国政報告

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軍雇用員カードの活用を「検討」

第186回国会 2014年03月17日 参議院法務委員会(大臣所信質疑 20分)

3月17日(月)、法務委員会の「予算委嘱審査」で、復帰前に米軍基地において働いていた労働者の石綿健康被害問題について質問しました。これは、石綿関連疾病を発症し、さらには死亡した米軍関係労働者を救済するため、沖縄県公文書館で管理されている約20万人分の軍雇用員カードの活用が重要であるとの認識で質問をしました。厚労省は「検討を進めている」と答えました。

その他①女子刑事施設の過剰収容状況②相続法制ワーキングチームについて質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

今日は女子刑事施設の過剰収容状況についてお伺いをします。

男女合わせた全受刑者数、それ自体は二〇〇六年をピークに減少傾向にあると承知しておりますが、このうち女子受刑者数は高止まり傾向にあり、女子刑務所は過剰、そして高率収容の状況にあると言われています。刑務所全体の収容率が二〇〇五年以降減り続けているのに女子刑務所のみ収容率が改善しない理由についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

政府参考人(西田博君・法務省矯正局長)

お答えいたします。

この十年間、おっしゃるとおり、男女総数で申し上げますと漸減傾向にございまして、男子で申しますと、現在、収容率約七五%まで落ちております。その一方で、女子刑務所につきましては、一番ピークでありました平成十八年末において、収容人員四千四百五十二名で収容率が一三二・六%という状況にございましたところ、それ以降、福島刑務支所あるいは美祢社会復帰促進センター、あるいは加古川刑務所の女子収容区域の新設などを行いまして女子受刑者の収容定員の拡充を図ってきたところでございまして、現在、収容人員、確かに高止まりではございますけれども、収容率につきましては九七・七%まで減ってきている状況にございます。

この収容率が改善しない理由につきましてお尋ねでございますけれども、なかなか一概にお答えすることは難しゅうございますけれども、女子受刑者の特徴といたしまして、窃盗とか覚醒剤取締法違反による入所が依然と多いということ、それから高齢受刑者の割合も増加していることなどから収容人員が高止まりをしているんではないかというふうに考えておるところでございます。

以上でございます。

糸数慶子君

女子受刑者の場合なんですが、薬物犯対策は特に問題と言われています。また、受刑者全体に言えることですが、女子受刑者についても、先ほどもありましたが、高齢化が特に問題になっているという指摘もございます。

平成二十六年度予算案において、これらの女子受刑者の過剰収容対策、あるいは女子受刑者の更生のためにどのような人的そして物的対策が取られているのか、改めて伺います。

政府参考人(西田博君)

お答えいたします。

まず、過剰・高率収容対策といたしましては、男子施設を女子収容施設として転用することを考えておりまして、具体的に申し上げますと、現在、男子施設がございます愛媛県の松山刑務所西条刑務支所に女子受刑者を収容するための必要になる人的、物的体制について、平成二十六年度予算案に計上させてもらっているところでございます。

また、おっしゃいましたように、女子刑事施設の処遇の問題、薬物事犯者、高齢者、摂食障害などを有する者等に対して地域の医療、福祉等に係る専門家から相談、助言等の支援を得られるようにするための経費を、栃木刑務所、和歌山刑務所、麓刑務所、この三庁についてその経費を予算案に計上させてもらっているところでございます。これ、具体的に申し上げますと、若年女子刑務官、若い女子の刑務官が中心の女子刑事施設におきまして地域の専門家によります支援ネットワークを構築しまして、女子受刑者処遇の充実を図っていきたいと、こう考えている次第でございます。

以上でございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、また、復帰前に米軍基地において働いていた労働者のアスベストの健康被害の問題についてお伺いをしたいと思います。

沖縄におきまして復帰前に米軍基地において働いていた労働者の石綿健康被害に関して質問させていただきますが、このアスベストによる疾病は中皮腫や肺がんなどがありますが、非常に長い期間を経てから発症すること、どのような状況で吸い込んだのか経路を明らかにするのが難しいことなどが指摘されています。このため、石綿関連作業に従事し、長い期間を経て発症した者の石綿関連作業に従事していたことが特定できないことから、労災補償の給付を受けられない労働者がいます。

こうした労働者を救済するため、平成十八年に石綿健康被害救済法が成立をし、労災補償の対象とならない周辺住民などへの救済給付と併せて、労災補償を受けずに亡くなった労働者の遺族に対し特別遺族給付金が給付されております。

