国政報告

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国際コーヒー協定、日・モンゴルEPA、AMRO設立協定、WTO協定改正議定書

第189回国会 2015年5月14日 外交防衛委員会

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。

一点目に、国際コーヒー協定のことで伺いたいと思います。

政府は、本協定締結により、我が国のコーヒーの安定的輸入を確保するとともに、開発途上にあるコーヒー生産国、輸出国の経済発展に貢献するとしています。

我が国とコーヒー生産国との関係及び我が国の国際協力の現状について、政府はどのように認識していらっしゃるのでしょうか。また、我が国はODAを通じてコーヒー生産国への支援を実施していますが、本協定に加入した後はどのような支援を具体的に行っていくのか、御説明をお願いいたします。

政府参考人(齋木尚子君)

お答え申し上げます。

我が国は、コーヒーの生産・輸出国である中南米やアフリカ等の開発途上国に対し、コーヒー関連の支援も含め様々な開発協力を行ってきているところでございまして、これらの諸国と良好な関係を維持してきております。

一方、国際機関である国際コーヒー機関においては、主に開発途上国を対象として、病原虫対策、多様性、緊急援助、市場構造の改善、品質向上、持続的なコーヒー経済等の分野でプロジェクトが実施されてきているところであります。

今後、我が国が国際コーヒー協定に加入をした後は、こうした幅広い活動を行っている国際コーヒー機関を通じた開発途上国支援に積極的に参画していくとともに、先ほど御説明いたしましたような、従来から我が国が行ってきている開発協力についても引き続きしっかりと推進することにより、開発途上国の経済発展に様々な形で貢献していきたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、日・モンゴルEPAについてお伺いをしたいと思います。

国内農業への影響と今後の見直しについてでありますが、本協定では、豚肉、砂糖など重要品目は関税撤廃等の対象から除外されており、政府は国内農業への影響は少ないと見込んでいます。しかし、一部の品目についてはその扱いを十年後に見直すことが約束されています。

本協定の合意内容が沖縄を含む国内農業に悪影響を及ぼすことはないのでしょうか。また、本協定により再交渉とされた品目について、今後どのような姿勢で臨んでいかれるのか、岸田外務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

我が国は、物品の関税交渉に当たっては、我が国とモンゴルの困難な事情などを考慮し、相手国の国内産業に悪影響を与えないよう十分留意して交渉に取り組んでまいりました。

具体的には、各農産品の重要性等を勘案し、必要に応じて再交渉品目、除外品目、関税割当て、関税撤廃までの十年を超える経過期間を設定するとともに、関税を撤廃、削減した品目については二国間セーフガード措置を確保した上で合意をしております。したがって、農林水産業を含む国内産業への悪影響は基本的に回避できるものと考えております。

また、一部の農産品について再交渉することとなる場合には、我が国の農林水産業に悪影響を及ぼさないよう十分に留意した上で再交渉に臨む考えであります。

糸数慶子君

次に、モンゴルの口蹄疫対策と食品安全の確保について伺います。

現在、モンゴルでは口蹄疫が発生しており、我が国はモンゴルから牛肉や豚肉の輸入を停止していますが、同国における口蹄疫問題の現状についてお伺いいたします。また、我が国は、本協定締結に当たり、モンゴルに対して牛や豚の口蹄疫対策や食肉処理施設の整備など同国による牛や豚肉の輸出支援を約束したというふうにされていますが、口蹄疫を含む感染症対策、そして検査体制の整備等、具体的にどのように取組を進めていくのか、御説明をお願いいたします。

政府参考人(伊原純一君)

今委員御指摘のとおり、モンゴルは現時点で国際獣疫事務局の口蹄疫清浄ステータスというのを回復しておりません。

いまだに口蹄疫が発生しております。このため、現在、モンゴル産の生鮮牛肉、それから生鮮豚肉の我が国への輸入は禁止されている状況にございます。

今般の日・モンゴルEPAでは、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、すなわちSPS協定に基づく権利及び義務を再確認しつつ、衛生植物検疫措置に関する事項を含む農業、林業、漁業の分野において両国間の協力を一層強化するということを規定しておりまして、我が国としてはモンゴルの口蹄疫の清浄化に向けた支援を行うことを考えております。

具体的な支援の内容につきましては、今後モンゴル側と協議を行っていく考えでございます。したがいまして、その過程で専門家をモンゴルへ派遣するといったことも今後考えていきたいというふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、投資環境の整備と鉱物資源について伺います。

本協定は、自由化型の投資章が設けられ、経済界からは鉱物資源やエネルギー分野での投資環境が整備されることへの期待が表明されています。

このような内容が日本によるモンゴルへのレアアースや石炭のような資源の一方的な吸い上げにつながっていくことはないのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(伊原純一君)

