国政報告

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アスベスト問題、特許法条約、商標法シンガポール条約

第189回国会 2015年6月16日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

まず、アスベストの問題からお伺いいたします。五月二十二日、沖縄防衛局は、西普天間住宅地区跡地において、地区内の住宅のほとんどからアスベストが検出され、併せて国の基準値を超えたPCBも検出されたことを明らかにいたしました。

米軍基地跡地からはこうした化学物質等が検出され、地権者や周辺住民の皆様に不安を感じさせるとともに、調査や除去に時間が掛かるなど、多くの問題が発生しています。

今回の西普天間住宅地区跡地の現状や対策について政府の見解を明らかにされるとともに、この検出及び対策によって、地権者等の引渡しの期間など、どのような影響が生じるかを明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(山本達夫君)

お答え申し上げます。

本年三月三十一日に返還されました西普天間住宅地区につきましては、昨年十二月から本年三月までの間、建物百四十九棟と土地の工作物を調査したところ、百四十棟の床材でアスベストの含有が確認され、また、PCBが検出された変圧器十三個のうち一個が法令上のPCB廃棄物に該当したところでございます。床材で含有が確認されたアスベストは飛散性ではなく、また、PCBが検出された変圧器は屋内にあり容器の破損等は確認されていないことから、いずれにつきましても周辺環境への影響はないと考えております。

当該床材及び変圧器につきましては、今年度に着手予定の建物の解体工事に合わせて撤去処分する予定のところ、支障除去措置の期間につきましては、当該撤去処分に必要な期間をも考慮して設定をされております。

今後予定されます土壌汚染調査の結果いかんによっては汚染の除去が必要となる可能性があるため、確定的なことを申し上げることは困難ではございますが、現時点におきましては、約二、三年を見込んでおります支障除去措置の期間を変更する必要が生じているとは考えておりません。

糸数慶子君

先ほども指摘いたしましたが、米軍基地、そしてその跡地からの人体に影響を及ぼすおそれのある化学物質の検出は今後も予想されるところでありまして、特にその跡地において返還後の調査によって発見された場合、その除去等に時間が掛かり、速やかな跡地利用に支障が生じます。こうした事態に対処するためにも、返還前の立入調査の手続等を規定する環境補足協定、この件に関しては速やかな署名及び協定発効後の確実な立入調査の実施に向けた政府の対応が必要であります。

現状の交渉の状況、そして確実な調査実施に向けた運用について、外務大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君)

御指摘の日米地位協定の環境補足協定ですが、昨年十月に実質合意をいたしました。そして、環境事故の際の調査や文化財調査を含む返還予定地の現地調査のための日本の当局による立入り手続を作成して、そして維持する旨の規定を盛り込むことにしており、こうした手続を定める文書等について今協議を行っているところです。

これまでは、環境事故の際の調査や返還予定地の現地調査の立入りに係る統一的な手続は存在しませんでした。いかなる場合に立入りが認められるかなど明らかではありませんでした。しかし、この環境補足協定におきましては、これらの場合における立入りを行うための手続を定めることになっておりますので、これによって、日本側関係当局等によって予見可能性あるいは透明性が高まる、そして、こうした現地調査により実効的に行うことができる、このように考えております。

現在、先ほど申し上げましたような協議が続いておりますので、この具体的なやり取りについては控えますが、本年四月の2プラス2におきましても、可能な限り迅速に附属文書の交渉を継続していくことで閣僚間で一致をしております。

是非、こうした一致もあります。できるだけ早期の署名に向けて、作業を続けたいと考えております。

糸数慶子君

補足協定を速やかな署名をしていただきたいということを何度か質問しておりますけれども、スタートから八か月たった現在でもなかなか遅々として進まない。でも、返還される跡地というのは、西普天間地区と同じように出てきている。その現実を考えていきますと、一日も早く確実な調査実施ができるような状況を整えていただくことを強く要望したいと、指摘をしたいというふうに思います。

次に、特許法条約に関する質問でありますが、特許法条約は、世界知的所有権機関、WIPOに設置された専門家会合及び特許法常設委員会においてこの条約の策定に向けた議論が行われた後、二〇〇〇年六月にジュネーブで開催された外交会議において採択されております。二〇〇五年四月二十八日には、発効要件の十か国が本条約を締結し、現在、二〇一五年三月末までに締約国は三十六か国となっておりますが、条約の作成から十五年、条約の発効から十年が経過していますが、我が国が現在に至るまで本条約を締結しなかった理由は何であったのか、また同時に、商標法シンガポール条約の国会提出まで時間を要した理由についても外務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、御質問の最初の特許法条約についてですが、特許出願等に関する手続期間を過ぎたことにより一度は喪失した権利を救済するための措置等の導入を義務付ける規定が存在します。こうした救済措置は、出願者と第三者との間の権利関係に大きな影響を及ぼすため、こうした救済措置を含めた制度が国際的に定着していくかを注視しつつ、適切に国内法を整備すべく検討を行ってまいりました。その結果、近年の主要国による締結の状況も踏まえ、今国会で所要の国内法の改正と併せて御承認をいただいた上で締結していきたいと考えているところです。

そして、もう一つの商標法シンガポール条約につきましても、権利を救済するための措置等の導入を義務付ける規定があり、特許法条約と同様に検討を行った結果、今国会で所要の国内法の改正と併せ御承認を得て締結したいと考えている次第であります。

