国政報告

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沖縄の女性殺害事件

第190回国会 2016年5月24日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。今回の日本とドイツ、そしてチリ、インドとの租税に関する日本国との議定書の締結については賛成を表明し、質問に入ります。

まず、沖縄で起きた元米海兵隊員、そして米軍属による女性遺体遺棄事件についてお伺いをしたいと思います。五月十九日、先月末から行方不明になっていた島袋里奈さんが遺体で発見され、元海兵隊員で軍属の男性が容疑者として逮捕されました。この痛ましい現実に直面し、何を言うべきなのか、怒りが痛みを伴って沸き上がるのを抑えることができません。今回の事件発覚からこれまでの経緯に関しましては先ほどの質問の中で答弁がございましたので、通告の二番目から参りたいと思います。質問したいと思います。

沖縄では、二か月前の三月の十三日にも那覇市内のホテルで日本人女性を米軍人が強姦するという凶悪な犯罪が起こったばかりです。三月十七日の委員会におきまして、外務大臣、防衛大臣共に、実効的な再発防止策が取られるよう米軍に働きかけを行うと答弁しています。政府として、いつ、どのような働きかけを行ったのか、また、それは、米軍については、それに応えてどのような実効的な再発防止策を取ったのか、日付と内容を具体的にお伺いいたします。中谷防衛大臣、お願いいたします。

国務大臣(中谷元君)

三月十七日以降の防衛省の対応でありますが、その後、三月の二十六日に、私、沖縄を訪問をいたしました。その際に、在沖米軍四軍調整官に対して再発防止の徹底を強く求めました。これに対しまして、米側から、今回の事件の発生について非常に重く受け止めており、再発防止に努めていく旨の発言があったところであります。

また、四月の十九日、外務省沖縄事務所におきまして、第二十四回米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム、CWTが開催をされました。この会議におきましては、米側から三月の事件については極めて遺憾である旨の発言がありました。その上で、リバティー制度について、三月の事件を受けた新たなものを導入をした措置といたしまして、まず第一に、在沖米軍は原則として全ての米軍人への牧港補給地区以南の地域で外泊禁止、及び第二に、性的暴力の防止に関する追加研修を実施しているとの説明がありました。

米軍人等による事件、事故の防止につきまして継続的な取組が必要であると認識しておりまして、今後とも事件、事故の防止に向けて米側にしっかりと求めてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

ただいまの答弁を伺いましても、リバティー制度において全くこのことは機能していない、その結果が今回の事件にもつながっているかと思います。今回の殺害、この事件、容疑者は基地の中ではなく、基地の外で家族と一緒に住んでおり、犯行当時飲酒していたかどうかは不明であります。被害者が家を出たのが午後八時頃、これはリバティー制度に触れる時間帯ではなく、米軍人も外出し、飲酒が許されている時間帯です。つまり、今回の事件はリバティー制度では防ぎ切れなかった事件。このリバティー制度以外に、政府として米国に働きかける実効的な再発防止策を持っていらっしゃいますか、伺います。

国務大臣(中谷元君)

まず、再発防止につきましては、米側の努力が第一でありますが、やはり米軍に対して隊員教育、また綱紀粛正を図るということで防止に努めるように申し入れたところであります。具体的には、米軍人・軍属による事件・事故防止のための協力ワーキング・チームという場を通じて、日本側から米国に対して事件、事故の防止等について働きかけをしております。また、在沖米軍人軍属及びその家族を対象に沖縄理解増進セミナー、これが開かれておりまして、沖縄の歴史、文化について米軍関係者の理解を増進するための取組を行っております。

リバティー制度も取り組まれておりましたが、リバティー制度は在日米軍が自主的措置として設けた勤務時間外の行動の指針で、米軍人のみを対象としておりますが、今般、沖縄県で起こった事件については米軍属によるものとされているために、被疑者についてはリバティー制度の対象ではなかったと承知をしておりまして、今般、軍属によって極めて残忍、凶悪な事件が起こったことに当たりまして、今後は、軍人のみならず軍属による事件、事故の再発防止策、これを強化をしなければならないと思っております。

糸数慶子君

今の御答弁、先ほどの答弁もそうなんですけれども、そうやって再発防止策、本当にこれは効果があるんですかとお伺いしたんです。米軍に働きかけるだけでなく、県民の安全な生活を脅かし続けているこの状況について、本当に心から、この再発防止策が何の役にも立っていないということを強く申し上げたいと思います。

今回の事件は、公務外の犯罪で沖縄県警が逮捕している、いわゆる日米地位協定における刑事裁判権の問題を生じておりませんが、仮に容疑者の身柄が在日米軍にあった場合、起訴前の身柄の引渡しが行われていたかどうかはとても疑問であります。日米地位協定は、米軍人軍属に特権意識を持たせ、事件を起こしても最後は米軍が守ってくれると思わせる内容です。そして、そのことが犯罪に対するハードルを下げ、米軍による犯罪が後を絶たない一因ではないでしょうか。これを防止するには、米国政府は、米軍人軍属が今回このような日本人に危害を及ぼす犯罪を起こした場合、米国は一切面倒を見ない、日本の国内法によって裁かれ刑に服することになるとのこのメッセージを強く発する必要があると思いますが、日米地位協定の内容を抜本的に改定する必要があると先ほど岸田大臣はおっしゃいましたが、政府が米国にこの改定をどのように働きかけるのでしょうか。岸田外務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、今回の事件につきましては、犯罪を犯した米軍属、これは、この身柄は日本側にあり、そして、この捜査について米側に全面的な協力を求めなければなりませんし、綱紀粛正、再発防止、しっかり求めていかなければならない、このように考えます。そして、日米地位協定との関係におきましては様々な議論がある、これは承知しておりますが、政府としては、手当てをすべきこの事項の性格に応じて効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を検討しなければならないと考えます。そのために不断の改善を行ってきました。

