国政報告

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"在日朝鮮人、沖縄県民に対するヘイトスピーチ、無戸籍問題、旧姓の通称使用、女性差別撤廃条約選択議定書"

第192回国会 2016年10月25日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

まず、二十日のこの法務委員会でお尋ねいたしました在日朝鮮人と沖縄県民に対するヘイトスピーチについて、明確な御答弁をいただいておりません。改めてお伺いをします。

核実験等の後に在日朝鮮人へのヘイトスピーチや嫌がらせが繰り返されていることについてどう対処されるのかということと、さらに、沖縄県民への土人、そしてシナ人発言に見られるこのヘイトスピーチの再発防止の具体策について、再度お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

まず、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動はあってはならないものと考えております。そして、先般の沖縄の件につきましては、御指摘の警察官の発言につきまして事実の詳細が明らかではないので、これがヘイトスピーチであるか否かはお答えはしかねるものでございますが、警察官が不適切な発言を行ったことは大変に残念であるとの官房長官のコメントと同じく、大変残念であり、許すまじき行為だと、このように考えております。

糸数慶子君

前回もお伺いいたしましたけれども、具体的なその再発防止のために何をなさるのかということをお伺いをしております。再度お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

取組についてのお尋ねでございますので、一般論として申し上げますと、不当な差別的な言動というのはいかなる者に対してもあってはならず、人権擁護上の問題があると、このように考えております。

このような言動をなくすためには、地道で粘り強い啓発活動を通じまして社会全体の人権意識を高め、こうした言動が許されないことであるとの認識を醸成することが必要かつ重要なことであると、このように考えておりまして、法務省としても、不当な差別的言動の解消に向けて各種の人権擁護活動に引き続き努めてまいりたい、このように考えておる次第であります。

また、在日韓国・朝鮮人に対する差別的発言につきましては、ヘイトスピーチの解消に向けた法律が施行されたことを踏まえまして、法務省人権擁護局におきましては、ヘイトスピーチが許されないことと、この法律の施行に関します周知広報活動を行っているほか、関係省庁や関係地方公共団体出席の下、ヘイトスピーチ対策専門部会を開催するなど具体的な取組を進めておりまして、今後も相談体制の整備、啓発活動など、その解消に向けた取組を一層推進していきたいと、このように考えておる次第であります。

糸数慶子君

次に、無戸籍問題についてお伺いいたします。

二十日の法務委員会で、無戸籍の要因とされる民法七百七十二条の規定のどこに問題があるのか、法制審議会で議論する必要があるのではないかとの私の質問に対しまして、この制度が存在することによってもたらされている子の利益は全体として見ますと非常に大きいと答弁されました。

私、推定制度をなくせと言っているわけではなく、この無戸籍の要因となっている規定の見直しが必要であり、法制審議会で議論すべきだと言っているわけです。政府参考人も、改正の要否や改正する場合の制度設計の在り方などについては様々な考え方があり得るとお答えになっていらっしゃいます。

二〇一〇年頃に議員立法の動きもありましたが、やはり私は、民法というこの基本法は法制審議会で十分に時間を掛け様々な観点から御議論をいただくのがよいというふうに思いますが、再度、政府参考人、御答弁を伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

無戸籍の方が生ずる原因は様々なものが考えられるわけでございますが、法務省においては全国の市区町村を通じて無戸籍者に関する情報を集約するという取組を行っておりまして、その結果によりますと、民法七百七十二条により嫡出推定が及ぶ場合に、戸籍上、夫又は前夫の子とされるのを避けることを理由として出生届を提出しないとしている者が多いというのが現状でございます。

しかし、現行の嫡出推定制度は、法律上の父子関係を早期に確定し、家庭の平和が脅かされる事態を防ぐことによって子の利益を図るものでありまして、このような制度には合理性があるものと考えております。また、平成二十六年七月十七日の最高裁判所判決も嫡出推定制度は合理的なものであると判示したものと承知しております。

この点に関しまして、無戸籍者問題の解消などのために、嫡出否認の訴えの提訴権者の範囲など、現行の嫡出推定制度を見直すべきという意見があることは承知しております。もっとも、この問題は法律上の父子関係をどのように定めるかという家族法の根幹を成すものでありまして、改正の要否などにつきましては様々な考え方があり得るところでございまして、見直しに向けた議論についても慎重な検討が必要であるものと考えております。

法務省といたしましては、まずは、無戸籍者の問題については、今後とも引き続き実態の把握に努めますとともに、手続案内を懇切に行うなどして無戸籍者の状態の解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

裁判の結果もございますけれども、やはり法制審議会で十分に時間を掛けながら様々な観点からの議論をしていく、そのことを再度求めたいと思います。

次に、旧姓の通称使用についてでありますが、二十日の法務委員会におきまして金田法務大臣は、選択的夫婦別姓を可能とする民法改正について、我が国の家族の在り方に深く関わる問題であり、国民の間に様々な意見があるので、国民的な動向を踏まえながら慎重に対応していくと否定的な見解を示す一方で、旧姓の通称使用が広がることは望ましいというふうに答弁をされました。

法改正されないために、法律婚を断念し事実婚をしている夫婦や、やむを得ず通称使用している方など本当に困っている方々が、政府が我が国の家族の在り方に深く関わるとして法改正しないことを納得されるのでしょうか。大臣のおっしゃる家族の在り方というのは、家族のあるべき姿ということなのでしょうか。同姓夫婦、別姓夫婦、別姓家族になることで何か困ることがあるのでしょうか。

