国政報告

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社外取締役制度の強化が必要

第186回国会 2014年5月15日 参議院法務委員会(会社法② 40分)

5月15日、会社法の質疑で、まず修正案と対案について提案者に質問。政府案については、①上場企業・大企業に対するガバナンス強化②社外取締役制度等の強化(社外取締役の選任状況、金融機関への導入促進)③監査役等の機能強化(会計監査人の選任議案の決定権付与)などについて、金融庁と法務省に質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

会社法の一部を改正する法律案に関して、まず冒頭に、整備法の修正に関する質疑を提案者にお伺いをしたいと思います。

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の改正規定を追加し、同法第十二条第一項の特定事業者のうち特定会社については、改正後の会社法第四百六十七条第一項第二号の二の規定は適用しない旨の修正が衆議院で行われました。

そこでお伺いいたしますが、十三日の参考人質疑でも明らかになりましたけれども、水俣病不知火患者会は、水俣病に関する裁判が係属していることなどを挙げて、チッソの責任を免責し、水俣病の幕引きを図ろうとする修正案提出は許されないと訴えています。このように訴える患者団体に対して修正案提出の理由等を丁寧に説明されたのか疑問でございます。

また、整備法について、修正の必要性と、修正しなかった場合の影響について、修正案提出者に確認をしたいというふうに思います。

衆議院議員(西田譲君)

糸数議員にお答え申し上げます。

今、冒頭御質問の中でお触れになりましたとおり、先日の参考人質疑等で、参議院で、その地元の被害者の方々の御意見をお聞きになられて、そして、そういった方々のお訴えにまさしく気持ちを寄せていらっしゃる先生の御質問また政治姿勢に対しては、心から敬意を表するものでございます。

この修正案を提出する前に、我が党所属のまさに熊本県選出でこの特措法の制定においても御尽力されました園田博之議員の方から、不知火会の代表者の方と面会をさせていただいて、今回の修正案の趣旨について丁寧に説明をさせていただいたものでございます。

そしてまた、今回の必要性、そして修正しなかった際の影響ということでお尋ねでございますけれども、今回の修正案によって救済の時期等について何ら影響が出るものではないというふうに認識をしております。ただ一方で、この救済の時期に対する影響はないんでございますけれども、その後の清算処理等のこの水俣病特措法スキーム全体に対しては何らかの影響が出るのかもしれないという認識は持っております。

いずれにいたしましても、繰り返しの答弁になりますが、当時のやっぱりこの特措法を制定された立法の趣旨を尊重するという意味においては、新たな法手続若しくは権利行使の根拠となるようなことは適切ではないというふうに考えております。

糸数慶子君

私、参考人質疑のときにも、やはり不知火患者会の皆さんの悲痛な訴えというのが今も耳に残っているわけですけれども、やはりこの救済に関しては、全体に何らかのその影響があるかもしれないという今のお話でございましたけれども、是非、全体が救えるようなその状況をやはりつくるべきだというふうにあえて強く申し上げたいというふうに思います。

次に、環境省としては、整備法が修正されず、会社法の改正の規定が適用された場合でも、水俣病特措法における事業会社のこの株式の売却に関してやはり問題は生じないということでしょうか。

そもそも、問題があるということであれば、整備法の提出の際にきちんと手当てしておく必要があったのではないかと思います。問題は生じないということであれば、どのような理由からこの会社法の改正の適用が問題ないと判断したのか、環境省にお伺いいたします。

政府参考人(清水康弘君・環境省総合環境政策局長)

お答え申し上げます。

環境省といたしましては、水俣病の原因企業の株式譲渡につきましては、水俣病被害の補償や救済が確保されるという観点から、水俣病特措法の規定に基づき環境大臣としての判断をしっかり行うことが重要であると認識しているところでございます。さらに、現状、株式譲渡のための環境大臣承認の要件が整っている状況にはないと認識しております。こういうことを勘案いたしまして、今回、株主総会の特別決議を水俣病の原因企業の株式譲渡について適用しないとするような内容の改正をするという方針は取らなかったと、そういうことでございます。

