国政報告

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スラジュさん事件で意見

第186回国会 2014年03月27日 参議院法務委員会(裁判所職員定員法改正 15分)

3月27日(木)、法務委員会で「裁判所職員定員法」について質問。その中で、3月19日に東京地裁で国に賠償を求める判決が出されたガーナ人・スラジュさんの事件について追及し、「国際的な批判への反省と今後の送還方法等についての抜本的な改善が求められている」と主張しました。

その他に①家庭裁判所の人的体制拡充の必要性②地方裁判所支部において労働審判を実施する必要性について質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

新任判事補の男女別の内訳ですが、これ三月十三日の大臣所信に対する質疑の際、法務大臣に法務省の女性の登用状況について伺いました。その中で法務大臣からは、新任検事のうち約四割が女性であるとの答弁がありました。つきましては、新任判事補の男女別の内訳について最高裁判所にお伺いをしたいと思いましたけれども、先ほどの行田委員と同じ質問で回答も答弁も一緒だというふうに思いますので、二番目の家事事件についての質疑の方へと進ませていただきたいと思います。

家事事件の件数、近年やはり一貫して増加しております。とりわけ成年後見関係事件のうち、成年後見等開始が昨年の新受件数がおよそ四万五千件と過去最高を記録しています。また、成年後見制度の利用拡大に伴いまして、最近は成年後見人等の不祥事事例もしばしば見られます。家庭裁判所による成年後見人等に対する監視体制の見直しも問われているところです。

三月十三日の大臣所信に対する質疑では東京家裁の調停室不足の問題について質問いたしましたが、人的な面から見ても今回の改正による増員では不十分なのではないかというふうに思います。特に家庭裁判所の書記官については、家事事件の増加に伴い、当事者からの問合せ、それから苦情への対応、提出書類のチェックなど負担が増加しており、調停調書などを執務時間内に作成することはかなり難しく、勤務時間外や休日に集中して作成することが多いというふうに聞いております。

そこで、今回の改正法案が家事事件の増加に伴う家庭裁判所の人的体制の整備にどのように反映されるのか、最高裁判所に伺います。

最高裁判所長官代理者(中村愼君・最高裁判所事務総局総務局長)

お答えいたします。

御指摘のとおり、成年後見事件の増加に伴って、その対応ということにつきましては運用上の工夫というのを種々行ってきたところでございます。成年後見センターというようなものを大規模庁に設置するなどいたしますとともに、事件処理に関する判事の増配置ということも行ってきたところでございます。また、書記官につきましても増員を行ってきたところでございますし、特に質、量の増加ということに対して緊急的に対応すべく、家事部門への内部応援というふうなことも併せて行ってきて、事件処理に支障がないように努めていっているところでございます。

今回の増員ということにつきましては、家庭事件の充実処理ということが一つの理由ということになっているわけでございますが、今年度の増員についてお認めいただくということによりまして、現有の人員の有効活用ということも併せてやっていって、家事事件の充実強化ということを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、地方裁判所支部において労働審判を実施するその必要性についてお伺いをしたいと思います。

労働審判制度は、労使間のトラブルの早期解決を図る目的で平成十八年の四月から導入された制度でありますが、不当解雇や賃金未払など争うものが多く、労働者にとって極めて切実な問題が扱われています。また、申立て件数のうちの約七〇%の事件が調停成立で終了しているなど高い解決率から、労働審判は利害関係の激しい労使紛争について簡易、迅速に解決する手続であることが実証されています。

しかし、労働審判は地方裁判所の管轄とされておりまして、地方裁判所本庁で実施されてまいりました。その後、平成二十二年四月からは福岡地裁小倉支部と東京地裁立川支部において取扱いが開始されていますが、支部で実施されているのはいまだにこの二か所だけであります。

そこで、この二支部以外に取扱いを増やさない理由についてでありますが、これ、以前の本委員会の質疑でも、今後、どの支部で労働審判事件を取り扱うかについては、今申し上げました考慮要素のほか、労働審判事件全体の動向や、立川支部、小倉支部における労働審判事件の運用状況などを勘案しながら検討していくことになると考えておりますと、これは最高裁判所答弁をされておりました。

その後、例えば地方議会からも支部による扱いを求める意見書が可決されているようでありますが、支部において労働審判の取扱いを拡大することについてどのような検討を行っているか、最高裁判所に確認をいたします。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

お答えいたします。

支部における労働審判事件の取扱いにつきましては、予想される事件数、それから本庁に移動するための所要時間ということを基本にしつつ、労働審判員の安定的な確保といった観点の地域的事情ということも考慮しながら、各地方裁判所において検討をしていくということでございます。そのような検討の結果、二十二年四月から立川支部及び小倉支部で労働審判を開始したということでございます。

今後、それをどう増やしていくかというところでございますけれども、委員御指摘のとおり、地方議会から支部における労働審判を取り扱ってほしいという意見書が可決されているというのは認識しているところでございます。そういった御意見も踏まえながら、先ほど申し上げました事件動向、労働審判員の安定的確保といった観点を総合的に考えて引き続き検討していくということになろうと思っております。

糸数慶子君

今回のこの定員法改正と、それから労働審判担当裁判官の増員についてでありますが、これ労働審判は、制度の定着に伴って新受件数が増加して、ここ数年は三千五百件以上で高止まりをしている傾向にあります。このことから考えていきますと、労働審判事件の申立て件数の多い大規模裁判所においては裁判官の人数が足りていないのではないかというふうに思います。

