国政報告

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武器輸出問題、文民統制

第189回国会 2015年5月28日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。

最後の質問になりますので重なる部分もあるかと思うんですが、改めてお伺いしたいと思います。

まず、西川参考人にお伺いいたします。

先生は、衆議院の安全保障委員会の中での御発言の中に、なぜ武器と言わずに防衛装備と言うのか、ややこの法律の作為性を感じざるを得ないとおっしゃっていらっしゃいますが、政府は昨年の四月、武器輸出三原則を廃止し、防衛装備移転三原則を決定いたしました。そして、新原則を決定した数か月後には、パリで行われました武器の国際展示会に日本の防衛産業が出展したり、政府間では米英豪との武器の国際共同開発に合意したりといった、つまり、これまでの抑制的な姿勢を百八十度変え、積極的な姿勢へと転換したような動きが見られるのですが、先生は防衛装備移転三原則後のこれらの動きについてどのような見方をされていらっしゃるのか、お伺いいたします。

参考人(西川純子君)

この防衛装備というのはなかなか発音がしにくくて言いづらいんですけれども、防衛装備移転三原則、これは、先ほどもちょっと申しましたけれども、要するに日本が武器輸出三原則から足を洗ったというか、撤廃したということを意味するわけであります。したがって、何か私どもはいろんなものが出てくるたびにそれがどうしてなんだろうというふうに考えたりするわけでありますが、実はそれを提案してくる方は着々と計画的にやっておられるのではないかというふうな気がするぐらい非常に巧みにいろんな法案が出てきていると、そういう現状だと思います。この移転三原則ができることによって、防衛装備庁がまさに発足する基盤ができたということだろうと思います。

先ほど、ちょっと話が違いますけれども、アメリカに軍産複合体がないのではないかと、あるいはあるかどうか疑わしいというお話でしたけれども、これは別に、ビルがあって事務局があって、そこに勤めている人が名刺の肩書に軍産複合体と書いているというふうなことではありません。実体ではないのでありまして、これは概念であります。つまり、こういう軍と産の複合体、結合関係というのが武器生産が兵器企業の手によって占有されるようになると必ず出てくると、それをどういうふうに考えるかという言葉が、概念がこの軍産複合体であるわけであります。それだけ一言お断りしておきたいと思います。

糸数慶子君

新たに設置される防衛装備庁では、装備政策部という部署において、諸外国との防衛装備、技術協力、その業務を行うとされていますが、恐らく我が国防衛産業の海外への進出を後押しするような業務を行うことが予想されるのですが、企業が一度海外へ進出いたしますと、将来的に海外への輸出に依存してしまう、依存度が高くなり、後戻りできない企業も出てくるのではないかと懸念いたしますが、その点、米国企業の状況等を踏まえてどのような見解をお持ちでしょうか。

参考人(西川純子君)

兵器産業というのはやはり特殊でありまして、顧客は政府、政府というか、顧客は、アメリカでいえば国防省、日本でいえば防衛省ということになるわけです。競争関係よりは、むしろいかに防衛省から入札を取るかということの方が重要になってくる、それが競争関係を意味するようになるわけでありまして、したがって、海外に出ていって後戻りができなくなるというふうな一般の企業とはちょっとタイプを異にするのではないかというふうに思いますが、その代わり、一旦兵器産業に特化してしまったら、そこから抜けられないと。戦争があろうがなかろうが、利益の上がる営利企業でなければならない限りは、いろんな形で武器の生産というものを、開発し、新しいものを生み出していくという努力を怠らないだろうというふうに思います。

糸数慶子君

次に、武蔵参考人にお伺いいたします。

先ほど先生は、我が国では、戦前の反省を踏まえ、内閣や国会による自衛隊に対する文民統制に加え、日本独特の仕組みとして、防衛省設置法第十二条の統制補佐権を根拠に、防衛大臣の下に文官のみによって構成される内局が存在し、その下に各幕僚監部が実質的に置かれるという文官優位が形成されてきたという趣旨の御説明をされましたが、保安庁創設以来、このような我が国独特の特有の仕組みとしていわゆる文官統制が採用されてきたことについてどのような評価をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

参考人(武蔵勝宏君)

戦後の世論の風潮、それから当時の吉田茂首相がしかれたいわゆる路線ですね、そういったものが文官優位の仕組みを採用してきたことになったかと思っています。その頃は、恐らく自衛隊を管理・運営する、すなわち自衛隊を運用するというよりも管理・運営するということに重きが置かれた、そういう点で内局の文官が主体性を持ってきたんだろうなと。

しかし、冷戦以降、PKO協力法以降、実際に自衛隊を海外で運用したり、あるいは、大きな震災が二回あり、その運用においては実は内局の文官と統幕の制服組が合同で、ばらばらにやるんじゃなくて、合同で協働してチームとして自衛隊を運用してきたと。そういう実績があるということを踏まえて、文官のみがチェックするというんではなくて、特に運用機能に関しては統幕に一元化する。

ただし、そういう冷戦以降の実際に自衛隊を運用する時代になったといっても、それが余りにも統合幕僚監部に比重が移り過ぎて、内局のいわゆるチェック・アンド・バランスの機能がなくなってしまっては、これは私は困ると。それをなくすような可能性があるのが十二条の改正ではないのかという点で、現行十二条にそごがなく、そして十二条を改正するということがもし入念規定的な意味合いで改正するならば、それは今回は見合わせた方がいいということを考えております。

糸数慶子君

今般、限定的な集団的自衛権の行使容認や他国軍隊に対する後方支援等を内容とする安全保障法制を整備するための二法案が国会に提出されましたが、私はこの法案とは反対の立場ですが、仮に政府・与党の強権的な国会運営によりこれらの法案が成立した場合、海外における自衛隊の活動は現在よりも一層増大し、それに応じる形でシビリアンコントロールの特に国会における必要性も一層増すであろうと私は考えておりますが、この点に対する先生の御見解をお伺いいたします。

参考人(武蔵勝宏君)

ありがとうございます。

そのようなまさに閣議決定を伴うような重要な自衛隊の運用に関しては、もちろんこれはもう統幕だけで単独でできるものではございません。そういったことに関しては、内局の防衛政策局がむしろ政策的な見地から判断し、グリップしていくものだと思います。

例えば、基本計画や実施計画、そしてその実施要項という、策定に関して、これを統幕だけで決定するということになれば、それはもう軍事的合理性しか反映されないということになるわけですから、ここのところは、仮に新しい法制ができたとしても、内局がしっかりとグリップして補佐していくということが私は間違いのない運用をする上では必要ではないかなと思っています。

糸数慶子君

時間でございますので、渡部参考人、佐藤参考人、両参考人には今回御質問できませんが、御了解いただきたいと思います。

終わります。