こうした問題は、国内の産業に従事した労働者に限った問題ではありません。先ほども申し上げましたが、米軍の基地で働いていた労働者にもこういう問題が発生しております。

今年の二月ですが、沖縄の地元の新聞、沖縄タイムスによりますと、沖縄が昭和四十七年に日本に復帰する前に米軍基地において働いていた労働者の労務記録カード、すなわち軍雇用員カードですが、およそ二十万人分が沖縄県公文書館に保管されているものの、この石綿関連疾病を発症した者への救済に活用されていないという状況が分かりました。そこで、これに関して質問したいと思います。

まず、私、せんだって質問主意書を提出いたしましたが、その中で、復帰前の沖縄駐留軍労働者の石綿健康被害に関する質問主意書に対して、政府の答弁は、こうした復帰前の米軍関係労働者が石綿関連疾病を発症した場合、米国に直接雇用されていた者については米国政府に請求でき、これ以外の者については一九六一年高等弁務官布令第四十二号の労働者災害補償が適用されるというふうになっておりますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(大西康之君・厚生労働大臣官房審議官)

委員御指摘のいわゆる沖縄が昭和四十七年に日本に復帰する前のことでございますが、一九六一年の高等弁務官布令第四十二号というのの適用を受けていた米軍関係労働者のうち、この昭和四十七年外務省告示第五十三号に規定するアメリカ合衆国政府又はその機関の被用者であった方が復帰前に被災した労働災害に関する補償に関しましては、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づきまして、アメリカ合衆国政府に請求できることとされております。また、米軍関係労働者のうち、アメリカ合衆国政府又はその機関の被用者以外の方につきましては、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づきまして、先ほどの布令第四十二号に規定する補償水準によって補償が行われることとされております。

糸数慶子君

今お答えいただきましたけれども、厚生労働省は、平成二十四年十一月七日の衆議院厚生労働委員会におきまして、復帰前の米軍関係労働者が存命であって加療中の場合には、この石綿健康被害救済法の救済給付によって医療費等が支給される旨答弁しておられますが、この趣旨は、米国に直接雇用されているかいないかにかかわらず、存命であって加療中の米軍関係労働者は、この石綿健康被害救済法の救済給付を受けることが可能であるというふうに理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(大西康之君)

御指摘のこの石綿による健康被害の救済に関する法律でございますが、石綿による健康被害について幅広く救済するという観点から制定されたものでありまして、復帰前の米軍関係労働者であって石綿による健康被害を受けられた方について、現在存命であって加療中の方につきましては、米軍に直接雇用されていたか否かにかかわらず、同法に基づく救済給付による医療費等が支給され得るものと承知しているところでございます。

糸数慶子君

それに関連して、平成二十三年に厚生労働省が都道府県労働局に発出いたしました沖縄の復帰前に労働者災害補償の適用を受けていた米軍関係労働者に係る石綿による健康被害の救済に関する法律の適用についてによりますと、死亡した復帰前の米軍関係労働者の遺族が時効のため布令第四十二号による補償を受けるその権利を失った場合には、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の支給対象とされています。この特別遺族給付金の支給対象となる米軍関係労働者は、米国に直接雇用されていた方、間接雇用されていた方も対象になるのでしょうか。

政府参考人(大西康之君)

復帰前の米軍関係労働者の御遺族の方についてでございます。

先生御指摘の通達でございますが、平成二十三年八月の二十六日でございますが、この布令第四十二号による遺族補償の請求権を時効で失った場合には、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の支給対象となるものとしたところでございます。

この通達につきましては、御指摘のとおり、復帰前の沖縄の米軍関係労働者の御遺族につきましては、米国に直接雇用されていたかあるいは間接雇用されていたかにかかわらず、この布令第四十二号による遺族補償の請求権を時効により失った者につきましては特別遺族給付金を請求することができると、そういった趣旨でございます。

糸数慶子君

答弁書によりますと、特別遺族給付金のその申請手続において、石綿関連作業に従事したことを証明するために、労働基準監督署において、就労状況を明らかにする記録、あるいはまた同僚労働者の証言その他の暴露に係る情報等による、石綿への暴露に係る事実関係を確認することになるというふうにされています。

新聞報道によりますと、同僚であった労働者については、昔の電話帳や写真を頼りに捜さざるを得ないけれども、高齢化が進む中で見付からないことも多いと、こう指摘されております。

そうなりますと、沖縄県公文書館で管理されている軍雇用員カードの活用が期待できるというふうに考えるわけですが、厚生労働省は、軍雇用員カードを活用することについて、本年二月十九日の衆議院予算委員会において、カードが約二十万人分という膨大な数であり、また古い記録であることに、またさらに、個人情報保護などの観点により沖縄県から情報提供の了解を直ちに得ることが難しいといった問題があるという旨答弁をされていますけれども。

いろいろ難しい点があることは理解いたしますが、やはり少しでも軍雇用員カードの活用を始めていただきたいと思いますけれども、そのことについての御見解をお伺いいたします。

