所づくりの推進、看護師等の資格取得を促進するための給付金の充実を図っているところでございます。

また、児童扶養手当について、平成二十八年八月分から多子加算を増額したほか、今年の八月分からは全部支給の所得制限限度額を引き上げ、その結果、五十万を超える世帯で支給額が増えるといったような支援の充実を図っているところでございます。

今後も、引き続き、養育費の確保対策を含め、一人親家庭に対する支援を着実に行っていきたいと考えております。

糸数慶子君

民法のこの成年年齢引下げに伴い、今回、民法以外の多数の法律の年齢条項が十八歳に変更又は二十歳に維持されることになっています。しかし、今般提出された法案を見ただけでは、どの法律がどのように変わるのか等が全く分かりません。また、それらの法律を所管する府省庁は多岐にわたっているため、各法律の年齢要件を変更又は維持した趣旨についても、それらの法律を所管する府省庁ごとの検討となっており、私たち国会議員にとっても分かりづらいと言わざるを得ません。このような所管府省庁が多岐にわたっている各法律の年齢条項の周知などについては、かなり通告はいたしましたけれども、時間が参りましたので、引き続きまた次の委員会で質問させていただきたいと思います。

以上で終わります。ありがとうございました。