国政報告

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文民統制―第12条の問題、防衛装備移転三原則後の動き、第9航空団の新編(F1の増強)と那覇空港の騒音対策

第189回国会 2015年5月26日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数慶子でございます。よろしくお願いいたします。

まず、防衛省設置法第十二条の改正についてお伺いいたします。

この十二条については、かつて旧憲法下で軍部が暴走した反省を踏まえ、背広組が制服組に優位するといういわゆる文官統制を定めた規定であるとの指摘もなされています。しかし、中谷防衛大臣は、政府として文官統制の考え方は取っておらず、また十二条が文官統制を定めたものではないことは明らかであるとして、これを否定しています。

現行の十二条によれば、官房長及び局長による大臣補佐は、防衛大臣の行う指示、承認、一般的監督についてなされることとなっています。これまで、どのような段階においてどのような補佐がなされていたのでしょうか。文官である官房長、局長による大臣補佐が自衛官である幕僚長による大臣補佐に優先するという実態はなかったということでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(中谷元君)

防衛省・自衛隊、これの管理・運営に当たりましては、防衛大臣が的確な判断を行うためには、自衛隊の管理・運営の性格上、高度な軍事専門的な知識を要すると同時に、法令を含む政策的な観点も必要になってくることから、文官である官房長、局長による政策的見地からの大臣補佐と、自衛官である各幕僚長による軍事専門的見地からの大臣補佐が行われてきており、この二つの補佐は、上下や優劣の関係ではなくて、言わば車の両輪としてバランスよく行われる必要がございます。

このため防衛省においては、常時日頃から内部部局の文官と幕僚監部の自衛官が担当者レベルから緊密に連携し、施策の立案の段階からお互いの見地のすり合わせを行っております。また、防衛大臣の下に政治任用者、官房長及び局長等の文官、各幕僚長等の自衛官の三者が一堂に会して防衛省の所掌事務に関する基本的方針について審議する防衛会議、これが設置をされておりまして、防衛大臣の求めに応じ必要な審議もされているわけでございます。

このような流れによりまして、防衛大臣は両者の補佐を適切に受けて意思決定を行ってきたところでありまして、文官である官房長、局長の補佐を優先をさせていたというわけではございません。

糸数慶子君

政府は、防衛省設置法第十二条は、従来から、官房長及び局長による政策的見地からの大臣補佐と幕僚長による軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合する規定であり、今般の改正によってもその趣旨自体は変更ないというふうに説明していますが、この十二条の趣旨は変わらないとのことですが、十二条の運用実態、すなわち実際の大臣補佐のなされ方はどのように変わるのでしょうか。

国務大臣(中谷元君)

先ほど説明をいたしましたが、防衛大臣が的確な判断を行うためには、

政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が言わば車の両輪としてバランス良く行われることを確保する必要があります。防衛省といたしまして、このような両見地からの補佐が確実に行われるように各部局、機関が業務を遂行してきたことから、かかる基本的な業務の体制を変更する必要性が生じているものではございません。

しかし、今回、統合幕僚監部の改編、また防衛装備庁の新設、これが行われます。防衛省の組織構成が変更されることから、防衛省設置法第十二条についてもこの新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。

ただし、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合するという従来からの同条の趣旨自体は変更はいたしません。

したがって、防衛省設置法第十二条の改正が、防衛省の業務遂行に当たっての官房長と局長、そして各幕僚長との関係に影響を及ぼすことはないと考えております。

糸数慶子君

本年三月六日の衆議院予算委員会において中谷防衛大臣が示した文民統制に関する政府統一見解によりますと、我が国の文民統制は、国会における統制、内閣、これは国家安全保障会議も含みますが、内閣による統制とともに、防衛省における統制があるとのことであります。

この三つの文民統制について、政府はそれぞれどのような内容のものと解釈しているのでしょうか。また、これらの統制に優劣関係があると政府は考えているのでしょうか、御説明をお願いいたします。

国務大臣(中谷元君)

三つのうち、まず国民を代表する国会は、自衛官の定数、主要組織などを法律、予算の形で議決をし、防衛出動などの承認を行います。また、憲法において、議院内閣制の下で国会が内閣監督の機能を果たすことが規定をされております。

国の防衛に関する事務は、一般行政事務として内閣の行政権に完全に属しており、内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うこととされております。国会の指名に基づいて任命される内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高指揮監督権を有しております。

内閣総理大臣により任命される防衛大臣は、内閣を組織する国務大臣として国の防衛に関する事務を分担、管理しています。

このように、三つの文民統制に対する制度がございます。

糸数慶子君

今、十二条に関していろいろお伺いしたわけですけれども、これから今後の議論の中身をもっと詰めていくためにも、防衛省設置法十二条に関しては、これ防衛庁設置法、その時代のものの内閣法制局の説明資料として是非提出をしていただきたいと思います。十二条のその本来の趣旨が明記してあるはずだと思いますので。委員長、理事会においてこの説明資料を是非提出をさせていただきますように要望いたします。

