国政報告

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修正案は加害企業チッソを擁護するため

第186回国会 2014年5月13日 参議院法務委員会(会社法①b・参考人質疑 15分)

5月13日の午後、法務委員会で会社法改正に対する参考人質疑を行いました。参考人は、静正樹(株式会社東京証券取引所常務取締役)、藤田和久(三菱商事株式会社法務部長)、岩原紳作(早稲田大学大学院法務研究科教授)、大石利生(水俣病不知火患者会会長)の4氏。

私は、今回の会社法改正案に対する修正案「子会社の株式売却に株主総会の特別決議を必要とする要件からチッソを適用除外とする」に反対する水俣病不知火患者会の大石会長に意見を求め、被害者救済と水俣病の最終解決についてお話をお聞きしました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

今日は四人の方に、会社法の一部を改正する法律案に対する貴重な御意見を拝聴することができて、本当にありがとうございました。

最初に大石参考人にお伺いをしたいと思います。今、患者の先頭に立って頑張っていらっしゃることに本当に敬意を表して、今回のこの会社法に関する質問をしたいと思います。

今、子会社の株式売却につきまして、株主総会の特別決議を要求する改正に対して、チッソを適用除外するという会社法修正案に反対される理由として、一点目に、加害企業チッソが水俣病被害者救済の責任を免れる手助けをするもの、二つ目は、それは水俣病特措法の目的である被害者救済と水俣病問題の最終解決にも逆行するものというふうに先ほど述べていらっしゃいました。

このチッソの分社化、そして子会社株式譲渡は特措法で決まったことだから変更できないというその意見についてどう思われますか。そして、あわせて、水俣病の最終解決のために本当に何が必要だと考えていらっしゃるのか、改めてお伺いをしたいと思います。

参考人(大石利生君)

ありがとうございます。

今、糸数議員から御質問がありました点について、衆議院の方で四月の二十三日付けですか、一応法案が可決されたようですけれども、私が一番今日ここに来て言いたかったのはそのことであって、加害企業を守るため、まして、被害者がまだいるのに加害企業を守るために作られた法案であるというふうに感じております。

だから、ここで言う会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案要綱ということで、一つ、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法第十二条第一項の特定事業者のうち特定会社について、改正法四百六十七条第一項第二号の二(子会社の株式等の譲渡に係る親会社の株主総会の特別決議による承認)の規定は適用しないということは、先ほどからずっと私伝えております、加害企業であるチッソを擁護するための法案でしかないと思っておりますので、参議院の議員の皆さん、是非ともこのことは肝に銘じて、本当に、他の会社法案については私もよく存じておりませんが、事この百十六条の新設関係ということについては、是非とも私たち被害者の立場に立ち返って、本当に被害者の苦しみを知っていただくために、このことを是非とも認めるようなことはしないでほしい、これは是非お願いしておきます。

それと、済みません、もう一つ何か。ごめんなさい。

糸数慶子君

水俣病の最終解決のために何が必要と考えていらっしゃるのか、お伺いします。

参考人(大石利生君)

先ほどから言っておりますけれども、水俣病の最終解決とは被害者がいなくなるということです。そのためにはどうすればいいかということは、私たちは常に訴えております。まず関係住民の健康調査、それをやって、ああ、この地区にはもうそういう症状を持った人はいないなということが出てくるまで私たちはそれを訴え続ける。また、それをできるのは国であり行政だと思っているんです。それをやろうとしない今の行政というのは、とてもじゃないけれども、これでもって、被害者は救済しない、加害企業を救済するという、そういう偏ったことをやるという今度の会社法制案の新規にあるこの条項を是非とも私は皆さんの力で阻止していただきたいと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

今おっしゃいましたように、被害者がいなくなるというのが最終的なその解決法であると力強くおっしゃっていただきましたけれども、多くの委員からありましたように、皆さんの本当に望むところへこの国が進んでいくように、最後まで応援をしてまいりたいと思います。

次に、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に関する懸念についてでありますが、岩原参考人、藤田参考人、そして静参考人、お三方にお伺いをしたいと思います。

まず、監査役会設置会社から、それから監査等委員会設置会社に移行する際には、必要的に設置されている社外監査役をそのまま監査等委員になる社外取締役にスライドして就任させることが法的には可能であると言われていますが、そもそも社外監査役と社外取締役とでは求められる役割とふさわしい人材が異なるのではないかと思います。

それで、これまで社外監査役だった方が取締役会に議決権を有する取締役である監査等委員としてすんなり就任してもらえるのかという疑問もあります。また、元々社外取締役の人数を集めるのは実務的に厳しいという話もあり、今回の監査等委員会設置会社が新設されても状況は変わらないという指摘もあるというふうに聞いております。

監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対するその懸念について、先ほども申し上げましたが、岩原参考人、静参考人、藤田参考人、それぞれにお考えを伺いたいと思います。

参考人(岩原紳作君)

御指摘のとおり、制度上は従来の監査役設置会社の社外監査役の方が新しくできます監査等委員会の監査委員になるということも可能であると。社外性の要件が今回ちょっと変わっておりますので、それに関する問題はありますけれども、原則的には可能だと思います。

