国政報告

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企業の内部統制は機能しているのか

第186回国会 2014年5月20日 参議院法務委員会(会社法③ 20分)

5月20日、会社法について3度目の質問を行い、①公認会計士試験・登録制度の在り方②内部統制システムの効果(最近の調査に見る内部統制枠組みの機能の評価)③株式等売渡請求制度における取締役・取締役会の役割④常勤の監査等委員の選任義務付け⑤「その他の重要な使用人」の範囲――などについて金融庁と法務省をただしました。

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

前回、十五日の質問の続きから質問させていただきます。

まず、金融庁にお伺いをしたいと思います。

公認会計士試験と登録制度の在り方についてでありますが、経営陣による粉飾決算等の不適切な行動を防ぎ、企業のガバナンス強化につなげるとともに、投資家から信頼される公正な証券市場を確立する観点から、会社の監査を行う公認会計士や監査法人の役割、これは極めて重要であります。しかし、公認会計士試験制度をめぐっては、合格者が監査法人に就職できない問題等により志願者が大きく減少しており、今後の人材確保に与える影響は小さくありません。

そこで、今後の試験、登録制度の在り方について政府はどのように考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。

政府参考人(氷見野良三君・金融庁総務企画局審議官)

お答え申し上げます。

御指摘のとおり、公認会計士による監査は、我が国資本市場を支える重要な基盤の一つでございます。

ただ、いろいろ御指摘ございましたとおり、公認会計士試験の合格者数は、平成十八年の新試験制度への移行後に一旦増加いたしましたが、他方で監査業界の採用数はリーマン・ショック以降減少いたしまして、試験に合格しても就職できないいわゆる待機合格者が多数発生し、御指摘のとおり、公認会計士を志望する方にも影響が出てきたということがございましたわけですが、その後、試験合格者数が減少する一方で大手監査法人の採用数が回復したことから、足下ではほぼ需給が見合うような形となっており、いわゆる待機合格者数は相当程度減少してきているところでございます。

ただ、試験制度につきましては、やはり公認会計士制度の基盤を確固とするという意味からも安定的な運営が重要だと考えておりまして、今後、安定的な試験制度の運営に努めるとともに、公認会計士の資格や業務が魅力あるものとなるよう努力してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、法務省と金融庁にお伺いをしたいと思います。

現行の会社法では、大会社に内部統制システムの構築を義務付けております。一方で、金融商品取引法では、上場会社等に対し、監査法人等の監査証明を受けた内部統制報告書等の提出を義務付けています。しかしながら、最近でもオリンパスや大王製紙など、かなりの負担を掛けて内部統制システムを構築しているはずの上場会社においても不祥事が発生しております。

そこで、会社法や金融商品取引法において内部統制を重視する枠組みを設けているのはいかなる効果を考えているのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(深山卓也君・法務省民事局長)

確かに、御指摘のようなケースのように、企業不祥事に企業の内部関係者が関与している例もあると思っておりますけれども、企業不祥事が生ずるに至った経緯とか原因は個別の事案ごとに異なりますので、現行法の内部統制システムが、不祥事が起こっているということで全く機能していないと結論付けるわけにはいかないと思っております。

内部統制システムが十分機能しているということは、もちろん企業の不祥事を未然に防止するために一番重要なことでございますので、多くの企業においてはこれが十分に機能するよう取組がされているんだろうと思っております。

政府参考人(氷見野良三君)

金融商品取引法の方の内部統制報告書制度の趣旨、効果について申し上げます。

金商法の内部統制報告書制度は、財務報告に係る内部統制の充実を通じてディスクロージャーの適正性を確保し、ひいては金融資本市場に対する内外の信頼を高めていくことを趣旨としておりまして、またこうした効果を期待するものというふうに考えてございます。

糸数慶子君

そこで、次の質問をいたしますけれども、最近の調査に見る内部統制枠組みの機能の評価について、改めて法務省と金融庁にお伺いをしたいと思います。

プライスウォーターハウスクーパースの調査によりますと、日本企業の経済不祥事について内部関係者が関与するものが八割以上と、世界全体の傾向と比較して非常に大きい割合を示しております。また、日本公認会計士協会によりますと、公認会計士向けアンケート調査によりますと、監査業務を通じて過去十年間に一度でも不正等を見付けた経験があるとの回答が四八・八%に及んでおり、経営トップ層が関与した不正等は約四分の一を占めているというふうに言われています。