委員長(片山さつき君)

後刻理事会において協議させていただきます。

糸数慶子君

次に、防衛装備の諸外国への装備品の輸出推進についてでありますが、平成二十六年四月一日の防衛装備移転三原則の決定後、我が国の防衛関連企業が防衛装備品の国際展示会に出展するなど、海外進出を模索する動きがあるように見受けられます。

例えば、防衛装備移転三原則が決定された二か月後の平成二十六年の六月、パリにおきまして開催されたユーロサトリに十数社の日本企業が参加し、初の日本ブースが設置されました。また、同年十一月にジャカルタで行われましたインドディフェンスにも日本企業数社が参加したと報じられています。今月の十三日には、横浜におきまして、世界最大の海洋防衛装備品の国際展示会、マストアジアが開幕されて、ホスト国でもあるこの日本も、ジャパンブースにおきまして、我が国を代表する防衛関連企業が潜 水艦装備など多様な装備を紹介しています。

このような我が国防衛関連企業の海外進出の動きにつきまして、政府としてどのような見解をお持ちか。つまり、積極的に支援するのか、抑制的に指導するのか、その認識を明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(吉田正一君)

お答え申し上げます。

先生御指摘の防衛装備移転三原則でございますが、この原則の一といたしましては、移転を禁止する場合を明確化ということでございますが、原則二といたしまして、移転を認め得る場合を二つの場合に限定し厳格審査するというふうなことにしてございまして、二つの場合というのは、平和貢献、国際協力の積極的な推進に資する場合と我が国の安全保障に資する場合ということに限定しておるということでございます。また、原則の三として、目的外使用及び第三国移転について適正管理が確保される場合に限定するというような、こういうような姿勢で臨んできておるところでございます。

他方で、先生が御指摘されました内外の装備展というふうなことに日本企業が出展しているじゃないかというふうな御指摘でございますが、私どもとすれば、こういった国際協力というのを適切に進めていくに当たって、防衛装備品の国際的な最新の技術動向でございますとか情報というのを入手しておくということは大事なことだというふうに考えておるところでございまして、いずれにしても、通常の経済行為とは非常に異なるものでございますので、国が適切に関与しながら、移転三原則に基づいて進めていくというふうな考えでございます。

糸数慶子君

我が国の武器輸出の方針は、平成二十六年四月の防衛装備移転三原則の決定前まで、武器輸出三原則の下、事実上の全面禁輸措置、つまり抑制的な姿勢を貫いてきました。しかし、昭和の時代から官房長官談話などとして例外化措置が積み重なり、包括的な原則を新たに定める必要があるとして防衛装備移転三原則が策定されたというふうに理解しております。

新三原則決定当日、小野寺防衛大臣は、記者会見におきまして、化学防護服やハイチ復興支援等に使うブルドーザー等をその例に挙げて、こうしたものが今後は官房長官の談話を発出しなくても速やかに海外に輸送し、当該国の安定や平和維持に役立つと、平和的な運用をほのめかす説明をしています。また、安倍総理も、新三原則決定後の七月、参議院の予算委員会におきまして、私たちがどんどん武器を輸出していくという考えは毛頭ないと答弁されております。

しかし、新原則決定後の防衛産業の国際展示会出展や米国、英国、豪州との防衛装備品の国際共同開発等の動きを見ますと、防衛装備移転三原則は我が国の武器輸出の姿勢を百八十度、つまり抑制的な姿勢から積極的な姿勢へと転換したような印象を持つのですが、改めて政府の見解を防衛大臣にお伺いいたします。

国務大臣(中谷元君)

防衛装備の移転につきましては、昨年四月閣議決定しました防衛装備移転三原則、これに基づいて適正な管理を行っております。

この原則は、あくまでも国連憲章を遵守をするとの平和国家の基本理念とこれまでの平和国家としての歩み、これを引き続き堅持をした上で、これまで積み重ねてきた例外化の実績を踏まえ、これを包括的に整理しつつ、防衛装備の海外移転に係る手続や歯止めをこれまで以上に明確化したものでございます。

新たな原則の下でも、積極的に武器輸出をする方針に転換をしたり輸出を大幅に解禁するといったことではなく、これまで同様に厳正かつ慎重に対処してまいる方針でございます。

糸数慶子君

衆議院における審議では、防衛省は、現在、装備政策の企画立案、プロジェクト管理、そして研究開発、主要装備品調達の関連業務に約一千八百人が従事しており、この人員が基本的に防衛装備庁に移管することとなるというふうに答弁がなされています。

現在、これら約千八百人が所属する部署において防衛関連企業への再就職がどの程度あり、また、新たな組織ではいわゆる天下りについてどのような体制でチェックがなされているのか、特に装備政策部の国際装備課からの再就職が今後見込まれるのか、このことも含めて説明を求めます。

政府参考人(部朗君)