政府参考人(大西康之君)

御指摘の軍雇用員カードの活用方法につきましては、一つには、先生御指摘のとおり、個別の特別遺族給付金の決定に当たり石綿関連作業歴を確認するという活用の仕方、あるいは、復帰前の沖縄の米軍関係労働者であって、石綿健康被害救済制度の周知を行うに当たっての情報源として活用する、そういった方法が考えられると思います。

前半の個別の特別遺族給付金の支給決定に当たり石綿関連作業歴を確認する際に軍雇用員カードの情報を活用することにつきましては、十分可能であると考えているところでございます。

また、復帰前の沖縄米軍関係労働者の方々につきまして石綿健康被害救済制度の周知を行うに当たっての情報源としての活用につきましては、軍雇用員カードについて先生述べられたとおり、量が膨大であることとか、あるいは住所が移転するとかいろんな問題があるというのは事実でございますけれども、就労当時のそういった情報として大変重要なものであるということから、現在、沖縄県に対しまして、軍雇用員カードの記載状況とかあるいは保存の状況、その他の沖縄県の把握している状況を確認するとともに、どのような活用が可能かについて検討を進めていると、そのような状況でございます。

糸数慶子君

石綿関連の疾病を発症し、さらに死亡した米軍関係労働者を軍雇用員カードにより特定していくその作業というのは本当に莫大な労力と時間を要するかもしれませんが、しかし米軍関係労働者のその問題を解決したいという意向が政府にありましたならば、また今アベノミクスによる景気浮揚がまだまだ見られない沖縄において雇用を創出するという点からも、この観点は是非とも取り組むべき課題だというふうに提案をしたいと思います。

最後になりますが、相続法制ワーキングチームについてお伺いをしたいと思います。

昨年、最高裁が婚外子相続分差別について違憲決定を出した結果、民法の規定が改正されたことは一歩前進だと考えています。

ところで、その後、法務省内には相続法制ワーキングチームが設置されて、現在検討が行われていると伺っております。同ワーキングチームにおける検討内容、今後のスケジュール及び民法等関連法律の改正予定の有無について御説明をお願いしたいと思います。

政府参考人(深山卓也君・法務省民事局長)

今委員から御指摘があったとおり、嫡出でない子の相続分に関する昨年の最高裁の違憲決定を受けまして、さきの臨時国会において民法の一部改正法が成立いたしましたけれども、その過程において各方面から、民法改正が及ぼす社会的影響に対する懸念が示されたほか、配偶者保護の観点から相続法制を見直す必要があるといった問題提起がされました。これを踏まえて法務省においては、家族法の研究者や一般有識者等の協力を得て、相続法制等の在り方について検討を進めるためのワーキングチーム、これ相続法制検討ワーキングチームと呼んでいますが、これを設置いたしました。

このワーキングチームは本年の一月二十八日に第一回を行って、そのときは今後検討すべき課題についてフリートーキングを行いましたけれども、二月の二十四日に第二回を行い、このときは生存配偶者の居住権についての検討を行いました。次回は四月四日に第三回を行うことが予定されておりまして、その後もおおむね一か月に一回程度開催をいたしまして、来年、二十七年の一月頃には取りまとめをする予定でございます。

その後のどういう法改正に結び付くかというのは、この取りまとめを見ての先の話で、現段階で決まっていることがあるわけではございません。

糸数慶子君

ありがとうございました。

今いろいろ検討していらっしゃることを伺いましたが、同ワーキングチームはその議事録を非公表として、そして議事要旨のみを公表するようになっているようですが、これ、議事録を非公表とする理由は一体何でしょうか。そして、相続法制という国民に密接に関連する問題について議論するわけですから、発言者は匿名でも結構ですから、法制審の部会などと同じように議事録は公表すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(深山卓也君)

これは、相続法制検討ワーキングチームの第一回の際にメンバーで協議をしていただいた結果、各メンバーの自由闊達な意見交換を行っていただくために、発言者の名前を入れた速記録のようなものは公開しない、その代わり、発言者の特定まではしないものの、その発言の要旨は事務当局の作成した資料とともに法務省のホームページで公開すると、こういうふうに決まって、そういう運用をしております。

法制審議会のようにというお話がありましたが、このワーキングチームは、法改正の内容を詰めるということでは、そのもう少し手前の、どういう点にどんな問題があるかということを様々な角度からいろんな形で議論をしていただこうと、こういう趣旨のものでございますので、メンバーの方の合意に基づいて、そういう形で議事録の運用をしているということでございます。

糸数慶子君

やはり議事録は公表していただきたいということを強く要望いたしまして、時間になりましたので終わりたいと思います。

ありがとうございました。