今回、議員立法についての議員修正でございますが、水俣特措法の制定に関わられた議員の方々のお考えに基づき提出されたものというふうに受け止めておりまして、賛否という形でのコメントを申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。

いずれにしましても、今回の議員修正によりまして、水俣病特措法の株式譲渡に係る環境大臣の承認手続については何ら変更がなされるものではございませんので、環境省といたしましては、水俣病被害の補償や救済が確保されるよう、水俣特措法の規定に基づきしっかりと対応していきたい、かように考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

先ほども申し上げましたけれども、やはり今の患者会の皆さんの思いがしっかり行き届くような、そして補償されるような状況を是非とも環境省には強く申し上げたいというふうに思います。

次に、今回の法案に対する対案に対しての質問をさせていただきたいと思います。

社外取締役のその人数についてでありますが、特定大会社においては取締役のうち一人以上は社外取締役でなければならないものとしていますが、社外取締役に期待される経営に対する監督機能を果たすためには取締役会において何人の社外取締役が必要なのでしょうか。

社外取締役の選任の義務化の人数として一人で十分と言えるのか、発議者に確認をしたいと思います。

前川清成君

ありがとうございました。

特定大会社におきましては、私たちの提案では、社外取締役が任期の途中で退任した場合には、ほかに社外取締役が一人も取締役会にいなければ選任義務違反の状態となりまして、それ以後の取締役会におかれてなされた取締役会決議は無効なものとなってしまいます。したがいまして、一人しか社外取締役がいなかったとしても、自らの立場を言わば拒否権的に使うことができて、社外取締役は一人であっても十分に機能するのではないか、こういうふうに考えています。

ただ、もっとも、一人よりも複数いた方がいいことは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、今経済界で社外取締役の人選等について極めて否定的な雰囲気がある中で、あえて複数の社外取締役を義務付けるという状況にまでまだ至っていないのではないかと、こういうふうに考えて、今回は一人という提案をさせていただきました。

何人が望ましいのかというお問合せもいただきましたけれども、それはまさに会社の規模でありましたり、あるいはその会社の業務内容、取締役会の構成人数、そして当該社外取締役の能力だったり意欲だったり、そういったものに左右されるのは当然だろうと思いますけれども、ただ、海外で主流の委員会設置会社においては社外取締役が半数以上というふうになっておりますので、将来的には私たちの提案しております特定大会社に関しては半数以上というのを目指すべきではないかと、こんなふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

将来的には半数以上ということは、これは時間が掛かるかと思いますけれども、そのように進むことを望みたいと思います。

次に、社外取締役の義務付けの定め方についてでありますが、これは、東京証券取引所は有価証券上場規程を改正し、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するよう努めなければならない旨を定め、今年二月十日から施行しましたが、これは一昨年九月の法制審議会の総会で採択された会社法制の見直しに関する要綱の附帯決議に基づくものであると承知しております。しかしながら、社外取締役の導入を会社法で定めるべきか、金融商品取引所の規則等に委ねるべきであるかについては、法制審議会会社法制部会では議論が重ねられたというふうに聞いております。

そこで、やはり会社の経営管理機構の在り方の基本に関わる事項は会社法で定めるのがよいのではないか、将来を見据えて会社法が社外取締役の活用を促進することは有益であるというふうに思われますが、このことに関しても発議者に確認をしたいと思います。

前川清成君

まず、この社外取締役の義務付けという会社法の最も基本的な部分でありますので、会社法に定めておくことは私はむしろ言わば当然だというふうに考えています。

それと何よりも、経済がグローバル化しています。そんな中で、日本の会社に関するルールを日本の会社法を見ても分からないと、会社法だけじゃなくて、例えば、法務省の通達も見なきゃいけないし、上場規則も見なければいけないし、あるいは判例も見ないとトータルとして会社に関するルールが分からないというのであれば、やはり日本市場というのは海外からの投資の対象にならない、グローバルな競争の中に残っていけないと、そういうふうに思っております。