これは限られた範囲ではありますが、こうした調査結果を見ますと、現行の内部統制に関する制度の枠組みが十分に機能しているとは言えないというふうに考えますが、認識をお伺いをしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君)

申し上げるまでもありませんが、会社法上の内部統制システムは取締役等の職務の執行が法令、定款に適合することを確保するための体制、その他会社の業務の適正を確保するために必要な体制を意味しておりますので、今委員が指摘されたような事実というのは、本来の内部統制システムの目指すところからするとなかなか十分にその意義が発揮されていないということがあるということを示しているのだろうと思います。

今回の会社法の改正においても、主としてグループ企業の内部統制ですけれども、内部統制システムの充実についても一定の改正を加えているところでございまして、今後とも、この内部統制システム、これは一に運用に懸かっていることでもございますので、の充実に向けて今回の改正法の内容あるいは本来の制度の趣旨等の周知に努めていきたいと思っております。

政府参考人(氷見野良三君)

金融商品取引法に基づく内部統制報告制度は、内部統制について経営者による評価と監査人による監査を義務付けております。このプロセスを通じて内部統制上の問題点の是正改善が進んだ事例も数多くあるというふうに考えておりますけれども、他方で、御指摘のとおり、ディスクロージャーをめぐる不適切な事例が今なお発生していることも事実でございますので、金融庁といたしましても、こういった事例の防止に向けて引き続き努力してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

今法務省、金融庁両方からお答えをいただきましたけれども、やはり現実の課題としてはまだこういうふうな不祥事があるということを考えましても、徹底した、改めて法の機能が十分になされるように指導の方もお願いしたいというふうに思います。

次に行きたいと思います。

これ、先ほど行田委員の方からも質問ございましたけれども、改めてお伺いをしたいと思います。

株式等売渡し請求制度、この件に関しまして、特別支配株主が少数株主である売渡し株主に対して株式等の売渡しを請求する制度、これ基本的には株主間の取引であるとの整理ができるというふうに思います。しかしながら、この改正案では、株主間の取引であるにもかかわらず、売渡し請求についての対象会社の承認を求めており、承認を求める趣旨については、法制審議会会社法制部会の中間試案における補足説明では、対象会社の取締役がキャッシュアウトを承認する際には、売渡し株主の利益に配慮し、キャッシュアウトの条件が適正なものと言えるかどうかを検討するべきであるためとの説明がされています。

従来、取締役の善管注意義務には、売渡し株主、つまり少数株主の利益に配慮する義務が含まれるとは必ずしも考えられてきませんでした。そのため、本制度の活用に当たっては、取締役の対価の適正確保に対する義務が大きな検討課題になるというふうに思われます。しかしながら、対価が少数株主にとって利益となるものかどうかまで判断することとなると、相当判断に困る場合が出てくるのではないかということも予想できますが、法務大臣の御見解、改めてお伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

株式売渡し請求は、確かに株主間の取引ではございますけれども、対象会社の大部分の株式を有する大株主が少数株主の株式について対価を支払って、言わば強制的に取得することを認める制度です。

そこで、少数株主、つまり売渡し株主の利益をどう守っていくか、確保していくかということが大事になりまして、そして、今回、株式売渡し請求に対象会社の承認を要することとしておりますが、この承認がなければ売渡しの効力は生じない、ここに少数株主の利益を守る制度といいますか、そういうものとしてこういう承認を考えたわけであります。そして、取締役会設置会社がその承認をするか否かでありますけれども、取締役会の決議によらなきゃならないと、こういうふうにしておりまして、少数株主を含む株主の利益に配慮すべき立場にある株式会社の取締役又は取締役会が善管注意義務に基づいて株式売渡し請求を認めるかどうかを判断することとしております。

それで、今委員おっしゃいましたように、善管注意義務というのは、善管注意義務はどうどうだというような定義規定というのは余り私の知る限り法上ございませんで、通常は会社に対して負うもの、会社に対して負うものというのはひいては全株主に対して負うものということになっておりますが、ここでこういう制度を立てて、わざわざこの場合に、大部分の株式を持っている大株主が請求をするわけですから、判断することは大株主の利益に合致するかどうかではなくて、売渡し株主の利益がきちっと保護できるかどうか見るのがこの場合の取締役の役割であり、善管注意義務の内容であると、こういうふうに解することができるというふうに思っております。

