国政報告

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金田法務大臣の所信表明、難民認定制度、無戸籍問題、選択的夫婦別姓制度、在日朝鮮人、沖縄県民に対するヘイトスピーチ

第192回国会 2016年10月20日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

まず、認定NPO法人難民支援協会が今年の沖縄平和賞を受賞いたしました。これは、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って国際平和の創造に貢献するために沖縄県が創設した賞であります。

難民問題に取り組んでまいりました私にとっても励みとなるもので、引き続き積極的に取り組む決意を表明させていただきまして、大臣の所信表明の中から御質問させていただきたいと思います。

さて、先日の金田法務大臣の所信表明の中で、適正かつ迅速な難民の保護に関する言及がございました。難民申請者が急増する一方で、就労を企図した者も多く、真の難民の迅速な庇護に支障が生じかねない、一方で、世界の難民問題も深刻化しており、これらを踏まえて我が国の難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいりますと述べていらっしゃいますが、適正かつ迅速な実施とはどういうことか、大臣の御見解を伺います。

国務大臣(金田勝年君)

我が国の難民認定制度をめぐる状況というのは、委員御承知のように、ここ数年における申請数は非常に急増している。そして、申請内容の多様化、さらには就労、定住や、送還忌避、送還されるのを免れることを意図したと思われる濫用・誤用的申請の存在がございまして、急激に変化をしてきております。

そうした状況の中で、法務省におきましては昨年九月、難民認定制度の運用の見直しを行いまして、難民の蓋然性が高い案件なのか、逆におよそ難民の可能性がない案件なのかといった案件の内容を早期に見極めて、それに応じた審査を実施するというふうにしたところであります。これによりまして、まずは真に庇護を求める者を適正かつ迅速に難民認定をしていく。そして、その保護に努める一方で、濫用・誤用的申請を抑制することができるように目指しているところであります。

法務省としましては、今後ともこうした取組を通じまして真に庇護を求める者を適正かつ迅速に難民認定をしてその保護に努めてまいりたい、このように考えている次第であります。

糸数慶子君

平成二十三年にエチオピア人が裁判を経て難民認定された際、法務省入国管理局が総務課長名で地方入国管理局長向けに出された難民認定手続における客観的情報の取扱いについてという通知文を出したわけですが、大臣は御存じでしょうか。

国務大臣(金田勝年君)

委員ただいま御指摘なさいました通知の内容につきましては、難民認定審査に携わる者が基本として心得るべき内容であると、このように認識をいたしております。

糸数慶子君

この資料の一ページには、申請者の難民該当性を適切に判断するためにとあります。読み上げて御紹介したいと思いますが、申請者の難民該当性を適切に判断するためには、一、申請者の出身国における危険性についての客観的情報を取得しておくこと、二、難民調査官が前記情報の内容を正確に把握しておくこと、三、申請者の個別的事情について適切に事実認定すること、四、申請者の個別的事情を出身国における危険性に照らし合わせて、申請者の迫害のおそれの有無及びその程度を適切に評価することが必要不可欠なこととされておりまして、そのいずれかを欠いた場合には難民該当性を適切に判断することは困難となりますというふうにあります。

この部分は、まさに適正かつ迅速な難民の保護の適正に当たると思いますが、大臣の御認識を伺います。

国務大臣(金田勝年君)

ただいま委員の御指摘のとおり、法務省では、適正な難民の認定のために、政府機関の報告、そして出身国に関する報道、それから国連難民高等弁務官事務所、UNHCRが保有します情報といった、申請者の出身国情報や国際情勢に関します情報を幅広く収集をして難民認定審査の際に参照をしているところでありますし、また難民調査官、これ百四十人いますけれども、この難民調査官が申請者の出身国情報等を適切に活用できるように、UNHCRの協力も得ながら研修を実施しているといったような、この通知にあるとおり、申請者の出身国に関する客観的情報を的確に取得をし、その内容に基づいて正確な事実認定を行う、そして迫害のおそれの有無等を適切に評価をするように努めているところでありまして、こうした運用を今後も徹底していきたい、このように考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、無戸籍問題について伺います。無戸籍の実態調査の必要性については、私も二〇一四年五月二十七日に当委員会で質問させていただきました。その後、法務省は実態調査をされ、無戸籍解消に向けた取組がなされたものと承知をしております。これは一歩前進ではありますが、法務省の調査で判明した無戸籍の方は一部あるいは氷山の一角とも言われております。やはり無戸籍とならないよう、無戸籍となる要因を取り除くことが最も重要であります。

無戸籍の要因とされる民法七百七十二条の嫡出推定については、二〇〇七年にメディアで大きく取り上げられました。規定のどこに問題があるのか検討する時期に来ていると思います。法制審議会などで議論する必要があると思いますが、大臣の御見解を伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。無戸籍の問題の根本的解消のために、今御指摘ございました現行の嫡出推定制度を見直すべきであるという意見があることは承知しておりますが、そもそも嫡出推定制度自体は、法律上の父と子供の関係を早期に確定し、家庭の平和が脅かされる事態を防ぐことによって子供の利益を図るというものでございまして、この制度が存在することによってもたらされている子の利益は、全体として見ますと非常に大きいものと思料いたします。また、平成二十六年の七月十七日の最高裁判所判決におきましても合理性を有するものという評価を受けているところでございます。