その際に必要とされる資格といいますか望ましい資質としては、確かに監査役に要求される資質と社外取締役である監査等委員に要求される資質というのは重なっている部分も多いと思います。無論、コンプライアンス等、従来監査役として求められていたことが今度は監査等委員会の委員としてやっていただくということも十分に考えられますので、したがってスライドして就任されるということも十分あってしかるべきかと思います。

ただ一方で、取締役になりますと、御指摘のとおり、取締役会で議決権を持ち、従来の違法性監査だけではなくて、妥当性監査、つまり経営の上で何が適切かということの判断をもしていただくことになります。そういう意味では、従来の監査役にはなかった資質も要求されるわけでありまして、社外監査役の中でそういうのに適切でないという方は外れるということも一方ではあるというように思います。直ちに自動的にスライドさせるべきだということには当然にはならないというように考えます。

以上です。

参考人(静正樹君)

私の方からは、それでは、違うお答えをした方がいいのかもしれないと思いましたので、じゃ、社外取締役の人材いるのかみたいな話のことを御説明した方がよろしいかと思います。

さっきちょっとお話ししましたけれども、確かに社外監査役の人材と社外取締役の人材というのは、実際に見てみても出身母体が少し違ったりということがあります。それはやはり今、岩原先生が御説明になったようなところに起因するんだろうというふうに思っております。

ところが、じゃどういう人が社外取締役になっているんだというと、ほかの会社で経営の経験があるという方が一番多いわけですよね。実は日本には、私どもJPXグループだけでも三千四百の上場会社があるわけです。つまり、三千四百人のトップ経営者というのがそこには存在、上場会社の経営の経験者というのは存在しているわけですね。そういう方々が、しかも代が替わればどんどん出てくるんですけれども、今は会社の中に囲まれてしまって、余りほかの会社の社外取締役になったりってすることが比較的少ないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。つまり、一度社長になれば、その後、個室と車と秘書が付いて、ずっといてくださいみたいな会社が比較的多くて、外行ってどんどん活動してくださいというふうになかなか今なっていないという会社も多いんじゃないかなということでございます。

逆に申し上げますと、その部分というのは、ひょっとすると良い人材プールに今後成長していくという可能性もあるんじゃないかというふうに思っておりますし、会社としても、先ほど藤田さんがおっしゃったように、経営感覚みたいなものを求めたいという、社外取締役だったらという、そういう御意見も多いと思いますので、比較的マッチングはうまくいくんじゃないかという感じがいたしております。

つまり、今後、今でも各種団体でそういうマッチングをしようということで、そういう仕組みを新たに設けたりとか、そういうことが盛んになってきていますし、人材紹介会社みたいなものも、役員レベルのもの、社外役員に重点を置いたようなものもだんだん出てきておりますので、そういうものが適切な人材の確保にそのうち役に立っていくんじゃないかと。そのときの人材プールとして三千四百ある上場会社の経営者OBなんていうのは比較的有望なんじゃないかというようなことを考えますと、必ずしもそれは今までマッチングをしていなかっただけで、マッチングをし出せばそれなりに人材出てくるんじゃないかということも考えておいた方がいいんじゃないかというふうに思います。

一方で、地方だとなかなか人が採りにくいというようなお声もございますけれども、最近、私どもで新規上場する会社というのは、実は半分が東京以外の地方の会社なんですね。ですから、こういう傾向を見ますと、そういう面も少しずつ改善されていくんではないかというふうに考えている次第でございます。

以上です。

参考人(藤田和久君)

直接のお答えにならないかもしれませんけれども、監査等委員会設置会社に移行しようとかという場合のメリットということを考えますと、今でいいますと重要な業務執行の決定を一定の場合に個々の取締役に委任可能ということで、取締役会の負担が軽減できるんじゃないかなというふうにちょっと思っておりまして、そういう観点から移行される会社というのは出てくるのかなと。

ただ、移行については、改正法成立して公布後に、施行規則の整備状況を踏まえて各社で本格的には検討されるというふうになると思っております。それと、監査役会設置会社にとって社外監査役に加えて更に社外取締役を選任するという重複感というのもありますので、やっぱりそういった企業が移行を検討するのじゃないかと推測はしております。

ただ、一つには、今これで三類型になるわけですけれども、この三類型の一つの類型が特に非常に優秀だとか、そういうことではなくて、三類型とも同じ価値であると、それぞれにガバナンスに工夫をするということかと思いますので、この監査等委員会設置会社についても、三類型の一つの類型ということで、特にそちらに持っていこうとか、そういう話ではないかというふうに認識しています。

また、先ほど社外監査役二名に加えて更に取締役一名となると負担だからという、ただ、それが理由で替わっていただくというのは、本来コーポレートガバナンスの高まりという点でいうと変な話だと認識していますので、その辺りは懸念というか、そういう理由ではなく移行していくように各企業とも考えていかなきゃいけないのかなというふうに思っています。

糸数慶子君

時間になりましたので、終わりたいと思います。