例えば東京地裁では、労働審判事件が急増した平成二十一年度以降約一千件を超える申立てがあります。担当の裁判官の負担は著しいものがあるというふうに思われますが、今回の定員法の改正では判事について三十二人増加することになっておりますけど、裁判官の負担軽減を考慮し適切に配置するつもりか、このことも併せてお伺いをしたいと思います。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

お答えいたします。

今回の判事増員三十二人につきましては、民事訴訟事件の審理充実、家庭事件の処理の充実強化のための増員をお願いしているところでございます。特に近年、家庭事件の増加が著しいということでございますので、このような事件動向を踏まえまして、各庁の事件動向や事件処理状況を踏まえまして、増配置につきましては個別具体的に検討していくことになろうかと思っております。

労働審判事件、全体として三千件ということで、裁判所の事件の中での割合という意味ではそれほど大きくないわけでございますが、それについてもやはり事件が増えているということでございますので、その処理に支障を来すことのないよう、現有勢力の活用ということも含めて検討してまいりたいというふうに思っております。

糸数慶子君

よろしくお願いしたいと思います。

次に、入管関係についてお伺いをしたいと思います。

これはガーナ人のスラジュさんの事件についてでありますが、四年前に日本での在留期限が切れたガーナ人男性が成田空港から強制送還される際に急死したのは東京入国管理局の職員の過剰な制圧行為が原因だとして、日本人の妻ら遺族が国に約一億三千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が三月十九日に東京地裁でありました。小林久起裁判長は、入管職員の違法な制圧行為による窒息死だったというふうに認定しています。そこで、国に約五百万円の支払を命じました。

これは新聞にも大きく、朝日新聞にも紹介されましたのでお分かりだと思いますけれども、この判断について法務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、そしてまた、この件に関して控訴する予定はおありなんでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

御指摘の判決は、おっしゃった男性、ガーナ人の男性の死因、それから制圧行為と死亡との因果関係の有無、それから制圧行為の違法性の有無等につきまして国側の主張と異なる認定が裁判所でなされたものでございます。現在判決内容を精査しておりまして、その上でどう対応するかというのを早急に決めなければいけない段階でございます。

糸数慶子君

この件に関してですが、スラジュさんのこの死亡という結果もさることながら、経過についても様々な疑問がございます。

現場で行われていたビデオ撮影が制圧行為の場面で中断された理由は何でしょうか。入国管理局の内規では認められていないはずの足への手錠の使用がなぜ行われたのでしょうか。大臣はこれらの理由についてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。あるいは担当者からどのような説明を受けているのでしょうか。このような制圧の現場についても、きちんとしたビデオ撮影とその保存など、可視化を求める意見に対して大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

ビデオ撮影につきましては、これは入国警備官による制止といったような行為が果たして、職務行為、適切かつ適法に行われているかどうか、それを証明する、それを見るのには非常に有効な手法であると私たちも思っております。しかし、もっとも、航空機内でのビデオ撮影、特にほかの乗客がありますようなときのビデオ撮影というのは、当時は航空会社からそれは認めないという回答を得ることが多かったために実施していなかったというふうに聞いております。

そこで、この事件が起きまして、こういったときの対応の要領というのを今整備し直しまして、現在は、航空機内においても被送還者が抵抗することが予想されるような場合には、事前に航空会社に確認を行いまして、そして可能な範囲内でビデオ撮影を行うというふうにいたしました。もっとも、ただ、発着陸のとき等は控えてもらいたいとかいろんなことはあるようでございますが、現在はそういう扱いになっております。

それから、手錠につきましては、戒具の使用要領に、手首に使用して他のところに使用してはならないと定められております。今度のその御指摘の判決の中でも、もっとも、そういった手首に使用するというのではない行為であっても、その目的と必要性に照らして緊急やむを得ない場合等には国賠法上直ちに違法とされるものではないというような判断をされているところでございますけれども、これも、本件の事案後、戒具の使用等について内部規範にのっとった職務の執行を改めて指示したところでございまして、今後とも適正の確保に努めていかなければならないと思っております。

糸数慶子君

今、政府は外国人観光客の大幅な増大を目指しています。大臣の所信の中でも、日本経済の活性化に資する外国人の受入れに関してその促進に努めてまいりますというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですが、そのためには、たとえ不法滞在者、強制送還の対象者であっても、その方々の人権が十分に尊重されることが大前提ではないかというふうに考えます。

今回のスラジュさんに対する対応については諸外国では極めて厳しく報道されておりますし、このような国際的な批判への反省と、それから今後の送還方法等について抜本的な改善が求められているというふうに思います。そのことに対して一言、最後に大臣の御決意をお伺いいたします。

国務大臣(谷垣禎一君)

今のこの退去強制をしなければならない場合の扱い方につきましては、この事件を機に見直しを進めまして、より安全かつ確実な送還に万全を期すための改善策として、護送、送還に係る要領改正、それから通達を出しました。それから、継続的な護送、送還担当者の実技訓練というものを実施している等々の改善を行っております。

委員長(荒木清寛君)

糸数さん、時間が来ておりますので。

糸数慶子君

糸数慶子君 ありがとうございました。

時間ですので、終わりたいと思います。