国政報告

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監査等委員会設置会社への移行に懸念

第186回国会 2014年5月13日 参議院法務委員会(会社法①a 15分)

5月13日、会社法改正について第1回目の質問を行いました。①監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対する懸念②法施行と社外取締役選任の必要性③多重代表訴訟制度創設の意義④支配株主の異動を伴う募集株式の発行等について-法務省にただしました。

(※会社法については、2005年6月9日に財政金融委員の時、法務委員会との連合審査で質問しました。当時、谷垣財務大臣、南野法務大臣)

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

最後でございますので、通告が重なった部分もありますけれども、改めて聞かせていただきたいと思います。

会社法の一部を改正する法律案の中で、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対する懸念についてまずお伺いをしたいと思います。

監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行する際には、必要的に設置されている社外監査役をそのまま監査等委員になる社外取締役にスライド就任させることが法的には可能であると言われておりますが、そもそも社外監査役とそれから社外取締役とでは求められる役割やそれからふさわしい人材が異なるのではないかというふうに考えます。また、これまで社外監査役であった方が、取締役会において議決権を有する取締役である監査等委員としてすんなり就任してもらえるのかという疑問もございます。

また、元々、社外取締役の人数を集めるのは実務的に厳しいという話もあり、今回の監査等委員会設置会社において新設されても状況は変わらないのではないかという指摘もあるわけですが、そこで、その監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に際し、これまで社外監査役であった方に監査等委員へ就任してもらえるのかどうか、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へスムーズに移行するのかという懸念について、谷垣法務大臣の御所見をお伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する際に、今までの社外監査役が社外取締役に言わば横滑りするということは制度の上では可能です。

私の知人でも、今まで社外監査役をやっていたんだけれども、今度から社外取締役になることになったと、そういうことをおっしゃっている方もあるわけですが、しかし、委員御指摘のように、取締役と監査役とではもちろん取締役会における議決権の有無とか職務権限の違いがございますので、その適性も全く同じというわけにはいかないだろうと思うんですね。それから、今まで社外監査役だったら俺は引き受けたけれども、社外取締役をやれと言われたって困るんだよなという方もいらっしゃるので、合意がなければできないわけですね。そのため、そういう監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行するに当たって、社外監査役をそのまま社外取締役に言わば横滑りするのがいいのかどうかというのは、それぞれの企業でよく判断をしていただかなきゃいかぬということになるだろうと思っております。

今委員がおっしゃったことは、しかし、その人材不足も指摘されているではないかということですね。ある意味での社外監査役のプールというのはあるわけですが、社外取締役に果たして人材が得られるのかどうか。これについては、そういう人材をプールして、その情報を各企業に提供するということが一つの有効な解決策であろうと思います。現に民間においてそういう取組を行っている団体が幾つかあることも承知しておりまして、そういった活動、活躍が、何というんでしょうか、いろんな意味で補っていっていただくことを私たちは期待しております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、今回新設される会社法第三百二十七条の二、社外取締役を置いていない場合のその理由の開示については特段の経過措置は設けられていないために、これは仮に改正法の施行日を平成二十七年四月一日とした場合、この事業年度末日において社外取締役を置いていない三月決算会社は、平成二十七年六月の定時株主総会において相当でない理由を説明しなければならず、その相当でない理由を説明しないように社外取締役を選任するのであれば、本年六月の総会で選任しておく必要があるというふうに思います。

東証一部上場企業では既に六割を超える会社が社外取締役を選任していることなどを踏まえますと、本年六月の総会で社外取締役を選任しておくことがまず必要だというふうに考えられます。しかし、社外役員の要件の見直しや、それから証券取引所規則の改正の内容等も踏まえておく必要があり、候補者の選定等に要する時間を考えますと、本年の総会までに選任することが難しい場合、来年総会で選任し、来年の総会に限り相当の理由を説明することも選択肢とせざるを得ない場合もあるのではないかというふうに考えます。

そこで、まずお伺いしますけれども、今回新設される会社法第三百二十七条の二の社外取締役を置いていない場合の理由の開示については特段の経過措置が設けられていないことを法務大臣にまず確認をしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

委員のおっしゃるように、特段の経過措置は設けられておりません。この理由は、何らかの新しい制度をつくるとかいうことではなくて、要するに、社外取締役を置いていない、置くことが相当でない理由というその説明をすればいいことだし、それから、できるだけ早くそういう制度に移行していくことが望ましいという観点から特段の経過規定は置かなかったということでございます。

糸数慶子君

さらに、社外取締役を置いていない場合の理由の開示義務が定められたことによる会社法改正案の施行を想定した社外取締役選任の必要性について、施行日の見通し等も含めてお伺いをしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

今度の改正法の附則第一条で、「公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日」というのを施行日としているわけですね。

それで、改正法案はコーポレートガバナンスの強化、それから親子会社に対する規律等の整備を図るものでございますから、できるだけ早く施行していきたいという気持ちがある一方、今回の改正内容はかなり多岐にわたることも事実でございます。

それで、改正法案成立後に法務省令の改正も含めて、それからまたその規律内容の周知を図っていくということも必要でございますので、十分な準備期間を確保しておかなければならないという必要もございまして、以上の点を踏まえますと、現在考えておりますのは、この通常国会で改正法案が成立した場合には平成二十七年、来年の四月ないしは五月頃を施行日としたらよいのではないか、今のところは一応そのように考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、多重代表訴訟制度創設の意義についてお伺いしたいと思います。

