国政報告

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病気による差別を助長しない・道交法改正を

第183回国会 2013年5月16日 参議院内閣委員会(道路交通法改正 15分)

5月16日(木)、内閣委員会で道路交通法の改正案について、古屋圭司国家公安委員長(大臣)に質問しました。

①免許更新時の「病気の症状など」申告欄・質問票の内容②認知症の患者さんの免許取り消し問題③一定の病気の症状に応じて運転免許取得を拡大するための工夫④医師による届け出制度を設けることのない条件付き免許の創設や、公共交通機関の整備など支援策を-要望しました。

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

まず、道交法についての運転免許の申請、免許証の更新時における一定の病気等に関する申告についてでありますが、有識者検討会は、病気を理由とした差別を助長するおそれが生じないようにするため、現行様式と同様、特定の病名を記載せずに幾つかの症状を定めた申告書式に記載する方式を取ることが適当であると提言するとともに、虚偽申告に対する罰則の整備を前提として、いたずらに処罰対象が広がることのないよう、申告様式の内容を工夫することが必要であると提言しています。

今回の改正案では、現在の運転免許申請書の裏面にある病気の症状等申告欄を独立した質問票とすることとしていますが、質問票について具体的にどのような内容とするのか、お示しください。

政府参考人(倉田潤君)

お答えいたします。

現状の病気の症状等申告欄では、特定の病名を記載せず、意識を失ったことがある場合など、申告者が自覚している症状等を申告をしていただく様式としているところでございます。

今回の法改正に基づく質問票の様式につきましても、現状の様式を前提としつつも、有識者検討会の提言等も踏まえ、イエス・ノー方式としたり、あるいは申告の対象となる期間を明示するなど、より分かりやすく適切なものに改めることを検討しておりまして、今後、関係学会等の意見を聞きながら策定してまいる所存でございます。

糸数慶子君

平成二十三年度中の一定の病気等による運転免許の取消し等処分件数を見ますと、認知症については、家族からの相談及び必要的臨時適性検査を端緒とするものが約七割を占めている一方、本人からの相談及び免許証更新等における病状申告を端緒とするものは僅か一%にすぎません。

認知症の患者に病状の認識を問うのは相当困難であり、質問への虚偽回答に対し罰則を設けても実効性は乏しいのではないでしょうか。

国務大臣(古屋圭司君)

認知症に対する御質問ということで、今高齢化社会ですから、認知症というのは交通安全の確保からも極めて重要な問題と私も認識しています。

ただ、相対的欠格事由の中には認知症入っていますけれども、認知症の方は必ずしも病識があるとは言えないんですね。したがって、症状についての申告は余り期待できないんではないかなというふうに考えられます。

認知症にかかっている者による交通事故を防止するためには、やっぱり免許証の更新期間が満了する日に年齢が満七十五歳以上の方については、記憶力及び判断力といった認知機能に関する認知機能検査の受検を現在でも義務付けているところでございますけれども、やはり家族からの相談について周知するなど対応の強化を図っておりますが、交通取締りその他の警察活動を通じた把握にも努めていかなければいけないというふうに承知をいたしております。

今回の法改正による医師からの届出も併せ、認知症の者の的確な把握のための方策というものを総合的に推進をするということが大切でありまして、その視点に立って今警察を指導してまいりたいと思います。

なお、自動車等の運転に不安を覚える高齢者が運転免許の自主返納をしやすい、そういった環境の整備についても警察にしっかり指導してまいりたいというふうに思います。

糸数慶子君

次に、警察庁交通局の調査によりますと、フランス、ドイツ、オランダでは運転免許申請時において当局が必要と認める者に対して一定の病気等に係る診断書提出義務等を課しつつも、虚偽申告等に対する罰則はありません。また、一定の病気等に係る運転者等について医師の通報義務がなく、患者等の同意がある場合に通報が可能となっています。

一定の病気の患者の立場からいえば、これらの国の制度は今回の法改正案よりも穏当であり、我が国でも検討すべきではないでしょうか。

政府参考人(倉田潤君)

お答えいたします。

昨今、多数の死傷者を伴う交通事故が発生し、その運転者が免許証更新時に自己の症状を正しく申告していなかったことが判明したことから、御指摘の国を含め各国の制度も参考としつつ、我が国において一定の病気等に該当する者を的確に把握する方策について検討を行ったものでございます。