まず、再就職の実績でございますが、平成二十五年度に再就職いたしました本府省課長、企画官相当職以上の隊員、これにつきましては、事務官等が二十七名、自衛官が百五十四名の合計百八十一名でございますが、このうち、離職前の五年間に防衛省との間に契約を締結した営利企業体への再就職、これを行った者は、事務官等が五名、自衛官が八十三名、合計八十八名となっております。

それから、再就職の規制の制度に関しましては、現在は防衛省におきましては事前審査制を取っておるところでございますが、本年の十月には現在の一般職の国家公務員に準じた再就職等規制を導入する予定でございます。これによりまして、再就職のあっせん、あるいは在職中の利害関係企業への就職活動等が規制されまして、また、不正な行為に対しましては罰則を科す、こういうことによりまして公務の公正性を確保することを予定しております。

それから、こうした規制に関しましては、学識経験者から成る監視機関、こういうものを設けまして厳格な監視を行い、中立性、公正性も担保していくことになるということでございます。

以上、こういった制度が防衛装備庁に関しても適用されるということになろうかと思っています。

なお、今御指摘の装備政策部国際装備課、こういったものを含めまして、隊員の再就職、今後どうなるかということにつきましては、隊員個々人の意思によるものでございまして、現時点で具体的に再就職者数を見積もるということは困難でございます。

糸数慶子君

次に、航空自衛隊の航空総隊の改編についてお伺いいたします。

今回、政府は、南西地域における防空態勢の充実を図るため、那覇基地の航空総隊南西航空混成団第九航空団を新編するための所要の自衛隊法の改正を行おうとしております。

現在、那覇基地は、一本の滑走路を自衛隊や民間航空会社が共用する関係にあり、大変混雑しております。第九航空団が新編されますと、自衛隊による那覇基地の使用状況はどのように変化するのでしょうか。また、那覇基地では第二滑走路の建設が進んでおりますが、第二滑走路が完成すると滑走路の混雑状況はどのように解消される見込みでしょうか。政府の説明を求めます。

政府参考人(黒江哲郎君)

御指摘の第九航空団の新編ということで、那覇基地の戦闘機部隊を二個飛行隊化するということでございますけれども、これに伴います離発着回数につきましては、現時点で確たる見通しということを申し上げるというのはできないという状況でございます。ただ、当然のことながら、F15 の機数が増加するわけでございますので、一定程度、離発着回数というのは増加するというふうには考えております。

他方、今回の第九航空団の新編につきましては、先ほどお触れになられました那覇空港の第二滑走路の増設を前提としたものではございません。ただ、第九航空団の新編に当たりましては、空港の管理者であります国土交通省とも十分調整をした上で、周辺の航空交通、あるいは地域への影響、そういったものに配慮した形で新編を進めていく必要があるというふうに認識をしておるところでございます。

糸数慶子君

この第九航空団が新編されますと、那覇基地に配備されるF15 の機数は約二十機から四十機に増強され、騒音被害等、基地周辺の沖縄県民の負担は一層増すものと考えられます。周辺住民の負担を軽減させるため、政府としてどのような施策を講じるつもりがあるのか、具体的な説明をお伺いいたします。

政府参考人(中島明彦君)

お答え申し上げます。

国土交通省が設置管理しております那覇空港につきましては、新たに配備されます自衛隊機分の騒音の見積りも評価の上、国土交通省が防音対策を実施することとなります。

このため、防衛省といたしましては、国土交通省による防音対策が適切に実施されるよう、那覇基地の戦闘機部隊の二個飛行隊化に関する情報を国土交通省に提供したところでございます。これを踏まえまして、国土交通省において、 今月一日住宅防音工事の対象地域である第一種区域を追加指定したものと承知しておるところでございます。

また、防衛省といたしましては、那覇基地に関連いたします民生安定施設の助成についても自治体の御要望を踏まえて実施してきておるところでございまして、平成二十七年度におきましては、豊見城市から昨年五月に御要望をいただきました消防施設に関する補助について財政当局からの承認が得られましたので、その旨、先月二十八日に同市にお伝えをしているところでございます。

防衛省といたしましては、新たに配備されます自衛隊機分の騒音も含めまして、那覇空港を設置管理いたします国土交通省による防音対策が適切に実施されるよう、引き続き必要な情報を提供いたしますとともに、地方公共団体から民生安定施設の助成について御要望がある場合には、具体的な計画を伺った上で、障害の実態を踏まえて必要に応じ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

時間になりましたので、ハワイにおけるオスプレイの墜落事故に関してはまた次回にお伺いしたいと思いますが。

いずれにいたしましても、県民の負担を軽減するというふうに、防衛大臣を始め政府の答弁はこの沖縄の基地問題あるいは自衛隊の問題についてもおっしゃいますけれども、改めてこうやってF15 を四十機増強されるということも聞いております。本当の意味での沖縄県民の負担軽減に是非配慮していただきますようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。

ありがとうございました。