それと、東証の上場規則に関しては、今、糸数先生がおっしゃったように努力義務というふうに書かれておりますけれども、その努力義務の違反の効果というのもはっきりされておりません。そういう意味において、やはり私たちは会社法の中にルールとして明記するべきだと、こういうふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次は、政府案に対する質疑を行いたいと思います。

現行会社法におけるガバナンスの面の規制と、その評価と課題についてでありますが、二〇〇六年、これ平成十八年の五月に施行された現行の会社法は、非上場のベンチャー企業や小規模企業から上場大企業まで全てを対象としており、従来の商法等の規定と比較して、会社の組織設計や資本金など、経営の自由度を高める規定となっています。また、他方では、証券取引法を改組する形で平成十九年九月に施行された金融商品取引法では、市場の公正性確保や投資家保護の観点から、上場企業の情報開示に関する規定が定められています。

もとより、金融商品取引法と会社法はその目的を異にするものでありますが、その後生じた企業の粉飾決算等の事例を踏まえて金融商品取引法の情報開示規制がしばしば改正がなされていることを踏まえれば、会社法においても現実の企業経営の実態に合わせて必要な規制を適時適切に講じていくことが必要であったのではないかというふうに考えます。

今回の会社法改正案では、監査等委員会設置会社制度や、社外取締役、社外監査役の位置付け等、ガバナンス強化の観点からの改正項目も含まれていますが、現行会社法におけるガバナンスの面での規制をどのように評価し、そして課題を認識しているのか、お伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

現行の会社法におけるいわゆるコーポレートガバナンスについては、幾つかの批評がございまして、要するに、取締役に対する監査、監督の在り方が少しぬるいのではないかと、そこを見直すべきであるというような御指摘がありました。それで、それは結局のところ、こういう御指摘の背景には、日本企業ではコーポレートガバナンスというのが不十分なんじゃないかと、そして、そういうことが結局、日本企業の収益力が上がらないし、株価も低迷して魅力のある投資先に映らないのではないかというような、内外、主として海外からそういう御批判があったのではないかと思います。そういうことから、社外取締役の活用等を考えろと、こういう御意見が出てきたと。

今回、そういうお声に応えるという意味で幾つかの改正をしたわけでございますが、コーポレートガバナンスを強化するということは、先ほど来の御議論で、一つは、やはりコンプライアンスの強化というか適法性、あるいはいろいろな企業の腐敗していくことをきちっとコントロールせよという面と、それからやはり企業の企業価値といいますか、収益性といいますか、企業の魅力といいますか、そういうものを、効率性ということもございますね、そういうことを図るということが、両方あると思います。

今回、先ほど来御議論のように、義務付けということはこの私ども出したものではしておりませんが、いわゆる相当義務付けに近い内容になっているということでございまして、これによって日本企業に対する内外の投資家の信頼が高まることを期待しているということでございます。

糸数慶子君

そもそも、小規模企業とそれから上場している大企業では、株主や従業員、取引先などの利害関係者の数も大きく異なります。求められるガバナンスの在り方にもおのずから相違があるというふうに思います。小規模企業のガバナンスを軽視するものではもちろんありませんが、一般的には上場企業それから大企業となるほど利害関係者との関係がより複雑となるため、ガバナンスの更なる強化が求められることになります。

現行の会社法においても、一定の大企業には取締役会や監査役の設置、そして内部統制システム構築の方針決定などを義務付けていますが、更に進めて、上場企業、大企業のガバナンスを特に強化する枠組みを会社法に設けることも必要ではないかというふうに考えます。その際、現行は会社法と金融商品取引法に分かれている上場企業の情報開示に関する規定の整理や、上場企業を対象とする特例の会社法制、いわゆる公開会社法なども考えられますが、こうした考え方について改めてまた大臣の御見解を伺いたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

