国政報告

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選択的夫婦別姓と入管の収容者の扱いについて

第196回国会 2018年5月15日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

選択的夫婦別姓と入管の収容者の扱いについて伺います。

まず、選択的夫婦別姓についてお伺いいたします。

五月十日、第二次となる別姓訴訟が提起されました。名前を名のり続けたいだけなのに裁判までしなければならない状況を、立法府にいる一人としてふがいなく、また、法制審答申から二十二年を経ても立法化できない、このような状況を何とか変えていきたいという思いで、繰り返しになりますが質問させていただきます。

上川大臣は、四月十二日の本委員会で、「選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、我が国の家族の在り方に関わる重要な問題であるということから社会的なコンセンサスを得た上で行う必要がある」と答弁をされました。正直申し上げ、何を意味するのか理解できませんでした。

まず、家族の在り方に関わる重要な問題が憲法で保障された個人の尊厳より重要ということなのでしょうか。上川大臣にお伺いいたします。

国務大臣(上川陽子君)

委員御指摘のとおり、私は、四月十二日の法務委員会におきまして、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして、我が国の家族の在り方に関わる重要な問題であることから社会的なコンセンサスを得た上で行う必要があるという答弁をしたところでございます。

この答弁につきましては、御質問にございました、家族の在り方に関する問題、これは憲法上の個人の尊厳よりも重要であると、こうした趣旨を含むものでは全くございません。

また、平成二十七年十二月の最高裁判決におきまして、現行の夫婦同氏を定める民法第七百五十条の規定は憲法に違反しないという判断が示されておりまして、法務省といたしましても同様の理解をしているところでございます。

私も、個人を尊重するということは極めて重要であるというふうに考えております。その上で、選択的夫婦別氏制度を導入すべきか否かにつきましては、我が国の家族の在り方に関わる重要な問題でございます。個人が尊重されるということから直ちに結論を導くということができるものではないというふうにも考えているところでございます。

糸数慶子君

先ほども申し上げましたけれども、やはり今、この法制審の答申から二十二年経ても立法化できないということ、それから、これは個人の自由で選ぶ権利ということを与える、それがなぜできないのか。

これまでの答弁の中でも、社会的なコンセンサスを得た上でということを答弁をされました。世論の動向ということもおっしゃったんですけれども、これまでの答弁の中から、やはりこの社会的なコンセンサスを得た上でというのはその世論の動向とどう違うのか、お答えいただきたいと思います。

国務大臣(上川陽子君)

私が、四月十二日におきましてのこの法務委員会で、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして、社会的なコンセンサスを得た上で行う必要があると答弁をしたところでございます。このことにつきましては、国民の皆様が、大方の御理解を得て行うことというのが必要ではないかと、こういう意味で申し上げたところでございます。

その意味では、社会的なコンセンサスが得られているかどうかを判断する上で、世論調査の結果としての世論の動向につきましては重要な要素であるというふうに思っているところでございますが、選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、賛成する側、また反対する側のそれぞれが論拠とするところなども総合的に考慮しながら、なお慎重に検討することが重要であるというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

夫婦同姓しか認めない現行制度は、法律婚を諦めさせ事実婚に向かわせるわけですから、法律婚の推奨という婚姻制度の目的に逆行するのではないかという私の質問に対して、重く受け止めているというふうに答弁をされながら、様々な考え方を踏まえて総合的に検討すべきものと、これまた抽象的で分かりにくい答弁をされました。

具体的な不都合や不利益を示した上で法改正を求めている当事者に対して、様々な意見があるなどと答えていらっしゃるのは極めて不誠実であり、法律を所管する法務大臣の答弁としては不適切であるというふうに申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。

次に、入管について伺います。東京入国管理局でのトルコ人男性への処遇についてお伺いいたします。

二〇一八年四月二十二日の共同通信配信で、「入管が症状放置隠しで虚偽記載か トルコ男性を一カ月受診させず」という見出しの記事がありました。この記事では、東京入国管理局で、昨年、トルコ人男性被収容者が虫垂炎の手術の後、患部の痛みを訴えたのに対して、職員が約一か月間診療を受けさせず放置したこと、その上で、診療に関する手続文書に虚偽の発症日を記載した疑いがあるということが書かれています。

