国政報告

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女子刑務所の過剰収容解消が急務

第186回国会 2014年5月22日 参議院法務委員会(一般質問 25分)

5月22日の一般質問では、女子刑務所問題、司法修習生に対する給費制の復活について取り上げ、①女子刑務所問題-過剰収容と解消見込み、「女子刑務所のあり方研究会」の要望、女子受刑者に対する医療体制の整備②司法修習生給費制復活-法科大学院の受験者数の減少、学生の借金、司法修習生のアルバイト、などについて質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

本日は、法曹養成制度等の現下の諸課題に関する件の中で、女子刑務所の問題についてお伺いをしたいと思います。

女子刑務所につきましては過剰収容を始め様々な問題があることについて、私、先日も御質問させていただきました。今、マスコミ報道でも女子刑務所問題が大きく取り上げられております。私、先日、ユーチューブにアップされておりました民放の番組で、佐賀県の鳥栖市にあります麓女子刑務所、それから和歌山県女子刑務所のレポート番組を改めて見てまいりました。そこで共通していることは、過剰収容そして収容者の高齢化、多様化、さらに女子刑務官の厳しい仕事の中身が報道されておりました。

女子刑務所数、収容者の数ですが、これは一九八二年の千六百二十人から二〇一一年の四千六百十人と、三十年で約三倍に増えているというふうに言われております。そこで、まず、この過剰収容状態について、各女子刑務所の現状と過剰収容の状態を解消する予定などについて法務省にお伺いをしたいと思います。

政府参考人(西田博君・法務省矯正局長)

お答えいたします。

女子刑務所は、御指摘がございましたとおり、収容人員は非常に増えて、増えたままでございます。具体的に申し上げますと、平成十八年末現在におきまして、収容人員は四千四百五十二人、収容率約一三二・六%という著しい過剰収容状態でございました。

そんなこともございまして、当局におきまして、平成十七年以降、例えば、五百人の定員を持つ福島刑務支所、それから女子八百人の定員を持つ美祢社会復帰促進センターの新設、それから二百人の収容定員を持ちます加古川刑務所に女子収容区画を新設するなど、そういったことで収容定員の拡充を図ってきたところでございます。

その結果、平成二十五年末現在の速報値において申し上げますと、全女子受刑者収容人員は四千四百二十一人と余り変わっておりませんけれども、収容率につきましては九七・七%ということになっております。ただ、先ほどちょっとお話ございました栃木刑務所とか和歌山刑務所、岩国刑務所、麓刑務所といった女子刑務所は、いずれも収容率がいまだに一〇〇%を超える過剰収容状態が続いております。

当局におきましては、こういった女子刑務所の過剰収容状態の対策としまして、男子の刑務所の全部又は一部を女子被収容者の収容区域に転用することを計画しております。具体的に申し上げますと、本年度、男子施設でございました松山刑務所所管の西条刑務支所に女子受刑者を収容することとし、これに必要な人的、物的体制を整備したところでございまして、本年度中に収容を開始したいと考えております。

今後とも、収容動向を見ながら収容能力の拡充に努めてまいりたいというところでございます。

糸数慶子君

多少は緩和されているとは申しましても、まだまだだというような感想を抱きました。

昨年の三月には、谷垣法務大臣も、元参議院で前千葉県知事の堂本先生や、それから南野元法務大臣、こういう方々をメンバーとする女子刑務所の在り方研究会より五項目にわたる要望書を受け取られたというふうに聞いております。その際、大臣も、これらの要望に関して、女子刑務所の抱える問題点については法務省も同様の認識であるということ、それから、同研究会の協力も得ながら改善を目指したいというふうなことを回答されております。また、昨年の六月にも同研究会の委員が具体的な要望を含んだ中間報告を手渡されたということですが、これらの要望に対してどのような対策を講じられたのか、また今後講じていく予定があるのか、谷垣法務大臣にお伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

女子の刑事施設は、今、糸数委員がおっしゃいましたように、過剰収容とか高率収容、それから随分高齢者もたくさんおります。また、男子の刑務所で余り経験しないんですが、摂食障害というようなこともいろいろ、やはり女性特有の問題もたくさん抱えている。

それから、女性職員、勤務が過酷なこともありまして、なかなか女性職員の定着率が低いと、こういうような悩みを抱えております。今御指摘の堂本前知事、それから南野元法務大臣、非常に関心を持たれて心配をされまして、熱心に研究をしていただいて御提言をいただいたわけでありますが、これは女子刑事施設の適切な運営に関する極めて適切な御提言をいただいたなと思っております。