会社法とそれから金融商品取引法を一本化したらどうだと、特に開示制度等々は一元化すべきではないかというようないろんな御議論があることは私も承知しております。

ただ、会社法は、やっぱり企業の設立、あるいは組織、運営、管理、こういうものに対する組織の基本を定めたものでございます。そういう中で、会社あるいはいろいろなステークホルダーの利害調整というものを図っていると。一方、金融商品取引法は、投資家一般の

擁護といいますか権利を守るといいますか、そういう観点から作られた、不正取引の規制等々を行うということで、両法の狙いは私は違うと思うんですね。そこで、一本にまとめるということは、そういう観点から申しますと、かなり規律の目的であるとか機能が違う、かなり一本にまとめるというのは困難があるのではないかと思っております。

ただ、実際、私は十数年前、金融担当の閣僚もやらせていただいたんですが、当時は、会社法と当時は証券取引法ですね、随分考え方も違うというか、相当悪い言い方をすれば角突き合わせるということも多かった、必ずしもないわけではなかったと思います。今必要なことは、こういう法体系は違うわけですが、だからといって実務の負担の軽減ということを考えなくていいわけではない。両者の規律の調整が、角突き合わせていればいいというわけではない。両法の規律の調整を図るというようなことが私は必要ではないかと思います。

そういう面は、十数年前、金融担当をやらせていただいた頃から比べますと意識も変わってきておりますし、かなりいろいろな面で進んできた面があると思いますので、これからもそういう点は意を用いていかなければいけないのではないかと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

かつて私も財政金融委員会に所属しておりましたので、谷垣大臣とはその頃からのお付き合いでございますけれども、今の御発言にございましたように、やはり進んでいくという状況を見守っていきたいというふうに思っております。

次に、社外取締役制度の強化に向けた対応についてお伺いをしたいと思います。

今回の改正案では、社外取締役、社外監査役の要件の厳格化が図られる一方で、経済界からの反発等を背景にして、社外取締役選任の義務化自体は見送られています。これに対しては有識者からも批判があるほか、与党内でも義務化を求める意見があったというふうに報じられていますが、日本では社外取締役に対して、その会社や業界についての知識がないなどとしてその役割を懐疑的に見る意見もいまだに少なくありません。また、身内で固めた経営陣の中に社外の人物を入れたくないという意識もあるのではないかというふうに思われます。

ただ、本来、取締役ないし取締役会にとっては、会社の業務執行だけでなく、業務の監督、モニタリングも重要な役割でありますし、社外取締役の役割をどのように位置付けているのか、法務省の御認識をお伺いしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君・法務省民事局長)

社外取締役につきましては、業務執行者の業務執行全般を評価して、これに基づいて取締役会における業務執行者の選定、解職決定についての議決権を行使するといったことを通じて業務執行者を適切に監督するという機能が期待できると思っております。

また、利益相反行為の監督機能、すなわち、株式会社と業務執行者との間の利益相反を監督する機能や、株式会社とその業務執行者以外の、例えば親会社等の利害関係人との間の利益相反を監督するという機能もよく果たせるのではないかと期待をしております。

このように、社外取締役には、コーポレートガバナンスを強化する上で非常に重要な機能を果たすことが期待できると思っているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、社外取締役の選任状況等に対する評価について、金融庁と法務省についてお尋ねをしたいと思います。

東京証券取引所が昨年九月十日に公表した東証上場会社における社外取締役の選任状況等によれば、東証第一部上場会社の六二・三%で社外取締役を選任しています。第二部やマザーズ、ジャスダックも含めた全上場会社ベースでは五四・二%と、過半数の会社で社外取締役を導入している状況にあります。

社外取締役の選任の義務付けは、必ずしも法律で規定するものでなくても、証券取引所の規則で対応する方法もあります。現に東京証券取引所では、独立役員制度を設け、各上場会社に対し、現行の社外取締役等よりも要件を厳格化した独立役員を一名以上確保することを求めています。さらに、法制審議会の会社法制の見直しに関する要綱の附帯決議に対応して、本年二月以降は取締役である独立役員を一名以上確保することと改められています。

