国政報告

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弁護士の国際化で要望

第186回国会 2014年4月17日 参議院法務委員会(外国弁護士法改正 15分)

4月17日、法務委員会で外国人弁護士法改正について質問しました。

弁護士の国際化の観点から①中小企業が海外展開する場合の法的な支援②親族関係に関する法律事件の取り扱い-について言及。沖縄で数多く起きている外国人との離婚や親権問題で、地域の弁護士が外国法に関する知識の蓄積や国際的なネットワークづくりができるよう法務省に要望しました。

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

外国弁護士法改正について、まず一点目に、弁護士法人の実情と今回の法改正の意義についてお伺いをしたいと思います。先ほど何度も質問の中に出てはおりますけれども、改めてまたお伺いをします。

弁護士法人制度が導入されてから十年以上が経過し、弁護士法人の数も一定数あるようですが、その内訳を見ますと、最も多いのは弁護士一人の法人であり、次いで弁護士二人の法人が続き、この両者が法人の大半を占めています。弁護士法人制度は大手の事務所にとっては余り魅力のない制度となっているのか、現在の弁護士法人の状況について法務省としてどのように評価されているのか、お伺いをいたします。

政府参考人(小川秀樹君・法務大臣官房司法法制部長)

お答えいたします。

法務省といたしまして、弁護士法人の実情の詳細を把握しているというわけではございませんが、平成二十五年三月三十一日現在の統計によりますと、六百四十六法人ございまして、その六百四十六法人のうち、所属する弁護士が一人又は二人であるものが二百三十五法人ございます。他方で、五十名以上の社員によって構成される弁護士法人も複数見られるところでございます。

これらの弁護士法人は、言わばそれぞれの規模に応じて法人化のメリットを生かして法的サービスを提供していると考えられるわけでございまして、弁護士法人制度の利用によりまして複雑多様化する国民の法的なニーズへの対応が図られているものと認識しているわけでございます。

糸数慶子君

今回の改正によって外国法事務弁護士も日本の弁護士と同様に法人化が認められるようになるわけですが、一人あるいは二人による法人が多いという現在の、今お話ありましたが、弁護士法人の実情を踏まえた場合ですが、外国法事務弁護士にとって実質的にどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

外国法事務弁護士事務所の法人化のメリットでございますが、複数の資格者が組織して法人化することによりまして、業務の共同化、分業化、専門化が進み、利用者に質の高い多様な法律事務を提供することが可能となること、また、複数の事務所を設置することが可能になりますので、これによりまして法律サービスを全国的に提供することが可能となります。さらに、法人が受任主体となることにより、業務担当者の交代を円滑に行うことができるなど継続的、安定的な法律事務の提供が可能となります。また、社員が法人と連帯して責任を負うことから、依頼者に対する事務所の賠償能力が強化され事務所の信用が増大する。こういった点が利点としては考えられるところでございます。

糸数慶子君

この質問も先ほども何度も出たわけですが、改めて伺いますが、弁護士の国際化の中で、地方の中小企業から見た場合について、海外からはこの外国法事務弁護士についてもその支店を設けられるようにとの要望もあるわけですが、今回の法改正によって外国法事務弁護士も法人組織とすればその支店を設けることが可能となるわけですが、現実問題として、地方にそれほど外国法事務弁護士の支店が設けられるかどうかは疑問でもあります。

現在、地方の企業も海外へ展開することは珍しくありません。海外において法的トラブルを回避するために、もちろん専門家の知見を利用したいとの声は高まっているものと考えられますが、このような場合、その方法としては、外国法事務弁護士を利用する、あるいは直接海外の弁護士に相談をする、あるいは大企業であれば企業内の弁護士を使うということも考えられるわけですが、中小企業の場合、地域の弁護士を頼らざるを得ないという実情があるということも聞いております。

他方で、地方の弁護士、例えば語学力が不足している、あるいは海外取引の知識が不足している、また海外の法制度の知識の不足といった理由から、海外に関する案件についてはなかなか受任が難しいという声も現実にあるようです。

そこで、現在、法務省において、法曹有資格者の活動領域の拡大について有識者懇談会が設けられて検討が進められている、先ほど御答弁もございましたが、その中で法曹有資格者の海外への展開についても分科会が設けられ実践的な取組を企画立案、実施するというふうになっています。

中小企業が海外展開する場合の法的支援について、現在どのような点が問題であるというふうに認識をされていらっしゃいますか。そして、有識者懇談会や分科会における議論も踏まえて、法務省に御見解を伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

御指摘いただきました点につきましては、外国の法制についての専門知識、それから語学力を備え、海外への進出について法的な支援を行うことのできる弁護士が限られているということですとか、この結果といたしまして、日本国内で外国法に関する質の高い多様な法律サービスを受けることができる機会が限られ、そのため、海外進出を望む中小企業が弁護士あるいは外国法事務弁護士といったところから支援を受ける機会が十分でないなどの問題があるというふうに認識しております。

そこで、このような問題点を踏まえまして、法務省では、御指摘ございました法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会と、その下に設置されました海外展開に関する分科会におきまして、日弁連とも密接に連携し、法曹有資格者の海外展開を促進するための取組を行っております。