この問題は、法律上の父と子供の関係をどのように定めるかという家族法の根幹を成すものでございまして、改正の要否や改正する場合の制度設計の在り方などについては様々な考え方があり得るところでございますので、慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

これ、明治時代の医学水準を背景に作られた嫡出推定規定により無戸籍とならないよう見直しの議論が行われること、それを強く要望したいというふうに思います。

次に、通称使用と選択的夫婦別姓についてお伺いをいたします。三十代の女性が職場での旧姓の通称使用を求めた訴訟で、東京地裁は今月十一日、女性の請求を棄却する判決を言い渡しました。判決は、婚姻後の戸籍姓は旧姓に比べ、より高い個人識別特定機能を有していると指摘されました。また、旧姓の通称使用が認められる範囲が広がっていると認めながら、旧姓が戸籍姓と同じように使用されることが社会において根付いているとまでは認められないと判断しました。さらに、職場で教職員を識別するために戸籍名の使用を求めることには合理性、必要性があるとし、通称使用を認めず、女性の訴えを退けました。

これは、一方、最高裁におきまして、昨年の十二月、夫婦別姓訴訟の判決で、旧姓を通称として使うことまで許さないものではないとし、改姓による不都合は旧姓の通称使用が広がることで一定程度緩和されるとして、規定を合憲と判断しました。

今回の東京地裁の判断は最高裁の判断から大きく後退するものであり、通称使用の限界と民法改正の必要性を示した判決だと言えます。最高裁判決では、この種の制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄として、国会に議論を委ねております。法制審議会から法律案要綱の答申を受け、それを引き継ぐ立場の法務大臣ですので、是非この国会の場で議論をしていただくことを期待しております。そこで、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

夫婦の氏の問題というのは、単に婚姻時の氏の選択にとどまらずに、やはり夫婦の間に生まれてきます子の氏の問題を含めて、我が国の家族の在り方に深く関わる問題であると考えております。したがって、国民の間にも様々な御意見がございます。したがって、この問題については、国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応していく必要があると考えております。

しかしながら、一方で、旧姓の使用が認められないために、女性が強いられております社会生活上の不便を解消していく上で、旧姓の通称使用が認められる場面というものが広がっていくということは望ましいと考えておるわけでありまして、法務省としても旧姓の通称使用の拡大に向けた政府全体の取組に必要な協力をしてまいりたいと、このように考えております。

糸数慶子君

これは法制審議会から答申され最高裁から国会で議論するよう委ねられているわけであります。法律に基づかない通称使用を推進する、あるいは二つの名前を持つことを推進するということではなく、通称使用には様々な課題があるわけでございますから、今後改めてこの国会の場で審議をするよう、そして法務大臣は国会で議論する責任があるということを強く申し上げたいというふうに思います。

次に、国連女性差別撤廃委員会は、民法改正を行うよう日本政府に対し再三勧告をしていますが、この勧告が守られていないとして、二〇〇九年の審査では、民法改正を新たに設けたフォローアップの対象としてより厳しく勧告をしています。そして、今年二月の十六日、ジュネーブで行われました政府報告審査は、私も傍聴いたしましたが、委員からはこれまで以上に厳しい意見が相次ぎました。再度民法改正がフォローアップの対象になったわけですが、このまま勧告が実施されなければ、フォローアップ制度そのものを日本が形骸化させてしまうおそれがあります。

国の行政機関での旧姓の通称使用は二〇〇一年から認められるようになり、法務省も昨年二月二十七日から商業登記簿の役員欄に旧姓を使用するということを付記することを可能といたしました。

政府は、女性活躍加速のための重点方針二〇一六に基づく施策の取組に通称使用の拡大を盛り込んでいるわけでありますが、そこで、大臣にお尋ねいたします。選択的夫婦別姓を可能とする民法改正を行うのでしょうか、旧姓の通称使用でダブルネームを持つことを進めていくのでしょうか。御見解をお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。先ほど大臣の答弁にもございましたように、夫婦別姓の問題につきましては慎重な対応が求められているところでございますが、他方で、旧姓の使用が認められないために女性が強いられております社会生活上の不便を解消していく上で、旧姓の通称使用が認められる場合が広がることは望ましいというふうに考えておりまして、法務省としましても、省内での旧姓の通称使用の拡大ですとか、あるいは御指摘いただきましたように商業登記規則の改正によって通称を商業登記に併記するという方策も取るところでございます。

法務省といたしましても、旧姓の通称使用の拡大に向けて、これは政府全体として、女性活躍加速のための重点方針二〇一六にもあるところでございまして、政府全体の取組に必要な協力をしていくということを考えているところでございます。