政府としては、上場会社の社外取締役選任状況をどのように受け止めているのか、また、取引所規則によりますと、規律と、会社法自体に明文の規定を置くことによる規律について効果の違いをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君)

今般の改正法案では社外取締役の選任を義務付けることはしておりません。それは何度もお話に出ていますけれども、法制審議会ではこの点が最大の検討テーマとして取り上げられて何度も議論をしたんですけれども、賛成、反対、それぞれ論拠を持って非常に強く両者の意見が対立をしてコンセンサスが得られなかったというのがその最も基本的な理由です。

さはさりながら、仮に義務付けるとした場合でも、会社法だけではなくて上場規則などの手段もあるのではないかという点についてもお尋ねがありましたけれども、義務付けするという結論になった後の話として、どういう形式で、つまり、ソフトローである上場規則でやるか、法律である会社法でやるかというのは、どちらの選択肢も少なくとも論理的にはあると思います。

今の段階で、義務付けの結論を得ていない段階で、どちらがいいとか、どちらでなくちゃいけないということはありませんけれども、諸外国の例を見ても両方の例があるということは明らかですので、それは、仮に義務付けるとなったときにどちらがいいのか、我が国にとっていいのかということをその段階で考えなくてはいけない問題だと、こういうふうに思っております。

政府参考人(氷見野良三君・金融庁総務企画局審議官)

ただいま民事局長から御答弁ありましたとおり、二通りの方法があり得るというふうに私どもも考えてございます。その上で、仮に義務付けを行うこととなった場合、いずれによるべきかという御質問だったと思いますけれども、一つは、会社法は、会社の設立、組織、運営及び管理に関する事項を定める民事の基本法でありますが、一方、上場規則は、投資者保護、有価証券の売買の公正、円滑などの観点から、取引所が上場有価証券に関して必要な条項を定めるものでございまして、仮に議論する場合には、こうした会社法と上場規則の目的や機能の違い等も踏まえながら考えていくことになるのではないかというふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、昨年秋に顕在化したみずほ銀行の反社会的勢力への対応に関連して、当時のみずほ銀行の取締役会に社外取締役が選任されていなかったことを問題視する意見がありました。昨年十二月に取りまとめられました金融・資本市場活性化に向けての提言においても、上場している銀行及び銀行持ち株会社について、独立性の高い社外取締役の導入を促すことが必要であるというふうにされております。金融庁は、監督指針を改正して、上場銀行、銀行持ち株会社に対し社外取締役の選任を促す方針とされております。

一方、金融庁がまとめたところによりますと、上場している八十五の銀行そして銀行持ち株会社のうち、東京証券取引所が定める基準に適合する独立取締役を選任していないところが三十六に上っているというふうに言われております。

政府は、社外取締役を導入することで金融機関の経営、業務執行にどのような効果をもたらすと考えているのか、また、現在、社外取締役の選任状況をどのように評価しているのでしょうか。さらに、現在、銀行、銀行持ち株会社についてのみ議論されていますが、保険会社や証券会社など他の金融業態でも、保険金不払事案やそれから公募増資インサイダー取引事案など不祥事がしばしば生じています。他の金融業態についても同様に社外取締役の選任を促すことが考えられるのではないでしょうか、この点についてお伺いいたします。

政府参考人(池田唯一君・金融庁総務企画局審議官)

お答え申し上げます。

金融庁では、ただいま先生から御指摘がございましたように、昨年十二月に公表されました金融・資本市場活性化有識者会合の提言を踏まえまして、本年二月に上場銀行等におけます独立社外取締役の導入促進に係る監督指針改正案をパブリックコメントに付させていただきまして、現在、いただいた御意見を精査させていただいているところでございます。

金融機関に独立社外取締役を導入することの効果というお尋ねでありますが、金融機関が健全かつ適切な業務運営を行うに当たっては、経営管理が適切に機能していくことが重要であると考えられます。その際、独立社外取締役の導入は、経営管理の有効な機能発揮に資するものであるということを期待しているところでございます。