これに対しまして、上川大臣は四月二十四日の閣議後の記者会見で、入国管理局に事実関係について確認させたとのことで、手術後の経過の過程の中で医師の診療及び投薬の確認を都合二回受けさせており、男性からの診療申出に係る書面について、虚偽記載はなかった旨の説明をされております。

これに関しましてまずお伺いいたしますが、入国管理局の収容施設では、被収容者が体調を崩して医師の診察を希望する際、診療申出書に申出を書かせることになっているとのことですが、この申出書の用紙は収容スペースのどこにあるのでしょうか。被収容者が手を伸ばせばすぐに取れるところにあるのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

被収容者申出書は事務所で保管しておりまして、被収容者の申出内容を前もって確認した上で、当該申出書を本人に手渡すということになっております。

糸数慶子君

この被収容者は、六月三日の朝、腹部の痛みを職員に訴え、翌四日午後に緊急手術のために入院し、一週間後の十一日に退院し、その後、少なくとも六月後半から七月初めに本人が腹部の痛みを訴えていることが代理人や支援者に確認されています。しかし、診療前日の七月二十三日付けの診療申出書まで、この申出書には一昨日から腹部に痛みがある等と記載されているのですが、術後、退院から七月二十三日付けの診療申出書まで、手術痕の痛み、うみ、吐き気に関する訴えが記載された診療申出書は存在しないとして開示されていないとのことであります。

手術後の痛みを訴える被収容者に申出書を手渡されるまで一月ほど掛かっているようですが、なぜ診療申出書を被収容者の手の届くところに置いておかないのでしょうか。被収容者は医師の診療を望むときに申出書に記載する自由すらないということなのでしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

まず、お尋ねのあった事案についてでございますが、手術後一か月を経過するまで何ら医師の診察を受けさせず、また申出書を手交するまでに一か月も掛かったという事実はないということをまず申し上げさせていただきます。

その上で、全国の入国管理局の収容施設では、被収容者から何らかの申出があります場合には、前もってその内容を聴取した上で被収容者申出書を手渡し、被収容者が必要な事項を記入した後に提出を受け、その申出内容への対応を個別に判断しているところでございます。

診療の申出につきましても同様の流れになりますが、一部の地方入管では、あらかじめ本人から訴えのあった体調不良の状況でありますとか疾病に係る症状を看守勤務者が具体的に聞き取り、その内容を記録化いたしまして、医療従事者と共有いたしまして、診療日時の調整を図った上で被収容者申出書を交付するという取扱いになっているという例もあります。その申出内容によりましては、被収容者の最初の申出から被収容者申出書を交付するまでにしたがいまして一定の期間を要するということもございますが、そのような場合でございましても、被収容者の個々の状況に踏まえて適切に対応しているものでございます。

もっとも、御指摘のございましたように、被収容者の申出時期等をより明確にすべきであるという観点から、被収容者が最初に診療希望を申し出た時点で速やかに申出書を手交すべきであるという御意見も頂戴しているところでございますので、被収容者の医療アクセスを改善するという見地から今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

今、私の質問に対してそういう事案はないということでありますが、大臣はこの入国管理局に事実関係について確認させたとのことで、診療申出に係る書面について虚偽記載はなかったとおっしゃっていらっしゃいますが、この件について入国者収容所等視察委員会による調査は予定しているのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

今お尋ねのございましたトルコ人の方の案件につきましては、五月の八日、本月八日に開催されました東日本地区入国者収容所等視察委員会におきまして、当局側から事案の概要を報告しております。今後の対応につきましては、同委員会において適切に判断されるものと考えているところでございます。

