国政報告

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裁判官のワーク・ライフ・バランス実現を

第185回国会 2013年11月26日 参議院法務委員会(裁判官の配偶者同行休業法 15分)

11月26日(火)、法務委員会で「裁判官の配偶者同行休業法」について谷垣法務大臣と最高裁に質問しました。

①法務省と最高裁の女性幹部登用状況②出向等で海外に在住している裁判官の数③裁判官のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組み-が主な内容。

(※国家公務員が配偶者の海外転勤に同行する場合、最長3年間の休職を認める配偶者同行休業法。主に女性の公務員が夫の転勤に伴い離職することを防ぐことが狙いだが男女とも利用できる。配偶者が公務員、民間企業勤務のいずれでも対象となり、休職中の給与は支給されない)

糸数慶子君

糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

裁判官の配偶者同行休業に関する法律の中で、まず一点目に、法務省及び最高裁判所における女性幹部登用の状況についてでありますが、本法律案の提出のきっかけになったのも、若者・女性活躍推進フォーラムの提言、これ、平成二十五年五月十九日のこの中で、直面する課題として、指導的地位にある女性の割合を二〇二〇年までに三〇%程度とする政府の目標にもかかわらず、企業等の役員、管理職における女性の割合は依然として低く、その理由として、必要な知識や経験等を有する女性が少ないことや管理職になるまでに退職することを挙げる企業が多いことが挙げられております。

このような問題の解決のために、今回の法案で配偶者同行休業制度を設けることにより、働き方の選択肢を広げ、特に女性の活躍を推進するとともに、組織にとっても貴重な人材を生かすことができるのではないかというふうに思います。

そこで、まず法務省及び最高裁判所における女性幹部登用の現状について、それぞれ法務大臣及び最高裁判所に確認をいたします。

政府参考人(黒川弘務君・法務大臣官房長)

まず、法務省についてお答えいたします。

平成二十四年三月末時点における法務省全体の課長、室長相当職以上の人員は九百二十一名でございますが、そのうち四十六人が女性でありまして、率にして五・〇%の登用状況でございます。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

全国の裁判所におきまして行政府省の本省課室長に相当します一般職給与法上の行政職俸給表(一)七級以上の職員及び指定職に占める女性割合は、平成二十五年七月現在で九・七%でございます。

糸数慶子君

ありがとうございます。

法務省もそれから最高裁判所も、女性の幹部登用では健闘されているというふうに思いますけれども、更に女性幹部登用を進めていただきたいというふうに要望いたします。

次に、配偶者の勤務先等についてでありますが、本法律案の第二条第二項では、配偶者同行休業について、裁判官が、外国での勤務その他最高裁判所規則で定める事由により外国に住所又は居所を定めて滞在するその配偶者と、当該住所又は居所において生活を共にするため、職務に従事しないことをいうというふうに定義されております。

外国での勤務が企業の転勤によるものだけなのか、自営業の場合などは必ずしも転勤に当てはまらないと思いますが、配偶者同行休業が認められる場合において、最高裁判所にお伺いしたいと思います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君・最高裁判所事務総局人事局長)

外国での勤務その他の最高裁判所規則で定める事由としては、具体的には、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律の委任に基づきまして人事院規則で定められることとなる事由と同様の事由を定めることを予定しているところでございます。

人事院規則におきましては、現時点では、大学等における修学又は研究、事業の経営等、一定程度長期間にわたり外国に住所又は居所を定めて滞在する者が規定される予定と聞いておるところでございます。委員御指摘の、外国で自営業を営む場合も含まれるものと考えておるところでございます。

糸数慶子君

先ほども質問ございましたけれども、改めて確認の意味でお聞きしたいと思います。

行政機関等への出向によって海外に在住している裁判官数についてでありますが、制度が創設されれば配偶者の海外赴任等に同行して休業する裁判官は何人も出てくるのではないかというふうに思います。

現在、在外公館等への出向により海外において勤務している裁判官の数について、あわせて、その内訳について改めてお伺いいたします。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

まず最初に、海外留学についてお答え申し上げます。

平成二十五年度で申し上げますと、裁判所で実施する留学につきまして二十八人の裁判官を派遣しております。人事院の行政官長期在外研究員制度によるものにつきましては、平成二十五年度には十人の裁判官を派遣しております。これらはいずれも判事補でございます。

次に、在外公館等への出向でございますけれども、出向によって海外に赴任した者でございますけれども、平成二十三年度は、国連日本政府代表部、在ストラスブール日本国総領事館、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、在中国日本国大使館に各一人、合計四人が出向し、さらに法整備支援の関係でベトナムに一名を派遣しております。平成二十四年度は、在アメリカ合衆国日本国大使館へ一人、法整備支援関係でカンボジアに一人派遣しております。

これらはいずれもおおむね二年の予定でございます関係で、平成二十五年度は、先ほど申し上げました平成二十三年度と同じ出向先に派遣し、またこれから派遣するということを予定しております。いずれも判事補でございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

今年六月の日本再興戦略では、公務員における女性の採用、登用の拡大等の取組の促進ということで、隗より始めよの観点から、女性の採用、登用の促進や男女の仕事と子育て等の両立支援において、まずは公務員から率先して取り組むこととされています。同行休業制度についても取得しやすいよう環境整備が必要と思われますが、改めて最高裁判所の所見を伺います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

