国政報告

議事録議事録一覧へ

無戸籍問題で調査を要請

第186回国会 2014年5月27日 参議院法務委員会(司法試験法 25分)

5月27日(火)、法務委員会の質問で「民法772条による無戸籍問題」を取り上げ、法務省に実態調査を要請しました。

この問題は21日のNHKテレビ「クローズアップ現代-戸籍のない子どもたち」で放送されたこともあり、急きょ取り上げました。

この日の法務委員会では①司法試験の具体的実施について②生殖補助医療の行為規制と親子法制についても質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

司法試験法の一部を改正する法律案、通告をしておりますが、一応、三点の中で全く同じような質問が先ほど出ておりました。二点割愛させていただきまして、最後の方だけ、一点だけお伺いしたいと思います。

まず、改正後の司法試験の具体的な実施方法とその目的についてでありますが、本法律案の附則によりますと、この施行期日が平成二十六年十月一日となっていることから、本法律案が今国会で可決、成立した場合ですが、来年、平成二十七年に実施される司法試験から本法律案が適用されるということでしょうか。その場合、来年の司法試験に向けて勉強している受験生に対し、できるだけ不安定な状況で試験勉強をさせないためにも、早期に短答式試験の実施方法等を示す必要があると思われますけれども、改正後の短答式試験の問題数やそれから出題形式など具体的な実施方法が決まる時期及び、現在、司法試験考査委員会議の申合せ事項として示されている平成二十五年十二月二日付けの司法試験における短答式試験の出題方針が変更される予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

法改正があったとき、できるだけ受験生に無用な負担を掛けないようにという御趣旨、私どももそのとおりだと思います。

それで、今おっしゃったように、この法案の附則で施行期日は平成二十六年十月一日としているわけですが、これは平成二十七年の司法試験から今回の改正法に基づく試験が実施されるということですね。そこで、こういう施行期日としましたのは、平成二十六年の司法試験に影響を及ぼさない、そして平成二十七年の司法試験の願書受付等に遺漏なく対応できるようにという狙いでございます。

それで、改正法が成立しました後は、司法試験委員会において速やかに、短答式試験の科目が憲法、民法、刑法の三科目に限定されることなどを踏まえた試験の実施日程、それから試験時間、配点、こういったものを検討して受験生に対して明らかにしていくものと考えております。

それで、司法試験の出願は例年十一月から十二月頃でありますので、司法試験委員会においては、遅くとも平成二十六年夏頃、今年の夏頃までには具体的な実施方法を確定されるというふうに考えておりまして、委員が御懸念のような、受験生に無用な負担が掛かることがないように注意してやってまいりたいと思います。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次は、ちょっと民法についてお伺いしたいと思います。七百七十二条による無戸籍問題についてお伺いをいたします。

民法七百七十二条は、父親を決定する法的ルールとして、婚姻している間に妻が懐胎した子は夫の子と推定し、婚姻から二百日後、それから離婚などから三百日以内に生まれた子は婚姻により懐胎したものと推定する、この二段階の推定を置いております。

この規定は、円満な夫婦生活と医学的な統計を信頼して、婚姻によって妻の産んだ子は夫の子であろうという一応の原則を、推定を立てたものであります。これは明治民法の起草当時からこれ推定であって、これに反する医師の鑑定があれば覆すことができるというふうに考えられてきました。この原則自体は、子供のために父親を明確にしておこうという趣旨で、あくまでも子供の福祉への配慮から生まれたものだというふうに理解しております。

ただ、四月二十四日のこの法務委員会で谷垣大臣に、私が推定制度を批判しているというふうにちょっと誤解して答弁されたと思うんですが、私はこの規定が、これ明治三十一年、つまり一八九八年ですから、今から百十六年も前に作られて、現在のように、離婚やそれから再婚が増え、医療技術それからDNA鑑定など親子鑑定の技術も格段に進歩する状況が想定されずに制定されたわけで、その時代のものを規定を見直さないという状態を問題にしているわけです。また、父子関係ではなく、嫡出を推定していることが問題だというふうに繰り返して質問しているわけですね。ですから、この規定の見直しは早くから家族法学者あるいはNGOからも指摘されてまいりましたが、二〇〇七年にこの規定のために無戸籍になっている子供の問題が大きくクローズアップされてきました。そこでその運用の見直しが行われましたけれども、問題解決には今至っておりません。