それで、そういう要望内容を踏まえながら、一つは過剰収容、高率収容問題、それから女子受刑者特有の問題、摂食障害等々、それから薬物犯罪というのが非常に多いものですから、そういうところに着目した指導とか支援の充実。それから、これは女性刑務官がなかなか定着率が低いということの関連もあるわけですが、地域の医療とか福祉等の専門家の支援がやはり必要である、つまり地域とのネットワークをつくっていく必要があると。それから、女子職員の職場環境と申しますか勤務環境を改善して、育成、定着を図ると。こういうふうに御提言に基づいて今総合的に検討して取組を始めているところでございまして、ここは力を入れてやっていきたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

今大臣からも御答弁がございましたが、この女子刑務所の処遇改善に関しては、法務省も、先ほど紹介いたしました佐賀県にある麓、それから栃木、さらに和歌山のこの三つの刑務所において二〇一四年度からモデル事業を開始する予定というふうに聞いております。

そこで、これらのモデル事業の内容、特に女子受刑者に対する医療体制の整備に関して説明をお願いしたいと思います。また、これらの事業を今後他の六か所の女子刑務所の施設に対しても行っていく予定があるかどうか、併せて法務省にお伺いをしたいと思います。

政府参考人(西田博君)

お答えいたします。

地域支援モデル事業と申しますのは、女子刑務所が所在しております地域の医療、福祉等の専門家の協力、支援を得られる枠組みをつくるというものでございまして、この枠組みを利用しまして、あらゆる専門家の助言、指導を得ることで女子受刑者特有の問題に着目した処遇の充実等を図りたいとするものでございます。

女子受刑者特有の問題としましては、被虐待体験や性被害による心的外傷がありましたり、また摂食障害を有する者、それから妊産婦等、そういった者への対応がございますけれども、例えば地域の看護師協会ですとか社会福祉協議会ですとかそれから助産師会ですとか、そういったところの協力を得まして専門家を派遣していただいて、当該受刑者に対する面接指導とか、それとか講義を実施してもらうことで多少なりとも受刑者のそういった問題の改善を図りたいというふうに考えているものでございます。

それで、今後の話でございますけれども、今三庁で、先ほど申し上げました栃木刑務所、和歌山刑務所、麓刑務所でやり始めたモデル事業、この三庁の取組状況について、その効果をつぶさに検証しながら、できれば今後、他の女子刑務所への拡充についてもちょっと検討してまいりたいというふうに思っております。

以上です。

糸数慶子君

ありがとうございました。

女子受刑者の処遇に関しましては、先ほど大臣からもお話ございましたが、女性刑務官の果たしている役割がとりわけ重要であるということは改めて申し上げるまでもありませんが、しかしながら、その女性の刑務官は採用後数年で辞めていくというケースが目立ち、受刑者に応じて柔軟な対応ができるベテランが育ちにくいという問題点も指摘されております。

そこで、谷垣法務大臣は先日の本委員会でもこの女性の採用、登用に積極的である旨答弁されておりますし、また、一月の栃木刑務所視察の際にも、地域を巻き込んだ人材確保が必要だと強く感じたというふうにおっしゃっていらっしゃいます。貴重な人材である女性刑務官が長く勤められるため、法務省としてどのような対策を取っておられるのか、また今後取っていく予定であるのか、お伺いをいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

私も栃木等の女子の刑務所へ参りまして、女性刑務官の話もいろいろ聞いたりいたしました。

女性刑務官につきましては、これはほかの職場でもそうでしょうけど、結婚とかあるいは出産、育児、こういったことがきっかけで離職をしてしまうという方々が少なくないんですね。それから、同時に、先ほど申しました過剰収容の問題に加えまして、女子刑務所はさっき申し上げたように三庁あるわけでございますが、高齢者から若い人までいろんな方々、それで、そこの中で高齢者も非常に増えている。加えて、精神障害や摂食障害を有する人たちも多いと。こういう多様な受刑者の対応によりまして、職員の負担は極めて重いものになっていると言わざるを得ないと思うんです。

そのために離職率も高く、これ、男子の場合と比べますと、平成二十一年度に採用された刑務官のうち採用後三年以内に離職する者の数字を挙げますと、男性が一五・五%ですが、女性は三四・四%と極めて高い離職率になっております。そんなことでなかなかベテランが育ちませんで、女性刑務官の半分が二十代、こういう若年職員の割合が極めて高くなっておりまして、なかなかそういう若い刑務官だけですと収容者の対応も戸惑うことも多いというようなことがございます。