今回の日・モンゴルEPAの投資章におきまして、エネルギーあるいは鉱物資源分野を含む全ての分野について、民間企業には投資許可段階における内国民待遇、最恵国待遇が付与されるとともに、投資財産に対する公正衡平待遇の付与、投資家・政府間の契約の遵守義務、投資家と国家間の紛争解決等が規定されております。これらの規定により、今御指摘のとおり、我が国からモンゴルに対する投資の保護が強化される、そして、より自由な投資の枠組みが整備されるといったことが期待されております。

ただ、今委員御指摘のその資源の一方的な吸い上げというのが具体的にどういうことを意味するのか必ずしもよく分かりませんけれども、日・モンゴルのEPAの投資章において、モンゴルが投資受入れ国として必要かつ合理的な規制を差別的でないやり方で行うことを妨げるものではないと、すなわちモンゴル政府が合理的で必要な規制を行うことはできるということになっておりますので、今委員の御指摘のような御懸念は当たらないというふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、AMRO設立協定についてお伺いをしたいと思います。

AMROは、ASEANプラス3地域の経済・金融状況を監視、分析する機関とのことでありますが、現在、その職員数は事務局長を含めても三十一名にすぎないと言われております。

このAMROが自身に与えられた任務を全うするためには、職員数の増加を含む体制強化が必須であると考えますが、政府はAMROの現在の体制についてどのように認識をしていらっしゃるのか。本協定の締結により、我が国の分担金の支払、その義務を負うわけですが、これにとどまらず、今後、人や知恵の面でAMROの体制強化をどのように主導していくのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(山田滝雄君)

お答え申し上げます。

委員御指摘のとおり、現在、AMROは三十一名の職員の体制で構成されております。そのうち、所長を含めまして四名が日本人でございます。AMROの体制強化につきましては、ASEANプラス3、財務大臣、中銀総裁間で組織能力を継続的に評価していくべきことが合意されております。  

ただ、同時に、AMROの財政のかなりの部分を人件費が占めることもあり、メンバーの急激な財政負担増を避ける観点から、AMROの職員数は段階的に増加させることが合意されております。

このようなことを踏まえながら、AMROは極めて重要な組織でございますので、日本政府としても、今後、AMROの強化のためにできる限りの貢献を果たしていきたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、WTO協定改正議定書についてお伺いいたします。

貿易円滑化協定は、多国籍企業や大企業の利益を図る一方で、途上国の健全な発展を阻害するWTO協定の一翼を担うこととなります。WTOドーハ・ラウンドの貿易円滑化交渉においても、協定で課される義務を履行できなかった場合に、他のWTO加盟国からWTOの紛争解決手続によって訴えられることへの懸念等から、途上国を中心として貿易円滑化をWTO協定の内容とすることに反対する声がありました。

今般の貿易円滑化協定は、そうした途上国の懸念について十分に配慮されているのでしょうか。

また、貿易交渉における途上国への配慮について政府の基本的な認識をお伺いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

貿易円滑化協定について、一部の途上国が改正議定書の採択に一時反対していたというのは事実であります。しかしながら、これは別の交渉分野との駆け引きによるものでありまして、この協定自体の内容に異論があったものではないと認識をしております。

貿易円滑化協定は、途上国について一定期間協定の規定の実施が猶予され、また実施中の規定についてもWTOの紛争解決が一定の期間適用されないなどの優遇措置を定めるとともに、途上国への能力構築支援についても定めております。同協定は、こうした規定が盛り込まれていることも踏まえ、途上国を含む全ての加盟国の参加を得て採択されたものです。要は、全会一致で採択をされております。

そもそも、貿易円滑化協定がもたらす貿易取引コストの低減、これは貿易及び投資の拡大を通じて途上国の経済開発を後押しするものであると考えております。WTOにおける貿易交渉は、途上国を含めた加盟国間のコンセンサスが必要であるという特徴もあります。

国際貿易が途上国にも利益をもたらすこと、先進国間のみならず、途上国を含めたグローバルな貿易自由化を達成することを重視しつつ、途上国に配慮しながら進めてきていると認識をしております。

糸数慶子君

今御説明もございましたけれども、やはり途上国としては、インフラ整備の議論とも関係があると思うわけですが、この新しいルールがやはり策定された結果として、財政的に厳しい状況にある途上国はこれまで以上のコスト負担が強いられていくことを懸念しての主張であるというふうに受け止めております。

こういうことからしましても、過度のコスト負担が強いられるものではないと主張して多分国としては説得を行ってきたと思うわけですけれども、やはり途上国のこの主張の背景にあるということも改めて念頭に入れていただきたいというふうに思っております。

途上国の主張の中には、この新たなルール策定によって、例えば近代的な港湾設備を整備する必要が出てくるということも念頭に置いていたということも交渉の中に出ていたというふうに聞いておりますので、先進国から得られるものは得ておきたいという、そういう思惑もあったというふうに聞いております。

いずれにいたしましても、やはり過度のコスト負担が今のこういうルールの中に入っていくのではないということ、改めて途上国ともきちんとした交渉をしていただくことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。

ありがとうございました。