今月の五月二十一日でしたけれども、NHKでこのことが放送されておりました。三十二年間も無戸籍であった方の過酷な人生が紹介されておりましたが、夫の暴力から逃げ出し、離婚もできずに歳月がたち、新しいパートナーとの間に子供が生まれましたけれども、その居場所を知られるのを恐れて、母親が出生届を出せなかったために無戸籍になった方の紹介でありました。これ、裁判所での手続を経れば実の父親の子として戸籍を作ることができるわけですが、DVの前の夫との関与を恐れて断念されたということでありました。

こういうケースは今少なくないと言われておりますけれども、規定によって無戸籍になっている問題で、総務省は二〇〇八年の七月に、人道的な見地から対応が必要ということで、出生証明書などによって母親がはっきり日本国籍を有すること等が明らかなこと、さらに民法七百七十二条の関係で出生届を出せないこと、あるいは裁判や調停を進めていずれ戸籍を作成される可能性が高いことなどを条件にいたしまして、出生届の提出に至らない子の住民票記載を可能といたしました。

そこで、総務省にお伺いいたします。

この通知発出後のことですが、出生届が未提出の無戸籍の方が現在どのくらいいらっしゃるのか、そしてどの程度把握されているのか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(山崎重孝君・総務大臣官房審議官)

出生があった場合の住民票の記載につきましては、戸籍法に基づく出生届が必要であるということが原則でございます。

しかしながら、今御指摘がありましたように、民法七百七十二条の嫡出推定の規定の関係上、出生届の提出には至らず、結果として住民票が作成されないという事例が生じておりました。そこで、住民サービスの円滑な提供の観点、それから居住関係の公証の観点から、民法第七百七十二条の規定に基づく嫡出推定が働くことに関連して出生届の提出に至らない者について、認知調停手続など外形的に子の身分関係を確定するための手続が進められている場合には、市町村長の判断により、職権で住民票の記載を行うことができるという旨を二十年の七月に通知いたしました。

この通知で示された要件に該当する者に住民票を作成した件数を調べておりますが、全国で平成二十年七月から二十一年三月までで三百二十四件、二十一年度に三百八十九件、二十二年度に五百二十三件、二十三年度に五百八十件、二十四年度は外国人に対しても適用いたしましたので、これも含めまして六百五十五件、二十五年度に七百二十六件というふうになってございます。

糸数慶子君

今の報告によりますと、出生時に戸籍がない人は増加傾向にあり、昨年は七百人を超えるということであります。これは、多くが父子関係の確定後に戸籍が作られるために、この数値が現在も無戸籍というわけではありませんが、このケースに当たらない無戸籍の方も相当いらっしゃるのではないかというふうに思います。

そこで、法務省にお伺いいたしますが、そもそも無戸籍の方がどれだけいらっしゃるのか、実態を把握されているのか、お伺いいたします。

政府参考人(深山卓也君・法務省民事局長)

今総務省から答弁がございましたけれども、総務省の調べによって住民票の作成された無戸籍のお子さんの数は把握しておりますが、それ以外の無戸籍のお子さんの数は法務省としては把握しておりません。

糸数慶子君

実態を把握されていないということでしたが、無戸籍の方の実態を把握することは、当事者はもちろん、国にとって大変重要だというふうに思います。無戸籍となったその原因や経過を知り、無戸籍にならないような施策を講じる上で大変意義があります。

正確な数字を把握することは困難だと思いますが、少なくともおおよその実態を把握できるのではないかというふうに思いますが、是非実態の把握に努めていただきたいと思いますが、法務省の御見解を改めてお伺いいたします。

政府参考人(深山卓也君)