委員御指摘のとおり、配偶者同行休業制度を取得しやすいような環境整備に努めていくことが肝要だと考えております。

この配偶者同行休業を取得する者の数でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、当面は年間二、三人程度と予想しておるところでございます。この者たちにつきまして、異動や配置換え、事件の配填替え等の措置を講ずることによりまして取得しやすいような体制を講じてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、本法律案の第六条第一項二号においてですが、配偶者同行休業の承認が失効する事由として、裁判官の配偶者が死亡し、又は配偶者同行休業に係る配偶者が配偶者同行休業をしている裁判官の配偶者でなくなった場合を規定しています。また、同条第二項第二号では、最高裁判所が配偶者同行休業の承認を取り消す事由として、配偶者同行休業をしている裁判官が当該配偶者同行休業に係る配偶者と生活を共にしなくなった場合等を規定しています。

実際には海外において生活をしているため、これらの失効事由や取消し事由を把握するのは相当難しいのではないでしょうか。また、いわゆる事実婚状態の場合は、配偶者でなくなった場合や生活を共にしなくなった場合を把握することは更に困難ではないかと思いますが、最高裁判所としてはどのように把握されるのか、お伺いしたいと思います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

この配偶者同行休業の失効事由といたしましては、配偶者が死亡した、又は配偶者でなくなった場合が、また取消し事由といたしましては、配偶者と生活を共にしなくなった場合がそれぞれ定められております。そのような事由が生じた場合には、当該裁判官の方から遅滞なくその旨の届出を行うよう求めることを考えておるところでございます。

事実婚の場合についてお尋ねがございました。この場合、配偶者でなくなったことや生活を共にしなくなったことについて判断するに当たりましては、同居の解消、それから実質的な配偶者としての対外的な行動がどうなったかとかという、そういうような要素を総合的に判断してまいることになろうかと考えております。

糸数慶子君

次に、本法律案において、国家公務員配偶者同行休業法案における配偶者同行休業に伴う任期付採用及び臨時的任用について、及び職務復帰後における給与の調整の規定に相当する規定は置かれておりません。

そこでお尋ねいたしますが、本法案には、国家公務員配偶者同行休業法案の配偶者同行休業に伴う任期付採用及び臨時的任用に相当する規定が置かれていない理由を法務省にお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君・法務大臣官房司法法制部長)

御指摘のとおり、本法律案では、一般職の国家公務員の配偶者同行休業法とは異なりまして、配偶者同行休業中の裁判官の代わりに裁判官を任期付き又は臨時的に任用するという規定はございません。

これは、裁判官につきましては、下級裁判所の裁判官の任期が十年とされ、一度任命されますと、裁判によって心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合ですとか、公の弾劾によらなければ罷免されないという強い身分保障を受けるため、ある者の配偶者同行休業期間中といった期間を限定した裁判官の採用は不可能であるということによるものでございます。

糸数慶子君

同行休業制度の取得促進のために、その環境整備として裁判官についても人的な手当てが必要と思われます。任期付採用及び臨時的任用ができないのであれば、例えばこれまで以上に弁護士任官の人数を増やしていく、そういうことはできないでしょうか。最高裁判所の見解を伺います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

弁護士任官制度でございますけれども、多様な実務経験を有する弁護士に一定の長期間にわたりまして裁判官として活躍してもらうという制度でございます。

配偶者同行休業を取得するということとの関係で弁護士任官の問題をちょっと論ずるというのはどうかなとは思います。しかし、弁護士任官につきましても今後とも積極的に取り組みまして、有為な弁護士に多数任官してもらいたいというふうに考えておるところでございます。

糸数慶子君

最後の質問でございますが、裁判官のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組についてお伺いをいたします。

裁判官の職業生活と家庭生活の両立、裁判官のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題でありますけれども、先ほども随分質問がございました裁判官の繁忙状況についていろいろとお答えをいただいたわけですが、今回は、職業生活と家庭生活との両立を図るというその観点から裁判官の配偶者同行休業制度を設けるわけですが、このような休業制度に限らず、幅広い意味で裁判官のワーク・ライフ・バランスの実現、あるいは裁判官の繁忙状況の改善に向けて、裁判所としては現状を踏まえてどのように取り組んで今後いかれるのか。そして最後に、これまでの議論を踏まえて、裁判官のワーク・ライフ・バランス、その実現に向けて、法務大臣の御所見も併せてお伺いしたいと思います。

最高裁判所長官代理者(安浪亮介君)

裁判官にとりましても、仕事と家庭生活の両立というのは大事なことでございます。

先ほど来、裁判官の繁忙状況につきまして御指摘がございます。私どもといたしましても、今後の事件数の動向や事件の質の変化、法曹人口等の動向、適正迅速な裁判のために望ましい審理形態の在り方などを総合的に考慮しつつ、国民の期待にこたえられるような人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

国務大臣(谷垣禎一君)

仕事と家庭生活の両立というふうに言われますが、私はむしろ家庭生活の充実が仕事の充実につながっていくということなんではないかと思っております。ちょっと古い言葉でございますが、修身斉家治国平天下って、これ何千年か前の中国の古典の言葉でございますが、身を修め家を整える、つまり、自分個人が充実し家庭生活が充実していくことが国を治めたり天下を平らかにするということにつながっていくというのは、今でいえば、今ワーク・ライフ・バランスというハイカラな言葉でおっしゃいましたけれども、そういうことにつながっていくんではないかと思っております。

私は、法務大臣としても是非是非そういう方向で物事を進めていかなければならないと考えているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

時間でございますので終わりますけれども、先ほど大臣おっしゃいました、やはり家庭生活、きちんと充実させることが仕事にも影響を与えるということですけれども、そもそもこの法律案が提案された理由の一つとして、やはり女性もしっかりと働きながら、さらにはまた、家庭生活をきちんと送ることができる、その充実のためにも、やはり今回のこの裁判官の配偶者同行休業に関する法律というのは、ある意味、ワーク・ライフ・バランス、しっかりやっていくことだというふうに思っておりますので、どうぞそういう観点でしっかりと進めていただきたいと思います。

ありがとうございました。