今後とも目に見える改善を積み重ねていかなければならないと考えますが、その中で今回の事件に関して申し上げるならば、軍属の事件の防止という観点から米側としっかりと話し合っていかなければならないと考えます。そういった観点から、是非米側から具体的な努力を引き出すべく努力をしていきたいと考えます。

糸数慶子君

米軍属では確かにありますけれども、元は米軍の軍人として海兵隊の構成員の一員であります。同じように地位協定があり守られている米軍属でありますので、先ほども申し上げましたように、きちんと政府が米国に対してメッセージを強く発していただきたい。今回、ケネディ大使が沖縄を訪問する予定があるということが新聞に紹介されておりましたけれども、それは実現するんでしょうか、岸田大臣にお伺いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

報道は承知をしておりますが、米国側が具体的にどのような日程で訪問を考えているのか、これにつきましては、米側の取組でありますので、日本から何か申し上げることは控えなければならないと思います。いずれにしましても、まだ米国側から正式な具体的な日時については何も言及はないと承知をしております。

糸数慶子君

昨日の安倍首相と翁長知事の対談の中で翁長知事は、オバマ大統領と直接会って話がしたいというふうに要望しております。米軍を率いる米国の大統領として、今回の事件を含め、この沖縄への数々の米軍基地から派生する被害に対して大統領から何の言葉もないというのは納得できません。

沖縄で二〇〇〇年にサミットが開かれましたときに、クリントン米大統領は森首相に対して、会談の中で米兵による相次ぐ事件に謝罪をし、キャンプ瑞慶覧に一万五千人の米軍人軍属とその家族を集めて良き隣人たれと訓示をしています。今回のこのサミットでオバマ大統領がせっかく日本においでになるわけですし、こういう状況の中で、是非会談の中で沖縄のことを強く総理大臣から申し入れ、できましたら是非オバマ大統領と翁長知事を会談をさせていただきたい、そのように思いますが、岸田大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、今回の事件、誠に深刻な、そして重大な事件であり、日本政府としましても、首脳を始め様々なレベルで米国側にしっかりと申入れを行い、働きかけを行っていかなければならないと考えます。ただ、日米首脳会談あるいはオバマ大統領の訪日の日程等については、ぎりぎりまで調整が行われている段階であります。まだ最終的に確定してはいないと考えております。その上で一般論として申し上げるならば、この外交・安全保障の議論というのは政府対政府で行うものであると認識をいたします。

糸数慶子君

戦後七十一年、数え切れないほどたくさんの県民がこの基地があるゆえに犠牲になってまいりました。今回このような事件が起こったことに対して、私もお葬式には参列をいたしました。ティアラを髪に飾ってピンクのドレスを身にまとっていた島袋里奈さんの笑顔が目に焼き付いています。里奈さんのお父さん、こう語っています。

一人娘の里奈は私たち夫婦にとってかけがえのない宝物でした。これは親のひいき目かもしれませんが、素直で明るく、いい子に育ったと思っています。たくさんの友達にも恵まれ、好きな人と心を通わせ、今が一番楽しい時期だったのに、このような形で人生を終えるはずではありませんでした。今となっては娘の身に一体何が起こったのか、本人に直接話を聞くことも、にこっと笑ったあの表情を見ることもできません。今はいつ癒えるのかも分からない悲しみとやり場のない憤りで胸が張り裂けんばかりに痛んでいます。娘に私たちの言葉が届くのであれば、怖い思いをしたね、後のことは心配しないで安らかに、そう伝えたいと思いますというふうにおっしゃっています。

このような一人の命を失って、県民のこの思いが届かないというのは一体何なのでしょうか。中谷防衛大臣にお伺いします。このことを踏まえて、米軍の基地があるがゆえに、そして過重な基地負担があるがゆえに発生するこの事件や事故、それを無視して、改めて、普天間の米軍基地、辺野古への新基地建設、続行するつもりですか。御所見をお伺いいたします。

国務大臣(中谷元君)

このような事件はもう二度とあってはならない、そして極めて残忍で凶悪な事件でありまして、沖縄においてこのような事件が起きたこと、極めて遺憾であり、強い怒りを覚えております。沖縄の基地につきましては、これは日米安全保障条約に基づく在日米軍の基地でございまして、特に日本周辺の安全保障、近年、特に南西地域における安全保障状況が厳しくなってきておりまして、このような日米同盟の役割、機能等におきましては、我が国の安全保障上必要であると認識をいたしております。

しかしながら、過度に米軍基地が沖縄に所在することにつきましては、沖縄の基地の負担の軽減ということで、政府も認識をいたしまして取り組んでいるわけであります。その中で、特に普天間飛行場、これも危険性の除去ということで取り組んでいるわけでありまして、一日も早くこの普天間基地の危険性の除去を実現するということは、国と県とも同じ思いでございまして、現在、国と県との間によって成立をいたしました和解条項、これに従って協議を含めて手続を進めているところでございまして、和解状況に基づいて誠実に対応してまいりたいと。そして、この協議を通じて、沖縄の皆様方に政府の取組を説明させていただきながら、御理解を得られるように引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

糸数慶子君

今の答弁には納得できません。今後このような事件を起こさないためにも、政府としてなすべきことは沖縄からの全米軍基地撤去だということを強く申し上げ、私の質問を終わります。