子供が戸籍に記載されないことによりまして、社会生活を営む上での様々な不都合が生ずるものと思っております。例えば児童扶養手当の受給申請であるとか、あるいは相続のときの親族関係の立証とか、そういうことで社会生活上の不都合があるということは重々承知しておりまして、このようなことが子の福祉の観点から望ましくないというのは御指摘のとおりだと思っております。

戸籍制度を所管する法務省としては、無戸籍のお子さんの数を正確に把握する方法があればこの実態を調査したいと考えているところでございますが、無戸籍児というのは、まさにその戸籍の届出がされないということですので、戸籍のデータから手繰ることはできないわけです。したがって、住民票の作成もされていない場合には、その存在を認識する端緒がないというのが現状でございまして、その数等を正確に把握することが極めて困難でございます。

そこで、御指摘の実態調査については、これを行う適切な方法があるかどうかを含めて、今後検討していきたいと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

大変困難な手続を要するとは思いますけれども、是非とも実態の把握をしていただいて、苦しむ当事者の救済に是非資するような行いをしていただきたい。これ是非ともやっていただきますように、強く要望したいというふうに思います。

次に、谷垣大臣にお伺いをしたいと思います。

この戸籍制度は、人の基本的な身分関係を登録、公証する制度であって、やはり法律関係を大きく左右いたします。いいかげんな記載や届出がされてはならないということは言うまでもありませんが、戸籍の担当者は実質的審査権を持っていないため、窓口で夫婦の関係や子の出生にまつわる細かい事情まで確認するわけにはいかないわけです。

しかしながら、戸籍は日本国民としての国籍簿であるわけでして、様々な権利や利益を受ける上で重要となります。国民として、住民としてのサービスを受けるための基本中の基本と言えるというふうに思いますが、そういう中で、この法制度の上での不備、あるいは戸籍の取扱いの問題のためだけに何の罪もない子供たちに戸籍がないことの不利益があってはならないと思いますが、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

嫡出推定を受ける子供が生まれた、しかし前夫の子となってしまうのは困るというようなことで無戸籍になっている方がいらっしゃると。それがまた後々大変、社会生活の上で、基本的な身分関係が明確にならないわけですから、学校へ行くのも困るとか、あるいは大きく成人されて結婚されるときに届出のしようもないとか、いろんな不都合が生じてくるわけですね。

それで、ただ、この嫡出推定制度そのものは、先ほど、私が前回誤解して答弁したのならおわび申し上げますが、糸数委員がおっしゃるように、やはり生まれたとき、子供の父が誰かというのが定まらない状況にいるというのは子供にとっても不利益であると。

だから、いろんな場合がありますが、ほとんどの場合は、ほとんどの場合と言っていいかどうか分かりません、通常は、やはり結婚している間に生まれた子はその夫の子であるという推定をするというのは子供の利益にかなって、早期に子供の身分関係を安定させるという意味合いがあると思いますから、私、この基本はやっぱり今も依然として必要だろうと思うんです。

ただ、推定ですから、みなすと言っているわけじゃありません。推定はひっくり返すことができるわけですね。その制度は、現在、親子関係不存在確認の調停を申し立てるとかあるいは訴えを申し立てる、それから、認知の調停あるいは認知の訴え、こういうものによって家庭裁判所の判断を得ていただくというのがこれの対応の基本ですね。ただ、こういったことをどれだけ、それ大切な身分関係だから、よし、それをきちっとやろうということを理解して必ずしもいただいていない場合があります。

そこで、法務省では、今ホームページでこういう裁判手続を相当詳しく説明しております。それから、その手続を説明するだけじゃなしに、裁判手続において、家庭内暴力とかいろんなことがあったかもしれません、前夫、前の夫との接触を避けるために裁判所でどういう工夫をしているか、どういう手法が取られているかとか、出生届を提出しない場合であっても子の福祉サービスを受ける方法というのはないわけじゃありません。

こういうことについて紹介もしておりますが、要するに、こういったものが、見たけれども何だか法律用語がたくさんあって分かりにくいというのではいけませんので、より分かりやすく理解していただくにはどうしたらいいか現在検討しておりまして、できるだけこういう検討の結果を早く反映させていきたいと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、ちょっと違う角度で質問したいと思います。

