国政報告

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在沖米軍基地周辺の学校への空調維持費補助の廃止

第190回国会 2016年5月12日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

いわゆる日・イラン受刑者移送条約、この締結については賛成でございます。受刑者の処遇について一言申し上げたいと思います。かつて、我が国が二〇〇三年に欧州評議会受刑者移送条約に加入したとき市民社会から出された懸念は、日本の刑務所における処遇が人道的でなければ、海外、特に欧州で受刑する日本人受刑者が日本への受入れ移送を希望しないのではないかということでありました。折しも、二〇〇二年は革手錠などで複数の受刑者が死傷した名古屋刑務所事件が発覚し、二〇〇三年末には行刑改革会議提言がなされました。これを基に旧監獄法の全面改正作業が行われたわけですが、こうして成立した刑事被収容者処遇法は、被収容者の人権を尊重しつつ、これらの者の状況に応じた適切な処遇を行うということを目的としております。

二〇〇六年に同法が施行されてから今月でちょうど十年を迎えました。この十年を振り返りますと、新たな法の理念に基づき受刑者の状況に応じた適切な処遇の実践が見られる一方で、相変わらず監獄法下と同様の人権及び個人の尊重とは程遠い処遇に拘泥する施設も見られます。昨年十二月には、国連総会において改定被拘禁者処遇最低基準規則が、いわゆるネルソン・マンデラ・ルールズが採択されました。その基本理念は、被拘禁者を人間としての尊厳とその価値に対する尊敬を持って処遇することにあるわけです。このマンデラ・ルールズの策定作業には法務省の職員も参加し、日本も含め満場一致で採択されましたけれども、これに関しては法的拘束力はありませんが、権威ある国際人権基準として、当然、我が国はマンデラ・ルールズに合致した処遇を行っていかなければなりません。

このマンデラ・ルールズでは昼夜間独居拘禁の使用を厳しく制限をしております。すなわち、期間を限定しない独居拘禁や長期にわたる独居拘禁は、拷問あるいは残虐な非人道的な品位を傷つける取扱いとしてこれを禁止しています。我が国で行われている独居拘禁はこの規則の要請を満たしていないとの強い疑念も生じております。

オリンピックイヤーである二〇二〇年には、第十四回の国連犯罪防止・刑事司法会議、コングレスが我が国で開催されます。昼夜独居拘禁の問題にとどまらず、人間の尊厳を尊重した処遇が実現されるよう更なる処遇の充実が望まれるということを申し上げて、質問に入りたいと思います。

五月十日に引き続きまして、在沖米軍基地周辺の学校への空調維持費補助の廃止についてお伺いしたいと思います。

まず一点目、沖縄県内の学校における等級分けはどのように行われているのでしょうか。誰が主体となり、どのような調査を経て行われたのか。米軍機の飛行ルートは政府も把握しておらず、等級分けは実際のところ難しいのではないでしょうか、防衛省にお伺いいたします。

政府参考人(中島明彦君)

お答え申し上げます。学校等に対する防音工事につきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、この施行令の第五条によりまして、音の強さ及び頻度が防衛大臣が定める限度を超える場合に行うということとしておるところでございます。これを受けて発出されております防衛施設庁告示第七号及び防衛施設周辺防音事業補助金交付要綱におきましては、一授業単位時間における音の大きさと頻度により騒音を四等級に区分した上で、そのような授業単位時間の総数が一週間において二〇%以上あり、かつこの状態が通常継続していると認められる場合に補助の対象となるものとされておるところでございます。

御質問の、実際の音響測定でございますけれども、これは、防衛省地方防衛局の職員が地元自治体などから防音工事についての要望がなされた学校等に出向きまして、窓その他開口部全てを開放した状態で室内で音が最も著しいと推定される場所におきまして、外に面した窓から一メートル、床から一・二メートルの位置に測定器のマイクを設置して一週間の測定を行った上、騒音の等級を決定しているということでございます。

糸数慶子君

では、文部科学省にお伺いいたしますけれども、学校施設の音環境の基準はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(藤原章夫君)

お答えいたします。学校環境衛生基準におきましては、教室内の等価騒音レベルは、窓を閉じているときは五十デシベル以下、窓を開けているときは五十五デシベル以下であることが望ましいというふうにされているところでございます。

糸数慶子君

防衛省の定めたこの等級分けの基準は文科省の基準と合致していますでしょうか。本来であればこの基準を県内全ての学校に適用すべきだと考えますが、中谷防衛大臣にお伺いいたします。

国務大臣(中谷元君)