あわせて、金融機関における独立取締役の選任状況についての評価というお尋ねでございました。

今御指摘がございましたように、上場しております主要行など、あるいはその銀行持ち株会社におきましては、七先中七先全てに独立社外取締役が設置されておりますが、上場の地域銀行等におきましては、御指摘のとおり、八十五先中、四十九先では独立取締役が選任されておりますが、三十六先においては未設置であるというのは御指摘のとおりでございます。

私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、現在、こうした上場銀行等におけます独立取締役の導入促進に係る監督指針の改正案を公表させていただいているところでございまして、今後、こうした改正後の監督指針に沿いまして、上場銀行等におけます独立社外取締役の導入を通じてガバナンスの強化を図ってまいりたいと考えております。

さらに、あわせまして、保険会社、証券会社についてのお尋ねがございました。

御指摘のとおり、保険会社や証券会社につきましてもしっかりとしたガバナンス体制の構築が重要であるということは御指摘のとおりだと思います。このため、保険会社や金融商品取引業者等に関する監督指針においても経営管理体制の整備を求めているところではございますが、他方、独立社外取締役の導入ということになりますと、例えば保険会社につきましては、株式会社形態だけではなく、相互会社形態のものでありますとか、海外保険会社が現地法人形態で進出している場合があるなど様々な形態がある。また、証券会社については、国際的に活動している大手証券から地場証券まで、規模、業務内容がまちまちであるということで、一律に独立社外取締役の導入を求めていくということについてはなお慎重に検討をする必要があるのではないかと考えております。

ただ、いずれにしましても、保険会社、証券会社におきましても適切なガバナンスの発揮がなされるよう適切に配意してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、今回の改正案の附則第二十五条には、施行後二年を経過した場合の企業統治に係る制度の在り方についての検討条項が置かれています。また、金融・資本市場活性化に向けての提言においても、企業統治の強化については、会社法の一部改正法案の附則を踏まえ、一定期間後には、社外取締役の選任状況等を勘案し、企業統治の在り方について検討を加え、更なる対応を検討すべきであるとの提言もなされています。

この規定や提言項目が設けられた意義はどのようなものであるか、また、このいずれにおいても勘案すべきとされる社外取締役の選任状況とは具体的にどのような状況を指しているのか、お伺いをしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君)

今回の改正法案はコーポレートガバナンスの強化を図ることを大きな目的とするものでございます。ただ、コーポレートガバナンスに関する制度については、その性質上、これで完全だということはあり得ませんで、我が国の企業のコーポレートガバナンスをより一層前進させるというために、あるべきコーポレートガバナンスの姿に向けた議論はこの改正法が成立した後も継続される必要があると思っております。

こういった点を踏まえますと、コーポレートガバナンス、すなわち企業統治に係る制度の更なる改善を図るために、その在り方について今後も引き続き検討を加えていくということで附則第二十五条、今お話に出た検討条項を設けました。

政府は、施行後二年を経過した場合に、社外取締役の選任状況その他の社会経済事情の変化等を勘案して、企業統治に係る制度の在り方について検討を加えて、必要な場合にはその検討結果に基づく所要の措置を講ずるというものでございますけれども、これは具体的に、例示としては、例えば社外取締役を置くことの義務付けというようなことも挙げておりますが、これは、二年たった段階で、実際に社外取締役がどの程度導入が進むのか、現在から見てですね、また活用状況やその評価はどうなのかといった点を十分に調査して、その結果に基づいてどうするのかということを決める趣旨でございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、監査役、監査役会の意識改革の必要性についてでありますが、監査役、監査役会は本来強力な権限を持っているはずですが、実際には選任も経営者の意向によることで、言わば社長の部下でしかないとの厳しい指摘もされてまいりました。

オリンパスや大王製紙などの不祥事、それからみずほ銀行の反社会的勢力融資問題でも、監査役が職責を果たしたとは言えない状況だというふうに思います。今回の改正案では、監査等委員会といった新たな監査体制の枠組みをつくる一方で、会計監査人の選任議案の決定権が新たに監査役会等に付与されることとなり、より一層権限が強化されますが、こうした中で、社内監査役、社外監査役問わず、監査役、監査役会自体の意識改革が果たされなければやはり権限強化を使いこなすことも期待できないと考えますが、御認識はいかがでしょうか。