生殖補助医療で出生した子供の数とその問題認識についてでありますが、四月二十四日の法務委員会でも言及いたしました生殖補助医療について、厚労省にお尋ねをしたいと思います。

この生殖補助医療の行為規制についてでありますが、厚生労働省が容認しているのは、AIDと呼ばれる非配偶者間人工授精、つまり、夫以外の第三者からの精子提供による人工授精です。厚生労働省は、代理懐胎などとは違い、規制の必要はないと答弁されましたが、その認識はお変わりはございませんでしょうか。

政府参考人(鈴木俊彦君・厚生労働大臣官房審議官)

お答え申し上げます。

生殖補助医療に関する問題でございますけれども、これは個人の生命倫理、家族観に関係する難しい問題でございまして、様々な関係者の間で議論が行われております。こういった議論の動向を踏まえて対処していく必要があると思っております。

御指摘の非配偶者間の人工授精、いわゆるAIDでございますけれども、これは平成二十四年六月の衆議院の法務委員会で、当時の政府参考人からは、平成十五年の厚生科学審議会生殖補助医療部会、その報告書で、安全性などに照らして特段問題があるとは言えないとされていたことなど、そういった当時の状況を踏まえまして、AIDのうち、法律上の夫婦の間で精子の提供を受けなければ妊娠できない場合に行われるもの、これについてその答弁の時点では、実施を規制する必要性はないと考えている、こういった旨の答弁が行われたところでございます。

一方で、先ほど申し上げたとおり、この生殖補助医療全般につきまして、現在、その後も有識者など様々な関係者の間で様々な議論が展開されてございます。こうした中で、御案内のように、現在、自民党を中心に、このAIDも含めました生殖補助医療に関する法制化に向けた検討が進められていると承知をいたしております。

したがいまして、厚生労働省といたしましては、このAIDの取扱いも含めまして、引き続き、こうした党や国会の御議論を注視し、その動向に従って対処していくと、こういうスタンスでございます。

糸数慶子君

では、AIDで出生したお子さんの数は把握されていますでしょうか。

不妊治療を受けた病院で出産しない場合は、生殖補助医療で懐胎した事実が明らかにされないで出産されるケースが多いと聞いております。また、出産に至らなかったケースもあると思いますが、実態をどのように把握されているのでしょうか。改めて厚生省にお伺いします。

政府参考人(鈴木俊彦君)

AIDの実施状況でございますが、日本産科婦人科学会が会員に対しまして同学会への報告を求めております。これによりますと、平成二十三年には八百九十二名の患者に対しまして年間三千八十二件実施されている、こういう状況であるというふうに承知をいたしております。

糸数慶子君

生殖補助医療で生まれたかどうかの実数を把握する方法として、出生届書の出生証明書でその事実を記載することも有効だというふうに思います。

二〇一二年六月十五日、先ほどもお話がありましたが、衆議院法務委員会で、嫡出推定について、出生届の受理段階で公的証明書で明らかに父子関係がない場合は、現行民法の解釈上は難しいという民事局長の答弁がございました。一般論としての仮定の質問に答弁されたことは承知しておりますが、そうはいっても、そうした認識がありながら出生証明書に生殖補助医療を受けたかどうかの記載の検討が行われていない、その理由をお聞かせいただきたいと思います。これ、法務省です。

政府参考人(深山卓也君)

御指摘のとおり、平成二十四年の六月十五日の衆議院法務委員会におきまして、当時の原民事局長が、第三者精子提供による生殖補助医療、いわゆるAIDによって出生した子の出生届を夫婦が提出する場合に、AIDを受けた旨の証明書を併せて提出した場合、この場合はどうかという仮定の問題について、出生証明書などの公的な証明書により明らかに父子関係がないということが確認される場合は、現行民法の解釈上は子を嫡出子として取り扱うことは難しいことになろうかという趣旨の答弁をされたのは、そのとおりでございます。この答弁は、今委員御自身もおっしゃったとおり、そもそも子がAIDによって出生したものである旨の公的な証明制度は存在しておりませんが、そういう中で仮定の場面について現行民法の解釈の可能性を述べたものだと理解しております。