それで、こういうものだとすれば、対象会社の取締役あるいは取締役会は、対価として交付される金銭の額が相当であるかどうか、あるいは特別支配株主における資金確保、からっけつと言うとちょっと言葉は悪いですが、ちゃんと払えるだけの資力を、資金確保をしているのかどうか、こういうことを確認した上で株式等売渡し請求を承認するかどうか判断しなければならないことになると、この点は法務省令でもきちっと対応しようと考えているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、監査等委員会設置会社における常勤の監査等委員の選任義務付けについてお伺いをしたいと思います。

監査等委員会設置会社において常勤の監査等委員の選任を義務付けるかどうかについては法制審議会の会社法制部会でも相当議論があったと聞いておりますが、最終的には、監査等委員会設置会社における監査は、監査等委員が自ら実際行うことにより監査する形ではなく、基本的には今の委員会設置会社と同じように、会社の内部統制システムを利用し、そこから報告を受ける形で監査をすることを想定しているとのことで、常勤の監査等委員を必須とすることにはならなかったというふうに承知しております。

そこで、これまでの監査役会設置会社では常勤の監査役の設置が義務付けられており、大会社のような規模の会社では社内の情報把握などの点で常勤の監査役が重要な役割を果たしており、監査等委員会においても常勤の監査等委員の選任を義務付けるべきではなかったかとも思いますが、法務大臣の御見解をお伺いいたします。

政府参考人(深山卓也君)

今御指摘のとおり、現行法の監査役会設置会社については常勤の監査役を置くことが義務付けられております。

今回、新たに設けました監査等委員会設置会社につきましても常勤の監査等委員を置くことを義務付けたらどうかということについては議論があり、検討したところでございます。

しかし、結論的には、これも委員の御指摘にあったところですけれども、現行法の委員会設置会社の監査委員会のように内部統制システムを利用した監査を行うと、そういうモデルを想定するのがよろしいだろうということで、結局はこれは監査の仕方をどういうふうに想定をして機関構成をするかということですけれども、現行の委員会設置会社に倣って内部統制システムを利用した監査を行うということを想定して、監査等委員会設置会社においては常勤の監査等委員を選定することを義務付けることはしなかったと、こういう結論になったものでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、その他の重要な使用人の範囲についてでありますが、現行法における社外取締役の要件は、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものというふうに定義されております。

これに対して、社外取締役の経営に対する監督機能の実効性を高めるという観点から、現行法における社外取締役の要件は十分とは言えず、経営者と利害関係を有しない独立性、具体的には、親会社の関係でないものであることや、重要な取引先の関係でないものであること、経営者の近親者でないものであること等が必要であるとの指摘がされていました。

そこで、今回の改正法案では、社外取締役の要件に親会社関係者でないこと、いわゆる兄弟会社関係者でないこと等が追加され、また株式会社の関係者、つまり取締役、執行役、支配人その他の重要な使用人又は親会社等の配偶者又は二親等以内の血族、姻族でないことも追加されています。

そこで、今回の改正法案第二条十五号のホで追加されるその他の重要な使用人の範囲は条文上明らかではないかというふうに思います。その他の重要な使用人という概念は第三百六十二条第四項第三号でも用いられておりますが、今回の改正法案第二条十五号ホと同義なのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君)

今御指摘があったとおり、第二条十五号ホで、重要な使用人に限ってその近親者は社外取締役となることができないこととしておりますが、これは、使用人のうち取締役や執行役に準ずるものについては、その実際の権限に鑑みれば株式会社の利益を犠牲にして自己の利益を図る利益相反行為に及ぶ類型的なおそれがあると、他方で、社外取締役というのはこういった利益相反行為が行われないように監督すべき立場にあると、こういうことを考慮したものでございます。

したがって、重要な使用人というのは、典型的には使用人のうち取締役や執行役に準ずるもの、例えば実務上よく言われる執行役員などがこれに該当するものと考えられます。そして、この重要な使用人という概念は、現行法では三百六十二条の四項第三号、先ほどお触れになりました、取締役会が選解任の決定を行わなければならないものですけれども、ここにも使用されておりますが、両方の意味は基本的に同じものでございます。

委員長(荒木清寛君)

糸数さん、時間が来ておりますので、おまとめください。

糸数慶子君

あと、ほかに通告しておりましたけれども、次回に回したいと思います。

以上で終わります。