糸数慶子君

先ほど申し上げましたけれども、改めまして、やはり法律に基づかないこの通称使用を推進する、あるいは二つ名前を持つことを推進するということでありますが、通称使用については様々な課題がありますので、今後また議論をさせていただきたいというふうに思います。

次に、先ほども質問がございましたけれども、人権についてお伺いをしたいと思います。まず、在日朝鮮人と沖縄県民に対するヘイトスピーチについてであります。一点目に、北朝鮮による拉致は我が国への重大な主権侵害であり、核実験は被爆国として到底容認できない暴挙であると憤りを覚えます。しかし、だからといって在日朝鮮人に対するヘイトスピーチや人権侵害が許されていいはずはありません。

近年、在日朝鮮人への嫌がらせがエスカレートしているのではないかと危惧しております。核実験があった後に二つの朝鮮学校に対して朝鮮人をぶっ殺すという電話があり、警察に被害届が出たというふうに聞き及んでおります。

人権を所管とする法務大臣として、こうした在日朝鮮人への人権侵害をなくすためにどのような取組を行うのか、法務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

委員御指摘の在日の韓国・朝鮮人に対します言動について、一般に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動はあってはならないと、このように考えておりまして、ヘイトスピーチの解消に向けた法律が施行されたことを踏まえて、法務省の人権擁護機関では、ヘイトスピーチが許されないことと、この法律が施行されたことを併せて国民一般に向けて周知、広報をしておりますほか、相談体制の整備、啓発活動など、その解消に向けた取組をより一層推進していくことが重要だと、このように考えております。

糸数慶子君

次に、先ほども有田委員からもございましたけれども、沖縄県民への土人発言についてお伺いをしたいと思います。

沖縄、東村高江で、ヘリパッド建設に反対する市民に機動隊員が土人と罵倒したことは沖縄県民の一人として許し難い差別発言であり、厳重に抗議をしたいと思います。また、別の機動隊員からはシナ人という発言があったというふうに承知をしております。公務中の公務員による市民への差別発言でございますが、これはヘイトスピーチ問題を所管する法務大臣として、どのように受け止め、そしてどのように再発防止策を立てていかれるのか、お伺いします。

国務大臣(金田勝年君)

ただいま委員が御指摘されました警察官の発言につきましては、発言が差別的意識に基づくものかどうかは、その発言の詳細を承知しておりませんので、お答えをしかねると申し上げておきます。

糸数慶子君

もう言葉が出ないほど、私、今大変ショックを受けております。

先ほども申し上げましたけれども、この沖縄県の米軍の北部訓練場の工事をめぐりまして、大阪府警の二十代の男性機動隊員がこの運動に反対をしております市民に対して土人と差別的な暴言を吐いた問題でありまして、警察庁の坂口正芳長官は本日二十日記者会見で、不適切であり、極めて遺憾と述べています。この隊員は数週間前に大阪府警から派遣され、工事への抗議活動への対応に当たったわけですが、問題発覚後はその任務から外されているというふうに言われております。

坂口長官は、このような発言は絶無を期すとともに、適切な警備を行うよう指導を徹底するというふうに述べておりますけれども、それだけには終わらずに、土人と言ったりシナ人と言ったりするようなこの若い機動隊員の発言は、沖縄県知事を始め県民は今大変な怒りを持っております。本当にどのような教育をしているのか。私ども、昨日も実は抗議をいたしました。沖縄県選出の野党議員うりずんの会できちんと抗議をしたところでありますけれども。

これはちょっと時間がありますので皆様にも聞いていただきたいのですが、明治三十六年、遡っていきますと、一九〇三年に大阪の天王寺周辺で政府主催の第五回内国勧業博覧会が開催されましたときに、この会場の正面に建てられた見せ物小屋に学術人類館というのがありまして、沖縄やアイヌ、朝鮮、台湾の人たちが展示されたという事実がございます。

沖縄は、選挙でどれだけ県民の民意が表されても国は全く県民の民意を無視して、辺野古に新しい基地は要らない、高江にヘリパッドは要らないと言っても、今、本土の都道府県から機動隊員を、東村高江は僅か百五十名しか住民が住んでおりませんけれども、六百人近い機動隊を入れて、そして反対する市民に対して、先ほど申し上げました暴言を吐いています。県民は、抵抗はするけれども、でも非暴力の抵抗ということで、県民の思いを、豊かな自然を守るために頑張っています。私は、今もなおこの〇・六%しかない県土面積の中に七四%の米軍の基地が存在する沖縄の状態で、沖縄の県民がその文化や豊かな自然を守っていきたいというその思いを無視してこのような発言がされたということは、本当に許し難いです。

それに、法務大臣、やはりこのことについてしっかりと答弁をしていただきたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

ただいまの糸数議員のお話は、本当に私もよく理解しているつもりであります。警察官が不適切な発言を行ったこと、先ほどの答弁でも申し上げたのですが、官房長官が昨日コメントをしております。大変残念であるという思いをおっしゃっていますが、私、法務大臣としても同じ、大変に残念なことだというふうに受け止めております。以上であります。

糸数慶子君

ありがとうございました。

また続けて次回質問させていただきたいと思います。