国政報告

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少年たちに寄り添う姿勢に好感

第186回国会 2014年4月8日 参議院法務委員会(少年法改正・参考人質疑 20分)

4月8日(火)、法務委員会で少年法改正に関する参考人質疑が行われました。

参考人は、大久保巌(少年犯罪被害当事者の会)、岡本潤子(帝京大学文学部心理学科講師・元家庭裁判所調査官)、川出敏裕(東京大学大学院法学政治学研究科教授)の三氏。

岡本参考人の少年審判の現場体験に根ざした報告、少年たちの更正に寄り添おうという姿勢に好感を持ちました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子と申します。

今日は、本当にお忙しい中、三人の参考人の方、質疑に出ていただきましたことをまず冒頭に感謝いたします。

それで、最初に大久保参考人にお伺いをしたいと思います。

今もありましたけれども、今回のこの少年法改正案は法制審議会の答申を踏まえた内容になっておりますが、法制審議会に諮問される前に開催されました平成二十年改正少年法等に関する意見交換会において、被害者が広く国費によって弁護士の援助を受けられるようにすることが望ましいことが指摘されています。

そこで、まず大久保参考人、具体的に被害者支援の弁護士の必要性を具体的にどのような場面で強くお感じになられたのかお伺いしたいのと同時に、国による被害者支援施策の中で足りない点や充実を望む点がありましたら改めてお聞かせ願いたいと思います。

参考人(大久保巌君)

被害者の私ら立場やったんですけれども、まず、加害少年には国から少年に詳しいよりすぐりの弁護士が付くんですよ。ところが、被害者には付かないです、自分で探せと。若しくは法テラスとかいうところもあって、とにかく専門でない弁護士さんの中から選ばないといけない。ところが、加害者は専属のもう詳しい弁護士さん。何でその差があるのか、まずそこが不思議です。ですから、やっぱりそういう加害者と被害者の立場が全然違います。

発言の機会というのも限られますし、被害者参加制度というのもごく最近、二〇〇八年から施行になったんですけれども、それを利用をさせてもらって意見をする機会もあったんですが、あくまでそれも被害者参加であって、参加人なんですね。一応、論告求刑、形はできたんですけれども、やっぱりその権利が、被害者としての権利が余りにも少な過ぎる。

主導としては検察がいくものですから、こちらのお願いというのが、やっぱり検察主導になりますので、加害者の更生も以後にはあるんですけれども、やっぱり被害者のことを認めた上でが更生になると思うんですよね。そこを、もう少し制度としてちょっと足りない気がやっぱり被害者としてはします。

以上です。

糸数慶子君

続きまして、大久保参考人にお伺いしますが、衆議院の法務委員会で参考人として出席されました少年犯罪被害当事者の会の武るり子代表、平成二十年の改正少年法等に関する意見交換会の中で、不定期刑は少年の可塑性に配慮した規定であるが、服役中に少年に改善が認められる場合、仮釈放制度により社会復帰をさせることができるので不定期刑は不要であるとの発言をされています。

今回の少年法改正案では、この不定期刑を存続させた上で、その長期及び短期の上限の引上げを行うこととされていますけど、大久保参考人の不定期刑に対する考えを改めてお伺いいたします。

参考人(大久保巌君)

不定期刑というのは、私たちはやっぱり望まないというのが現実ですね。

というのが、やっぱり短期の場合、五年、今でしたら五年から十年とかありますけれども、そうしたら五年で仮釈になる、若しくは刑期終了という場合があります。ところが、これは難しいんですけれども、更生に関わることなんですけれども、やっぱり少年というのが、言うとあれですけれども、そういう更生した格好を見せることができるんです。そういう少年が多いです。私らの事件の加害者少年もそうです。賢いんですよ。ですから、私らが思っている以上に、何というんですかね、悪賢いのが事実です、これは現実見てきましたので。

ですから、この不定期刑というのがやっぱり早めに刑期が終わってしまうという点については、今のところはどうしようもないんですが、できたら例えば十年やったら十年というふうに変更してほしいというのは、被害者としてはもうそれは願いです。早く終わるというのはやっぱり償いにならないという気持ちはあります。

以上です。

糸数慶子君

被害者の家族の方々のその心痛は本当に計り知れないほど大きなものだというふうに思いますけれども、やはり今回のこの少年法の改正に関して、今おっしゃったことが少しでも進むような状況になることを願います。

それで、岡本参考人に対する質疑でございますけど、調査官とは、やはり大人の刑事裁判にはないわけですよね。少年事件ならではの専門職だと思うわけですが、この調査官になるには、例えばその試験科目、研修内容など、どういうものを経て調査官になられるのか。それから、少年事件において調査官が果たす役割、仕事の内容、改めて、先ほども伺いましたけれども、具体的に教えていただいて、そして、専門家としてこの調査官のほかに鑑別所には技官がいらっしゃいますけれども、鑑別技官の仕事とそれから調査官の仕事がどのように違うのか。また、意見交換をすることもあるかと思いますが、どのようなお話をされるのか、お伺いいたします。

参考人(岡本潤子君)