今回の改正では、特定責任に係る責任追及の訴え、いわゆる多重代表訴訟制度が創設されます。これは一定の要件を充足する場合にのみ最終完全親会社等の株主が子会社の役員に対して責任追及の訴えを提起することが認められますが、多重代表訴訟を提起できる株主は最終完全親会社の株主に限定されるとともに、最終完全親会社にも損害が生じていることを要件としています。また、責任追及の対象は、責任の原因となった事実が生じた場合において重要な子会社である株式会社の取締役等の責任に限定され、重要な子会社であるかどうか、当該子会社の株式の帳簿価額が最終完全親会社の総資産額の五分の一超であるかどうかを基準に判断することなどが定められています。

もっとも、これらの要件を満たす子会社は必ずしも多くはないと考えられることから、実際に多重代表訴訟を現実的な問題として捉えておく必要のある会社は限定的であるというふうに考えられます。

そこで、多重代表訴訟の制度は創設されることになりましたが、完全子会社の範囲にも重要な子会社という相当な縛りが掛けられ、さらにまた、総株主の議決権又は発行済株式の百分の一以上を有する最終完全親会社等の株主が多重代表訴訟を提起できるというふうにされています。

このように、単独株主権ではなく少数株主権にされたことなど、多重代表訴訟を利用できる場合は極めて限定的になってしまったのではないかというふうに言えるのではないでしょうか。

そこで、今回の改正により導入される多重代表訴訟制度の創設の意義が実質的にはなくなるのではないかという気がいたしますが、法務大臣からこのことについて御説明をお伺いしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

現行法では、株式会社の株主はその株式会社の取締役等々に対しては代表訴訟を起こすことができるわけですけれども、その株式会社の子会社の取締役に関してはこれを提起することができません。

ただ、この頃、近年、持ち株会社形態や完全親子会社関係にある企業グループがたくさん形成されるようになりまして、こういう企業グループでは、ホールディングカンパニーというのは具体的な事業をやっているというわけではございませんで、むしろその完全子会社の企業活動、企業価値がその親会社の企業価値に決定的な影響を与えてくる。

それから、株式会社の取締役等が株式会社に対して損害賠償責任を負っている場合には、株式会社の取締役等とその完全親会社の取締役との企業グループ内の人的関係や仲間意識がございますので、完全親会社が株主として代表訴訟を提起して取締役等の損害賠償責任を追及することを怠るというおそれが類型的にあるのではないかと思います。そのために株式会社の損害が賠償されなくて、その結果として、完全親会社、ひいては完全親会社の株主が不利益を受けることとなるおそれがあると。それで、こういう完全親会社の株主を保護するために今回の制度を設けたわけでございます。

それで、今少し形骸化されているんではないかという疑念をお持ちになっているようですが、私は、従来必ずしも認めておられなかったものをこういうふうに拡大していくことによってその機能を発揮できる、これは将来どういうふうにしていくかまた考えなければならないかもしれませんが、私は、こういう広げることによって十分その意義は期待できるのではないかと、現在はこのように考えております。

糸数慶子君

ありがとうございます。

次に、支配株主の異動を伴う募集株式の発行等についてお伺いをしたいと思います。

今回の改正では、公開会社において総株主の議決権の過半数を保有する支配株主が新たに登場することとなる第三者増資をする場合には、あらかじめ株主に対してこの第三者割当て増資に関する事項を通知、公告することが求められ、この結果、総株主の議決権の十分の一以上の株主の反対があると、株主総会決議を得なければならなくなりました。

これは、会社としては、総株主の議決権の十分の一以上の反対がなければ従来どおり株主総会なしにそのまま第三者割当て増資を行いますが、実際に通知、公告をしてみたら想定外に総株主の議決権の十分の一以上の反対があった場合は、そこから株主総会を開催しなければならなくなります。株主総会の開催まで大体一、二か月程度の時間が必要と承知しており、増資のスケジュールが大混乱になる可能性があるのではないかというふうに思います。

そのため、例外規定として、事業の継続のため緊急の必要があるとき設けられ、そして緊急時には株主総会を開かなくても第三者割当て増資が実施できることとなっておりますが、そこでお伺いいたします。

まず、法制審議会の会社法制の見直しに関する要綱では、当該公開会社の存立を維持するための緊急の必要があるときとされていたのが、改正法案では、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときと変更されている理由を大臣に確認をして、終わりたいと思います。

政府参考人(深山卓也君・法務省民事局長)

今御指摘のとおり、株主総会の開催というのはある程度の期間が要りますので、総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から募集株式の引受けに反対する通知があった場合に常に株主総会の決議が必要だという原則しか設けませんと、例えば、公開会社が経済的に窮境にある場合、倒産に瀕しているような場合、必要な資金調達が間に合わずに株主総会を開くまでの間に倒産してしまうということで、かえって株主の利益を害する結果となるおそれがございます。

そこで、改正法案の二百六条の二第四項ただし書では、当該株式会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該株式会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、このような反対通知があったとしても総会の決議による承認を要しないとしたわけですが、今御指摘の点は、この要綱、元々の法文の要綱ではその表現ぶりが少し違うじゃないかと。当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の存立を維持するため緊急の必要があるときは決議は要らないと言っていたのが、法文ではそこが、存立を維持という言葉が事業の継続のためと、こういうふうに変わっている理由は何かということだと思います。

これは、要綱を受けてこれを法文化する際の政府部内の検討で、専ら法制的な観点からより適切な用語を用いるということで、ルールの内容を変えるということではなくて、その規定ぶりを検討の結果変えたというものでございます。

糸数慶子君

終わります。ありがとうございました。