特に、試行方策の一つといたしまして、中小企業の関連で申しますと、日弁連が実施しております、海外への事業展開等に係る法的支援を希望する中小企業に初回無料の法律相談などの支援を行う制度がございまして、この制度の実効性などについて有識者懇談会や分科会で分析、検討を現在行っているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございます。

次に、企業活動以外の分野についてでございますが、まず、現代においては、経済活動を行う上で諸外国との交流は避けて通れないという状況になっています。それに伴いまして人の移動もやっぱり活発になっておりまして、個人も国境を越えた法律紛争に巻き込まれる可能性も高いものがあるわけです。

今や国際結婚は珍しくありません。昨年の通常国会におきましては、先ほど前川委員からもございましたが、国境を越えた子の連れ去りに関するいわゆるハーグ条約、これが審議されたところでありますが。そこに関しまして、まず、外国法事務弁護士は原資格国法に関する法律事務を行うことができるわけですが、親族関係に関する法律事件については、その当事者として日本国民が含まれるものについての代理及び文書の作成について、これは弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならないというふうにされております。これ、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第三条二項にございますが、なぜこのような取扱いになっているのか、まず確認をしたいと思います。

例えば、アメリカに帰った父親に対して養育費を請求したいので相談をしたいといった場合、具体的にどのような取扱いになるのか、この点についてもお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

御指摘ございましたように、外国法事務弁護士につきましては、親族関係に関する法律事件で、その当事者として日本国民が含まれるものについての代理及び文書の作成については、これは日本の弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならないとされております。これは、やはり日本の文化、慣習に必ずしも精通しておらない外国法事務弁護士については、日本の弁護士との共同としての業務を求めるという趣旨だというふうに説明されております。

今委員御指摘ございました事例などにつきましては、いずれにせよ、準拠法がどこになるのか、あるいは国際的な裁判管轄がどこになるのか、さらには訴訟などの手続を利用するのかどうかによって、様々な前提によって左右されるものでございますので、直ちにお答えすることはできませんが、今申し上げましたように、我が国の外弁法の下では、親族関係に関する法律事件については、その当事者として日本国民が含まれるものについての一定の制限がございます。

糸数慶子君

今、一定の制限があるというお答えでございましたけれども、実際には、沖縄におきまして随分この種の相談の案件がございます。

実際にハーグ条約締結されたわけでございますので、やはりこの要件に満たせるような活動を是非やっていただきたいというふうに思いますし、これまで、警察の方へ行ったり、あるいは弁護士事務所へ行ったり、いろんなところでたらい回しにされて、実際に子の養育費を要求したい、それからアメリカに帰った父親を、居どころを探すということに関しましては、外務省も含めて様々な検討をこれからしていただきたいと思います。

実際にはかなり国際的にも日本がハーグ条約に加盟するまでには随分時間が掛かっていたわけですが、現実の問題として締結されたわけでございますので、その様々な案件に対する前向きな取組を今後やっていただくように要望したいというふうに思います。

それから、最後になりますけれども、例えば、企業活動であれば契約であらかじめ紛争に対する備えをしておくということが通常でしょうけれども、家族に関わる問題はあらかじめ準備しておくというわけにはいかない面もあり、紛争が生じた場合、突然複雑な法律関係に巻き込まれるという事態になりかねません。ですから、このような場合、国民としてはやはり地域の弁護士を頼らざるを得ないと思うわけですが、現在、日本の弁護士が国境をまたぐようなこういう案件に関しまして実際に難しいという面もあるわけですが、弁護士自身が、外国法に関する知識の蓄積やあるいは国際的なネットワークの構築など、能力の向上を図ることも期待されているところです。

企業活動以外の分野においても質の高い法律サービスを提供するために国としてどのような方策を行っているのか、また今後行っていこうとしているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

今日の御質疑の中で何人の先生かから、海外からもちろんいろいろな弁護士が見えて法的サービスを充実させるというのに加えて、日本の法律家自身がこの海外展開というものをもっと推し進めて、日本人の経済生活等々にもっと良質なサービスを提供できるようにせよという御指摘をいただきました。

それで、今、糸数先生がおっしゃったことは、日本人の経済活動、企業等々の経済活動が活発になって、それを支えるものももちろん必要であるし、特に中小企業等々にもきちっとした法的サービスが届くようにしなきゃいけない。しかし、それと同時に、そういうグローバル化が進んでまいりますと、個人の生活もグローバル化するといいますか国際化してまいります。そこで、やはり家庭の紛争あるいは私的紛争も国際性を帯びてくる面がある。それに対して、やはり日本の中で日本の法律家がきちっと法的サービスが提供できているのかと、こういうことが委員の問題意識におありだろうと思います。

今、国際展開に関する懇談会、その下でまた分科会も設けていると、先ほど先生からも御指摘をいただきましたけれども、そこで今いろいろ御議論をいただいておりまして、しっかり議論をして、そこで煮詰めていただいたものは実現に向けて法務省としても頑張っていきたいと、このように思っているところでございます。

糸数慶子君

大臣の前向きな御答弁、そして、先ほども申し上げましたけれども、やはり地域によってもいろんな地域事情があり、そしてグローバル化したその中でのあらゆる課題もございますので、是非頑張っていただきますようにお願いを申し上げまして、時間になりましたので終わりたいと思います。

ありがとうございました。