家族は今多様化しています。事実婚夫婦は親の一方が子供と別姓ですし、再婚相手の連れ子と養子縁組をしなければ親子で違う戸籍名の家族となります。民間調査によりますと、働く既婚女性の四人に一人が通称を使用しております。その通称使用の親と子供は別姓ですが、戸籍名かどうか外部からは分かりません。分かるのは家族で違う名前を名のっているということであります。このように複数の名前を持つ家族が現実として受け入れられています。

夫婦だけの家族、夫婦と子供の家族、シングルの親と子供の家族、ステップファミリー、さらに独り暮らしなど家族の形も多様化しておりますが、金田大臣、我が国の家族の在り方に深く関わるとは、これは民法を改正しない理由にはならないのではないかと思います。納得できる御答弁を、大臣、お願いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

ただいまの御指摘に関しましては、仮に選択的夫婦別氏制度、別姓、別氏制度を導入しました場合には、夫婦の双方が婚姻後も自らの氏を称することができるという新たな選択肢が設けられることになるわけでありますけれども、それにとどまらず、夫婦の間に生まれてくる子が必ず夫婦の一方と異なる氏を称することになるということになろうかと思います。その是非を含めて、国民的な議論の動向を踏まえながら、国民の大方の理解を得て行う必要があると、このように私は考えて申し上げておりました。

もっとも、旧姓の使用が認められないために特に女性は社会生活上の不便を被っているというものと認識しておりまして、こうした社会生活上の不便につきましてはできる限り解消をしていくという必要があると思っております。

したがいまして、法務省としてもこうした観点を踏まえまして、旧姓の通称使用の拡大に向けました政府全体の取組に必要な協力を行っていくということを申し上げたいと思います。

糸数慶子君

今の御答弁は、全く私の質問に答えているとは思えません。法改正しないその理由を世論に上げて国民に責任転嫁することは、法務大臣の職責を果たしているとは思えません。改めてまた質問させていただきたいと思います。

次に、旧姓の通称使用が広がることは望ましいとの見解を示されましたけれども、どの程度の広がりを想定しているのか、伺いたいと思います。また、戸籍以外で通称使用が広がった場合、民法上の氏がほとんど登場しないということもあり得ると思いますが、その場合、民法上の氏とは何なのかということになりますが、法務省はどのように整理されているのか、お伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。旧姓の通称使用というものが行われてまいりますと、戸籍上の氏、今お話ありました民法上の氏とその通称との関係をどう整理するかという使い分けが必要となる点は委員御指摘のとおりでございます。

また、旧姓の名義での銀行口座の開設などについて、例えば犯罪への悪用を防止するためということで一定の制約が課される場合もあるというふうに考えられるわけでございまして、通称使用の拡大による対応で社会生活上の不利益が全て解消されるわけではないものというふうに認識しております。

もっとも、旧姓の使用が認められないことによりまして特に女性が被っております社会生活上の不便をできる限り解消する必要があるということから、法務省といたしましても旧姓の通称使用の拡大に向けた政府全体の取組に必要な協力をしてまいりたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

角度を変えて別の質問をいたします。次に、女性差別撤廃条約選択議定書についてお伺いいたします。この条約については外務省が所管しており、私も外交防衛委員会で度々質問してまいりましたが、内容には法務省が大きく関わっておりますので、法務委員会でもこれまでの経緯を簡単に言及し、質問させていただきます。

一九七九年に外務省、法務省、内閣府等の関係省庁が参加する個人通報制度関係省庁研究会が設置されました。政府が懸念する司法権の独立を侵害するおそれについては、二〇〇三年、第三回日本政府報告書審査において委員が、選択議定書の批准は司法権の独立を強化し、国際法を使う正当性を強化することになると指摘しております。実際、百六か国が選択議定書を批准しており、当然ながらそれらの国々は司法権が独立しているものと承知しております。

選択議定書が発効して以来、二〇一四年十月末までに四十件の見解が示され、権利侵害ありとされたのは十五件で、その多くは性暴力やリプロに関するものでありました。

委員会は、二〇〇三年の第三回政府報告書審査から二〇一六年二月の第七回、第八回政府報告書審査まで、選択議定書を批准するよう勧告をしています。選択議定書の批准を求める国会請願は二〇〇一年の第百五十一回国会から提出され、参議院では審査未了はあるものの、不採択とされたことはありません。二〇〇一年の第百五十三回国会において初めて請願が採択され、翌二〇〇二年の第百五十四回国会の七月三十一日の外交防衛委員会においては、当時の武見敬三委員長が外務省に対し、請願が要請する条約の批准に向けて、内閣による検討の状況、問題点、検討終了の目途及び条約の国会提出時期について説明を求める異例の事態となりました。 今年の通常国会で、参議院では、選択議定書批准を求める請願が二十件目の採択となりました。会期末の請願審査では、外務省の審議官による出席を要請し、請願が要請する条約の批准に向けて、内閣による検討の状況、問題点、検討終了の目途及び条約の国会提出時期について聴取したところです。

外務省は、今年八月二日に林陽子委員長を講師に研究会を行ったと聞き及んでおりますが、そこで法務省に伺います。現在、法務省としてどのような取組を行っているのか、検討状況を伺います。

委員長(秋野公造君)

簡潔にお答えください。

政府参考人(菊池浩君)

お答えいたします。女子差別撤廃条約選択議定書は個人通報制度を定めるものでございますけれども、個人通報制度は条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であると考えております。他方、個人通報制度の導入に当たりましては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無でありますとか、個人通報制度を受け入れる場合の実施体制などの検討課題があると認識しております。

これらの検討課題を踏まえますと、個人通報制度の導入は法務省だけで検討できる問題ではないと考えているところでございます。いずれにいたしましても、引き続き各方面の意見を伺いつつ、個人通報制度の導入の是非について真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

終わります。