そこで、議員の御指摘は、出生証明書等にAIDによって出生したか否かのチェックをする欄を設けたらどうかということだと理解しておりますが、現行法上、出生届書に出産に立ち会った医師、助産師等が作成した出生証明書を添付することとしておりますけれども、AIDの施術を行った医師が出産に立ち会うとは限りませんので、出生証明書に御指摘のようなAIDによる出生か否かのチェック欄を設けて適切な記載をしていただくというのは困難ではないかと思っております。

したがって、御指摘のようなチェック欄を設けるという形でAIDにより出生した子を嫡出でない子と扱う制度を導入することはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

糸数慶子君

法務省は、行為規制を前提にして適切な法整備をすることが法的安定性につながるということで、行為規制と親子法制の在り方についてやっております。行為規制を待って法的親子関係の法整備を行うと繰り返し主張されておりますが、親子法制が整ってから生殖補助医療による出生がなされるべきではないでしょうか。技術があるから、また、民法は嫡出を推定する制度で生物学上の親子関係を規定しているわけではないから届出の必要がないというその御認識は違うのではないかというふうに思います。生殖補助医療によって出生した子の法律上の親子関係の立法措置の必要性を早くから認識しながら、生殖補助医療で出生している事実を長年放置してきた問題が今問われているということを強く指摘しておきたいと思います。

不妊治療に悩む夫婦の声はよく聞きますが、六十年も前から行われているAIDのお子さんたちの声が表に出るということはほとんどありませんでした。先日、「AIDで生まれるということ」、実は私の手元の方にもこの本がございますけれども、これ、第三者からの精子提供で生まれたお子さんの声をまとめた本が出版されました。執筆者の石塚幸子さんは、父親の深刻な遺伝病を恐れていた二十三歳のときに、母親からAID出生児であることを知らされたということです。遺伝病の恐怖と引換えに、深刻な問題を改めて抱えることになったわけです。

石塚さんはおっしゃっていますが、不妊というその状態が問題であれば、出産でその問題は解決されますが、そうした技術の結果生まれた私たちにとって、生まれたその時点からがスタートであると。つまり、自分がAIDで生まれたということをどう受け止めて、どう生きていけばいいのか、提供者情報が分からないという不安は何をもって埋めることができるのかというふうにおっしゃっております。何より、秘密を抱えての不健全な親子関係、それから突然の告知による衝撃が私たちに与えた影響は、その後の人生、親子の関係に大きな傷を生じさせているというふうに、深い悲しみがこの本の中につづられております。

生殖医療の行為規制によっては、今自民党が議論されているようですが、立法に関わる私たちはこういう当事者の声を聞いて議論する必要があるというふうなことを申し上げ、最後に一言だけ、谷垣大臣はこういう当事者の苦しみをどう受け止められているのかお伺いをして、終わりたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

今、糸数委員がおっしゃったように、生殖補助医療によって生まれたお子さんの中には、大人になってその事実の告知を受け、俺は一体何者なんだろうというようなアイデンティティーの危機と申しますか、そういう感覚を持ったり、あるいは親や医療に怒りの感情を抱くというようなことがあると聞いております。それからまた、特別な遺伝的体質等があっても分からないということもあるんだと思います。

それで、糸数先生は行為規制が先にありというのはいかぬというお考え方のようでございますが、やはり生殖補助医療のルールができませんと、親子法制を先に作ってしまいますと、その生殖補助医療で許されないようなものを例えば認めてしまうというか慫慂してしまうというようなことにもなりかねませんので、私どもは、まず生殖補助医療を、行為規制をやるべきだというふうに考えてまいりました。

幸いなことに、今、先ほどからお話がありますように、議員立法でその動きが出てまいりましたので、私どもはその動向を注目しまして、それに見合った、やはり私ども、親子関係法制というものを検討しなければいけないと思います。