糸数慶子君

先ほども質問がございました、有田委員からもございましたけれども、二〇一八年四月の十三日に、茨城県牛久市の東日本入国管理センターでインド国籍の方が自殺したと見られるというその報道についてお伺いをしたいと思います。

この事件の調査はどのようになっているのでしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

これまでに、警察からは検視結果についての説明を受けまして、本人が居室などに残していた所持品を調査するとともに、当時において看守業務に当たっていた入国警備官から聴取しております。その後も、同じ居室に収容されていた被収容者でありますとか本人の関係者などから順次事情を聞くなどして、自殺の理由、動機について鋭意調査を進めているところでございます。

糸数慶子君

この件に関しまして、視察委員会による独自調査はされないのでしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

ただいまお尋ねのございましたインドの方の事案につきましても、本月の八日に開催されました東日本地区入国者収容所等視察委員会におきまして当局の方から事案の概要を報告しておりますので、今後の対応につきましては同委員会におきまして適切に判断されるものと考えているところでございます。

糸数慶子君

私は、二〇一四年の六月の五日に当委員会でこのような質問をいたしました。

次に、入管の視察委員会の事務局は入国管理局が担当しているということでありますが、二〇一三年の六月二十八日、国連の拷問等禁止委員会は、日本政府に対して、入国者収容所等視察委員会に対して、収容施設を効果的に監視するための十分な資源と権限を与え、収容されている移民又は庇護申請者からの不服申立てを受理し、審査できるようにするため、その独立性、そして権限及び有効性を強化することとの勧告を出しております。この勧告を受けて法務省ではどのような検討がなされているのか、お伺いしますというふうに質問いたしました。

これに対しまして法務省は、拷問禁止委員会の指摘も十分尊重しつつ、視察委員会の委員の方々の御意見も伺いながら、同委員会がその役割を適切に果たすことができるよう運用の確保に努めてまいりたいと考えておりますというふうに答えていますが、今の回答を聞いておりますと、視察委員会がその役割を適切に果たしているようには思えません。視察する側の事務局を担っているのが視察される側と同じ入国管理局というのでは、公正かつ効果的な視察ができないのではないでしょうか。

そして、視察委員会の制度を改め、独立した組織で行うべきだと思いますが、法務大臣の御見解を最後にお伺いしたいと思います。

国務大臣(上川陽子君)

先ほど入管局長から答弁をいたしましたとおり、様々な案件につきまして、今回の案件につきましても視察委員会において報告をし、また適切に判断していただくと、こうした流れになっているところでございます。

委員御指摘のとおり、平成二十五年六月に国連の拷問禁止委員会、こちらの方から入国者収容所等視察委員会の独立性、また権限及び有効性、この強化については指摘をいただいたところでございます。

この委員の任命につきまして法務大臣が行うということになっておりますが、その人選に当たりましては、委員が特定の者に偏らないようにするとともに、選任方法が恣意的なものにならないようにするため、公私の団体から推薦を得て行っております。また、視察委員会の運営も独立した形で行われているということでございまして、同委員会の第三者性は十分に担保されているものというふうに考えております。

また、収容施設の視察、また被収容者との面接に当たりましては、入国者収容所長等は必要な協力を行わなければならないというふうにされておりまして、被収容者が処遇に関して、また意見、また御提案、こうしたものを書面で投函できるための措置として、提案箱におきましては原則として委員が開封するということとされているなど、委員が直接、被収容者の意見等を把握できるように運用されているところでございます。

さらに、視察委員会からの御意見につきましては、入国者収容所長等におきまして、できる限り施設運営に反映させるようにしっかりと配慮をし、対応可能なものから順次措置をしているところでございます。

法務省といたしましては、現行制度の下でも視察委員会が独立した立場で効果的な活動をできるようにしっかりと考えておりまして、こうしたことを更に適切な運用ができるように努めてまいりたいと思います。

引き続き、拷問禁止委員会の御指摘も十分に尊重しながら、視察委員会の委員の方々の御意見もしっかりと伺ってまいりたいというふうに思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。終わります。