こういう中で、女性職員、本当に栃木で拝見しても懸命に頑張って勤務しているんですが、どうしたらこういう女性職員にもっと安心して働いてもらって育成、定着を図ることができるのかというのは、法務省にとって極めて重い課題でございます。

今、矯正局で、女性職員の勤務環境を改善するため、定着、育成を図ることも含めて総合的な対策を詰めているところですが、今後まず、女性職員いろいろ悩みを抱えている、相談体制を充実していくということは極めて大事だろうと思っております。

それから、もう若年職員が多いものですから、社会人枠といいますか、ほかの経験のある方で刑務官をやってみたいという方は是非その経験を生かしてやっていただきたいと思っておりますし、それから、一度子育て等で退職された方も、再雇用を希望される方には是非その再雇用に応じていただくということも必要だろうと思います。

それから、先ほども申し上げたことですが、地域の医療、福祉等に係る専門家の支援を得るようなネットワークづくりと。やはり高齢の受刑者の割合がこれだけ増えてまいりますと、福祉との連携とかいろんなことが起きてまいります。そういったことが適切にできるネットワークづくりが大変大事だろうと思います。

それから、過剰収容問題がございますが、男子刑事施設で少し空いているところが、空いているというか、かなりゆとりが出てきたところがございますので、そういったところを女子刑事施設に、収容区域に転用することによって過剰収容対策も更に進めていかなきゃいけないと。

こういった、多方面というか総合的に刑務官の執務環境の改善を努めて、定着、育成というものを図っていきたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

やはり女性の特殊な状況であるとか、あるいは高齢化をしている状況であるとか、先ほどお答えもいただきましたけれども、また精神や知的や身体障害のある女性、さらには、今、性同一障害に対する問題などもございます。そういうことも考えていきますと、やはり地域との連携、医療関係団体との連携なども踏まえて、是非、地域の人的協力支援などを得られるような枠組みも検討していただきたいと思います。

次に、司法修習に対する給費制の復活についてお伺いをしたいと思います。

先ほどから出ておりますように、法科大学院の入学者が定員数の六割になったとの報道がありました。志願者減の背景には、司法試験合格率の低迷、弁護士の就職難など様々な問題があると思いますが、経済的な面からは、法科大学院の学費等の負担、あるいは給費制の廃止による司法修習時の無収入といったことも大きいと考えられますが、そこでまず、法科大学院の修了時、学生は平均してどのくらい借金をしているか、法務省ないし最高裁はこの点について把握しておられるのか、お伺いをしたいと思います。

政府参考人(小川秀樹君・法務大臣官房司法法制部長)

お答えいたします。

法科大学院生全体につきまして、法科大学院修了時点におきます債務の額につきまして、法務省としては把握しておりません。

もっとも、新司法試験に合格した者について、平成二十三年の五月、これは政府に設けられました法曹の養成に関するフォーラムにおきまして、大学や法科大学院に在学中の奨学金などに関するアンケート調査を実施したことがございます。その結果によりますと、大学及び法科大学院に在学中の奨学金等を利用した者は、有効回答数、これは二千二百三十六ございましたが、そのうち約半数でございまして、金額が判明する者について、返還開始時点における総債務額の平均値は約三百四十七万円、総債務額の中央値は約二百九十八万円であるものと承知しております。

糸数慶子君

次に、法科大学院の学費は、これは国立で年間八万から九十万、それから私立の高いところでは百五十万を超すというふうに聞いております。その三年分の学費に加えて必要経費、さらに下宿の場合は生活費もかなり掛かりますので、修了時約一千万円の借金を負うことになっても不思議ではないというふうに言われております。結果として、法科大学院ルートより予備試験ルートを選択する学生が増えることは当然のことではないかというふうに思います。

法務大臣は、最近のこの法科大学院の受験者数の減少、予備試験受験者数の増加についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

予備試験の受験者が増えてきているということと、それから法科大学院受験者が減っていると、これは、ただその関係というと実はなかなか難しゅうございまして、予備試験の受験者の中には法科大学院生もおりますので、今のような形で直ちに評価することは私はかなり難しいなと思います。いずれにせよ、法曹養成制度に対する様々な問題点が指摘をされておりまして、それに対する各施策を今検討、実施中でございます。

それで、一つは、先ほど来、法曹人口がどのぐらいが適切かという議論が行われておりますが、これはきちっとした調査を基に適切なやはり規模を考えていかなければいけないということだと思いますし、それから、法科大学院が必ずしも所期のとおり動いていっていないということの背景には、数が多過ぎたということもございますし、質をどう確保していくかという問題がございます。これは文科省だけではなく法務省もそれについていろいろ検討しているところでございます。