試験制度については、ここで全てをお話しする時間もきっとないと思いますので少し簡単に申し上げますけれども、家庭裁判所調査官補の試験というふうにきちんともうなっていないんですけれども、裁判所職員採用試験という形で採りますけれども、それぞれが大学で勉強してきた科目を生かして受けられる制度に今はなってきています。法学も含めて受験科目になっていっていますので、バックグラウンドが多少違っても、それは例えば教育学の出身の方であったり心理学の出身の方であったりいろいろですけれども、この仕事をやっていきたい、調査官になって学んでいきたいと思う人が応募できるような試験制度になっているわけです。裁判所職員研修所で二年間の研修を受けて調査官補の補が取れるという、そういう制度になっています。

試験制度あるいは養成制度についてはいろいろと変化がございましてまだ模索中と、この年月をたってもまだ模索中ということが言えると思いますけれども、研修を経て一人前になるためにはかなりの努力を個人個人もしないとやっていけないというところは昔も今も変わらないと思います。

鑑別所の技官と調査官のすみ分けはどうなっているのかという御質問だと思いますけれども、少年が身柄を取られている、鑑別所に観護措置とられている、そういう事件については、同じ少年について双方が面接していくという、そこがかぶるところです。

ただ、鑑別所の技官は中で少年に対する様々な心理テストを行いますし、行動観察といって教官の方が観察していく、そういう分野もあって、鑑別所はその双方を合わせて、鑑別結果通知書ということで判定を付けて裁判官に出してまいります。

調査官は何をするかというと、少年が鑑別所に入っている事件の場合はまず少年に会いに面接へ通います。それから、鑑別所の外におります保護者ですとか関係者、学校の教師の場合もあれば雇主の場合もあり、いろいろでございますけれど、そういう人たちとの面接、調査をしていきます。

極端な言い方をすれば、鑑別所の技官は少年の調査に特化して行い、調査官は社会調査といって少年を含んだ環境の調査も行うというところが違いかと思います。もちろん、鑑別所に入っている少年の事件については鑑別所の技官と調査官と必ずカンファレンスをいたします。そして、複合的にそれぞれが見れるように情報交換もいたします。そのカンファレンスを経て、鑑別所は鑑別所の意見を出してきますし、調査官は調査官で意見を上げていく、そういうような構造になっております。

あと、鑑別所の技官と大きく違いますのは、調査官は在宅の事件をたくさんしておるというところが違います。在宅の事件の方が圧倒的に数は多いですから、日常的にはそちらの方がはるかに比重が大きいです。

よろしいでしょうか。

糸数慶子君

今回の少年法改正案によって、少年に対して科し得る有期刑の上限が引き上げられた場合、社会で暮らした時間よりも刑務所で暮らした時間の方が長くなることも想定されるわけですが、少年の刑期が長期化した場合、どのような懸念があるのか、それから少年犯罪の抑止、再犯の抑止のためにはどのような施策が効果的であるというふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

委員長(荒木清寛君)

糸数委員、どなたにお尋ねですか。

糸数慶子君

引き続き岡本参考人、お願いします。

参考人(岡本潤子君)

今議員が言われましたように、犯罪を犯す前に生きていた時間よりも長い時間少年刑務所に入る、服役するということがあって出てくる子供をどうやって一人前の社会人に持っていくかというのは、想像するよりも大きな課題だと思います。それは、大人になってからの犯罪で同じ期間収容される人とは比べ物にならない、また質の違う教育が必要だと思います。

ですから、まずは刑務所の中でそういう若い長期に服役する人に対する出院前のプログラムというものが必要になるでしょうし、また、受け止める、通常、保護観察付いて帰ってまいったりいたしますから、保護観察所などの社会でそれを受ける側の教育プログラムの充実もあると思います。そしてやはり、それもやはり社会教育ということになっていきますが、犯罪を犯した人が帰ってくる、帰ってこられる社会にしておくことということも必要かと思います。

糸数慶子君

最後になりますが、川出参考人にお伺いをいたします。

この法案では、少年に対する有期刑や不定期刑の長期の引き上げるべきだという結論に至るには正確にその説明が要るかと思うんですが、どのようなことがやはり重要だと判断されるのでしょうか。参考人の御見解では、少年法の基本構造や理念に変化はないということになるんでしょうか。お伺いいたします。

参考人(川出敏裕君)

少年刑の引上げの理由は、先ほど陳述の中で申し上げましたように、やはり事案によって今の法定刑では責任に見合った刑が科せないというものがあるので、それに合わせる形で引き上げるということだと思います。ですから、そこでも申し上げましたが、それは決して厳罰化するということではなくて、適正な刑を科せるようにするというのが目的だと思います。

それで、少年法の理念との関係なんですが、それも申し上げたように、少年に対する刑罰というのは少年法の理念に基づいて科されるというのはそのとおりなんですけれども、しかし、そうはいってもそれは刑罰ですので、成人に対する刑罰の場合と本質的な違いがあるわけではないわけですね。ですから、そこは維持した上で上限を適正な刑が科せるように引き上げるというのが今回の改正ですから、その意味では、これによって今まで維持されてきた少年法の理念というのが変えられたとか、そういうものではないというふうに思います。

糸数慶子君

時間ですので以上で終わりたいと思いますが、今日は本当にありがとうございました。