糸数慶子君

次に、特許法条約の締約国三十六か国の中には米国やイギリス、フランスなどの先進国が含まれますが、まだ締約国数が少ないと感じられます。本条約は特許手続に関する国際的なスタンダードとなるのか、政府の認識を伺います。

政府参考人(齋木尚子君)

お答え申し上げます。

特許法条約の締約国は、御指摘のとおり、現時点で欧米諸国を中心としまして三十六か国が加入をしています。これらの締約国は、条約に従ってそれぞれの特許出願等に関する手続を国際的に調和させ、及び簡素化することにより、出願人等の事務負担を軽減させ、自国企業の国際競争力を高めてきているところです。

特に、二〇一三年末には、特許出願件数世界第二位であります米国が締結をいたしました。この米国の締結によりまして、特許出願等に関する手続を特許法条約に従って国際的に調和させていく機運が世界的に高まってきております。今後、締約国数は更に増加をしていくことが見込まれております。その意味で、この条約は特許出願等に関する手続の国際的な標準になっていくものと考えております。

こうした中、我が国国民による海外への特許出願のうち約四割を占めるアジア諸国を始めとする新興国の多くは、まだこの特許法条約を締結しておりません。こうした新興国における特許出願等に関する手続の国際調和を後押しする観点からも、世界第三位の特許出願件数を抱え、またアジアの一員でございます我が国自身が速やかにこの条約を締結し、アジア諸国等に対しても締結に向けた働きかけを行っていくことが重要と認識をしている次第でございます。

糸数慶子君

特許法条約は、各国の特許出願に関する手続を簡素化し国際調和を図る意図があることから、我が国が本条約を締結し、さらに、できるだけ多くの国が本条約を締結することによって、特許の出願人の利便性が向上することになります。

本条約を我が国が締結することについて、企業、特に海外の特許出願手続に負担を感じる中小企業からどのような要望を受けていたのか、お伺いします。さらに、我が国が特許法条約を締結した結果、特許を取得しようとする出願人にとってどのような利益が得られるのか、お伺いいたします。

政府参考人(齋木尚子君)

お答え申し上げます。

今先生から御指摘をいただきましたように、出願人等の事務の負担の軽減、利便性の向上、こういった特許法条約に従って我が国の手続を調和させることによりまして、我が国が知財先進国としての魅力を高めることにつながるものと考えております。また、中小企業を含む我が国企業の国際競争力の強化も大いに期待できるところでございます。まさにこういった観点から、ユーザー団体からはこの特許法条約の締結の方針につきまして既に賛同を得ているところであります。

先ほども言及いたしましたけれども、今後我が国がアジアの国々を始めとする新興国に対しても特許法条約を締結するよう促すことによりまして、我が国企業がこのような新興国で円滑に特許を登録し、適切に活用することができる環境整備につながることも期待をしております。

糸数慶子君

次に、出願手続に関する追加要件の要求の禁止についてでありますが、特許法条約の第六条においては、特許協力条約において国際出願に関して規定する形式又は内容に関する要件等と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならないとして、各国の特許庁が出願書類に関する証拠等の提出を要求することなどを制限しています。

例えば、東南アジア諸国などで過度な証拠の提出を要求されることがあるとも聞きますが、現状として問題になっている事例はあるのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(齋木尚子君)

お答え申し上げます。

国によりましては、特許出願等に関する手続において手続書類に関して公証人による署名といった証拠の提出を求めているところがございます。

一つ一つの個別具体的な問題事例までを承知しているわけではございませんけれども、今申し上げましたような証拠の提出の要求というのは一般に出願人にとって大きな負担となっており、出願人が必要な特許を適切に取得する上で障害となっていると承知をしております。

糸数慶子君

次に、商標法条約が改正されず新条約が作成されたその理由についてでありますが、商標法条約と商標法シンガポール条約は、これは別個の条約ですが、その規定はかなり似通っています。

例えば、商標法条約を改正して対応するという方法もあったのではないかと思いますが、なぜ商標法条約が改正されず新たにシンガポール条約が作成されたのか、その交渉経緯をお伺いいたします。

政府参考人(齋木尚子君)

お答えいたします。

先生御指摘のとおりでございます。商標法条約と現在御審議いただいております商標法シンガポール条約は、独立の国際約束でございます。この商標法条約は一九九四年採択をされ、現在もなお効力を有しているところであります。

交渉の経緯でありますけれども、二〇〇二年、商標法条約の採択後に生じた新たなニーズに対応するための議論が開始をされましたが、そのときは、実は商標法条約を改正する前提で関係国間の検討が行われておりました。しかしながら、交渉の過程で一部の国から、二国間協定等において商標法条約への加入を義務付けているものがあることから、商標法条約を改正した場合に従来の商標法条約への加入を維持できなくなることへの懸念が示されたところであります。そこで、こういった懸念を有する国の存在を踏まえまして、こうした国が引き続き商標法条約への加入を維持できるように商標法条約の改正は行わないことを決めました。代わりに、商標法条約とは別個に商標法に関するシンガポール条約を作成することとなった次第であります。

また、委員御指摘のとおり、この商標法シンガポール条約と商標法条約は、内容において共通する規定を多く有しております。商標法シンガポール条約には、関係国が両方の、すなわち商標法条約と商標法シンガポール条約と両方の条約を締結している場合には商標法シンガポール条約のみが適用される等、両条約の適用関係を整理する規定も置かれております。

委員長(片山さつき君)

糸数慶子君、お時間が来ておりますが。

糸数慶子君

ありがとうございました。

時間ですので、以上で終わりたいと思います。