防衛省の場合は四等級に区分しております。文科省の場合は五十デシベル、五十五デシベルということでございますが、防衛省といたしましてこの四等級の区分に応じた防音工事を実施をいたしますと、工事を実施した後の騒音、例えば三級では二十五デシベル以上、四級では二十デシベル以上軽減をされますので、これによりまして、例えば一授業単位における音の最大値につきまして、三級では七十五デシベルが十回以上、四級では七十デシベルが十回以上が防音工事の基準となっているところ、工事の後はそれぞれ五十デシベル、これを下回ることになるわけでありまして、文科省における学校環境衛生基準が定めるこの五十デシベル以下という騒音レベルを満たすものであると考えているわけでございます。

防衛省といたしましては、こういった騒音の影響の防止、軽減のために、引き続き、防音工事の要望のあった学校等におきまして一定の騒音が確認される場合には、当該学校等全てに対しまして必要な防音工事を順次実施してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

では、沖縄県西原町の琉球大学の件なんですが、今年の二月、これは二日にわたって行われました大学の入学試験中に同大学付近を米軍機が飛行したことによりまして、六十五デシベル超の騒音が計二十回発生をしています。騒音レベルでは、最大でゲームセンター店内に相当する八十三・二デシベルに及んでいたことが同大学の渡嘉敷健准教授の測定で判明をしております。

また、一昨日の午後二時頃、沖縄市の上空で少なくとも十一機の米軍ヘリが低空飛行しているのが目撃されておりまして、爆音や振動への苦情も寄せられたという報道もあります。住民の証言によりましたら、これはこれまでにない飛行ルートだったということですが、政府はこれについて事前に把握していたのでしょうか、防衛省に伺います。

政府参考人(中島明彦君)

まず、御質問の事前に把握していたかどうかということでございますけれども、米軍機が我が国におきまして飛行訓練を行う場合に、我が国政府に事前通告ということがこれは義務付けられているわけではございませんので、実態として、米側からの訓練の通報なり情報提供はなかったというのが実態でございます。

ただ、今御指摘のありました琉球大学の件について述べさせていただきますと、防衛省といたしましては、累次の機会に、年末年始、入学試験等地元の重要な行事については、四半期ごとに、配慮するよう米側に申入れを行っているところでございます。それから、今般の訓練について騒音等の苦情が寄せられておりますことから、沖縄局におきましては、米側に対しまして周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れてきておるところでございます。

糸数慶子君

対応が大変おかしいと思います。なぜならば、政府は米軍機がいつどこを飛ぶか把握していらっしゃいません。そして、米軍は日本政府の再三にわたる要請を無視して飛行ルート以外の場所を飛んでいるというのが実態であります。それにもかかわらず、政府は県内の学校の等級分けを勝手に行って、この補助廃止を一方的に通告をしているわけです。飛行ルートを守っていないわけですから、空調補助、その基準に当てはまらない、そうおっしゃっている基地周辺の学校施設の全てに騒音被害に対する補償として支払われるべきだというふうに思います。政府が一方的に打ち切るものではないということをあえて申し上げたいと思います。

一昨日の中谷大臣の答弁では、今回の空調維持費補助の廃止については、厳しい財政状況から、比較的騒音の程度が低い三級、四級が対象となったということでありました。本日もそうお答えいただきましたけれども、過去に一級だった施設が再測定で三級に落とされたこともあるわけですが、しかし、県内の爆音の被害は増加の一方です。どうしてこのようなことが起こるのか、大臣、お答えください。

国務大臣(中谷元君)

今回の見直しの趣旨は、せんだって御説明したとおり、公立の学校施設において空調機の設置率が騒音の発生のいかんにかかわらず全国的に向上しているということを踏まえまして見直しを行いました。この見直しに当たりましては、騒音が発生していなくても空調機を設置をして維持費等を負担している公立学校施設との公平性、これを考慮するとともに、従来から、防衛省として、病院などのように施設の機能維持のために騒音に関係なく初めから空調機が設置される施設の場合には原則としてこの助成をしていないということを踏まえまして、昨今の財政状況に鑑みて、より効率的な助成制度にしたところでございます。

メリットにつきまして、これまで三級、四級の学校に限定をして、二十八年度以降に設計をして新規の設置及び交換工事を実施する空調機の維持費から順次補助の対象外とすることとしておりますが、それ以前に設計をして設置された空調機につきましては、交換がなされるまで引き続き維持費を助成をいたします。また、当該学校等が二十八年度以降に空調機を交換する場合には、その設置工事の補助率を最大一割引き上げるということといたしておりまして、空調機設置に係る初度経費、費用、これの軽減が図れるということで、こういった見直しは併せて行うものでございます。先生御指摘のように、米軍の騒音等につきましては住民に与える影響を最小限にとどめるべきでございまして、今後とも、米側に対してそのように働きかけをしてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

改めて申し上げますが、防衛費や米軍の駐留経費は増額しています。そのような中で、財政難ということで学校への補助を廃止するのは本当におかしいと思います。これは沖縄県民だけではなくて全国一律というふうにおっしゃっておりましたけれども、こういう状況では全ての国民の理解を得ることはできないということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。