それから、就職難ということがあって、やはりなかなか法科大学院へ行ってもというような感じが出てきてしまう、これは法曹の活動分野というものがいかに拡大できるかと。

それから、一つは、法科大学院のやっぱり時間的、経済的負担という問題もございます。これは中教審で飛び級等も含めて議論をしていただいていると。

いろいろございますが、そういったことを総合的にやはりやっていくということが必要なのではないかと思っております。

糸数慶子君

そこで、最高裁判所にお伺いいたしますが、司法修習中のアルバイトを一部認めているとのことであります。これまで司法修習生からアルバイトの申請があり、最高裁がこれを認めなかったケースはどのぐらいあるのか、あるとすれば、その場合、認めなかった理由について、職種や時間などについて具体的に示していただきたいと思います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君・最高裁判所事務総局人事局長)

お答えいたします。

司法修習生につきましては、最高裁判所の許可がなければ兼職、兼業を行うことができないものでございます。昨年七月の政府の法曹養成制度関係閣僚会議決定におきまして、法科大学院における学生指導を始めとする教育活動につきまして兼業を認めるべきとの提言がなされましたことなどを踏まえまして、最高裁としましても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の運用を緩和することとした次第でございます。

現在、司法修習中の第六十七期からこの許可の運用の緩和をいたしました。今年の四月末日までの数字でございますけれども、許可をいたしましたものが二百十五件でございます。法科大学院あるいは司法試験予備校での指導アシスタントあるいは答案添削が圧倒的多数でございます。

不許可にいたしましたものは二件でございます。

かいつまんで概要を申し上げますと、一件はファストフード店におきますアルバイトでございました。ただ、申請内容から見まして、業務内容あるいは業務に従事する時間、これは、平日の夜及び休日等の合計時間を見ますとやはり本人にとって過重になりかねないということから、修習に支障が生ずるおそれが高いということで不許可にいたしたものでございます。

もう一件は、この申請人の配偶者が弁護士をしておられまして、夫である弁護士の方が法科大学院での教材作成をされておられたと。この夫の方からアルバイトをするということで、そのアルバイトに従事する場所などを勘案いたしまして、司法修習生の中立性、公正性を損なわないものと言うことはできないと考えまして、修習に支障を生ずるおそれがあるということで不許可にいたしたものでございます。

糸数慶子君

司法修習中のアルバイトが一部認められたといっても、その件数も極めて限られております。司法修習生の経済的な問題を抜本的に解決することにはなかなか至らないと思うんですが、そのことを申し上げますと、やはり事務当局はすぐ予算のことを持ち出しますが、司法試験合格者は当初その予定の三千人を下回り、ここ数年、ほぼ二千人前後を推移しているのが現状であります。また、裁判員関係に関しても、法廷改修など、制度発足時に要する費用はほぼ完了したはずです。

そういたしますと、司法関係の予算に関して見ても、やはり給費制を復活させる余地はあるのではないかと思います。司法試験合格者数の見直しに伴って、給費制の復活や一部給費制といった方法も考えられるのではないかと思います。谷垣法務大臣も三十数年前に給費制の恩恵を受けたお一人として、給費制復活のために是非リーダーシップを発揮すべきだと考えますが、御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

どうも糸数委員から、あんたも三十数年前に給費制を受け取ったろうと言われますと答弁が難しゅうございますが、確かに当時、司法修習生になりまして給与をいただき、特に、六月でしたか、ボーナスをいただいたときは大変うれしかった記憶がございます。

ただ、今、昨年六月の法曹養成制度の検討会議において、貸与制を前提として幾つかの改善策ができたわけですね。それが七月の法曹養成制度関係閣僚会議でも決定されて、先ほど最高裁の人事局長からお話がありましたように、これは兼業許可の話でしたが、六十七期の司法修習生からそれが適用されると。

やや具体的に申しますと、貸与制を前提としながら、各地において行われるいわゆる分野別実務修習が行われるときの開始に当たって、そこへ引っ越さなきゃならない、それの移転料の支給であるとか、あるいは研修所で全員が集まって行う修習のときに、やはり住まいの問題がございますので、司法研修所の寮に入ることを希望する修習生に対する配慮と、それから先ほどの兼業許可基準の緩和等々がございますが、これ、決定が実施に移されたばかりでございますので、最高裁判所と連携しながら、運用状況も見ながら、これらの取組を着実に進めていくことが今の段階かなと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。終わります。