政府参考人(深山卓也君)

現在の我が国の企業の圧倒的な大部分が監査役設置会社あるいは監査役会設置会社でございますので、監査役それから監査役会は、我が国の企業においてコーポレートガバナンスが適切に行われるためには重要な役割を果たしているというのは事実でございます。

今回の改正法で新たな会社類型として監査等委員会設置会社制度を創設いたしましたけれども、実際にはその改正法施行後も相当な数の従来型の監査役設置会社あるいは監査役会設置会社が存続し続けるということになると思いますので、各会社のコーポレートガバナンスが適切に行われるためには、監査役も含めた企業関係者がガバナンスの強化の重要性について更に理解を深めて、監査役についていえばその職責の重要性を更に認識をしていただいて職務を遂行していただくことが重要だと思っております。

社会の変化に伴ってそういった監査役の役割に対する理解や認識は浸透してきているものと考えておりますけれども、法務省としては、改正法が成立した暁には、今回、コーポレートガバナンスの強化を大きな目的として改正をしたのだという改正法の趣旨を監査役も含めた企業関係者に理解してもらえるよう周知広報に努めたいと思っております。

糸数慶子君

会社法に基づく会計監査人、それから監査及び会計の専門家である公認会計士や監査法人から選任することになっております監査人の役割は株主のために監査を行うわけですが、その選任及び報酬の決定は監査の対象である経営者によって事実上行われることになります。監査対象から選任され報酬を受けるという構造上、監査人は独立性を保っていないという、いわゆるインセンティブのねじれの問題もあるわけですが、この対応策の一つとして、平成十九年の公認会計士法等の改正の際には、選任議案の決定権そして報酬等の決定権を、現在は同意権にとどまっている監査役、監査役会に与えるべきとの強い意見が主張されてまいりました。

今回の改正案では、監査役、監査役会等に選任議案の決定権が与えられる一方で、報酬等の決定権を付与することは見送られています。このような改正となったのはどのような理由でしょうか。また、監査報酬のその決定権については、平成十九年六月十四日の参議院財政金融委員会において、会計監査人の報酬の決定を定款の定めによって株主総会の権限とすることも可能であるとの答弁がなされていますが、この点についても現在でも変更はないでしょうか、お尋ねいたします。

政府参考人(深山卓也君)

まず、御質問の前半部分でございますけれども、現行法では、御指摘のとおり、会計監査人の報酬等の決定は取締役又は取締役会の権限としつつ、監査役等が報酬決定についての同意権を有するとされております。この点については、いわゆるインセンティブのねじれが存在するということを理由として、会計監査人の独立性を確保するためにはこれを監査役等の権限とむしろすべきであるという指摘があるのは承知しております。

この点は法制審議会でも議論にもちろんなりましたけれども、会計監査人の報酬の決定というのは選解任についての議案の内容の決定とは異なりまして、会社の財務に関する経営判断と密接に関連する、お金を出すという話ですので、そういう事柄の性質から考えて監査役等が報酬を決定するのは適当ではないんではないかというような意見が有力で、今回はこの点について特段の変更は加えておりませんけれども、他方で、選解任の方の議案についてのインセンティブの半分のねじれは解消しているということもございますので、今後は、それと相まって、報酬についても選解任の議案についての決定をする際に実際上様々な考慮をするという形でより独立性が高まるんではないかということも期待しております。

それから、御質問の後半では、平成十九年の参議院の財政金融委員会において、会計監査人の報酬の決定を定款の定めによって株主総会の権限とすることも可能である答弁が今も生きているかという趣旨だと思いますけれども、これは現在でもそのような定款の定めは有効であると解釈しております。

委員長(荒木清寛君)

糸数さん、おまとめ願います。

糸数慶子君

はい。

まだ通告はしておりましたけれども、時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。

ありがとうございました。