その方策には様々なものがあり、御指摘の国においては虚偽申告に対する罰則はございませんが、診断書の提出義務を課しているところでございます。他方、我が国においては、診断書の提出義務につきましては、運転免許申請者に対する負担の問題や、一人の医師によって専門的な診断を下すことはなかなか困難であり、実効性を伴わないおそれがあることなどから、今回制度の導入は行わず、虚偽申告に対する罰則を導入したところでございます。医師の届出につきましても、医師と患者との信頼関係が確保できるよう任意の制度にとどめたところでございます。

イギリスやアメリカなどにおきまして虚偽申告に罰則が設けられていることに鑑みれば、国際的に見ても総じて穏当な制度ではないかと考えているところでございます。

糸数慶子君

次に、警察庁の交通局の調査によりますと、海外の運転免許制度では、病気等に関した免許に付し得る条件として、定期的な身体検査、通院、服薬、他人の同乗、運転時間の制限、運転地域の制限、免許等の期間の制限等があります。

我が国においても、一定の病気等の患者の症状に応じて、必要な条件を付しつつ、これらの患者が運転免許を取得できる機会を拡大するため、これらの制度の導入を検討すべきではないでしょうか。海外の国々ではできて、日本ではなぜできないのでしょうか。

政府参考人(倉田潤君)

お答えいたします。

我が国におきましては、一定の病気等に該当する者でありましても、当面症状が抑えられている方につきましては、運転免許を付与した上で、必要に応じ臨時適性検査を行うなど、これらの患者の免許取得の機会に配意しているところでございます。

一定の病気等に該当する方につきまして、それを付すことで交通事故を防止することができるような条件があるのか、可能なのかどうかという点につきましては、関係機関等の意見も伺いながら引き続き研究をしてまいりたいと考えております。

糸数慶子君

医師による任意の届出制度を設けることによって、一定の病気に該当する者が公安委員会への届出を恐れ医師による治療を受けなくなるおそれもあります。医師による届出制度を設けることなく、病気等に関する条件付免許の創設や、症状が改善した後の運転免許試験の負担緩和措置の拡充、また免許がなくても移動手段を確保できるよう公共交通機関の整備やその利用料金の割引などの支援策を講じることなど、まずは適切に申告した者の利益を図ることで自発的な申告を促す策に絞って実施すべきではないでしょうか。

政府参考人(倉田潤君)

お答えいたします。

今回の道路交通法が成立をした場合には、症状が改善した後の運転免許試験の負担緩和措置でありますとか、再取得した免許証の有効期間が継続しているものとみなす措置といった自発的な申告を促す施策についての広報啓発に取り組んでまいる所存でございます。

また、一定の病気等に対する正しい理解の促進や移動手段の確保等の支援策につきましては、関係機関等とも検討してまいる所存でございます。

なお、医師による届出につきましては、任意規定にとどめつつ、当該届出を法律上に位置付けることによって、守秘義務や個人情報保護法に反することとならないよう法律関係を整理するものでございます。これにより、受診者がその症状に起因して交通事故を起こす危険性が高いと認められる場合には、お医者さんがちゅうちょすることなく対処できるようにするためのものでございます。

糸数慶子君

平成二十三年十月に名古屋市において、平成二十四年四月に京都府亀岡市において無免許運転による重大な事故が発生し、尊い命が奪われました。無免許運転の根絶に向け、この道路交通法を始めとする関係法令の適正な適用に努めるとともに、免許のない者は絶対に車を運転しない、絶対に無免許の者に運転をさせないという社会的機運の醸成のため、適時適切な広報活動を行う必要があると考えますが、警察庁の見解を最後にお伺いいたします。

国務大臣(古屋圭司君)

委員御指摘のように、無免許運転の根絶、極めて大切ですね。今回の法案でも、やはり無免許運転の罰則をまず引き上げる、それから運転者本人の周辺で無免許運転を助長したりあるいは容認する行為の禁止、そして罰則強化を図って、こういった取組によって無免許運転の根絶を図ろうという考えであります。

この法案が成立をした暁には、まず関係法令を適切に運用して、まず無免許運転の取締りの徹底強化、それから無免許運転を助長、容認するような行為をした者に対する適切な捜査を推進をしていかなくてはなりません。

それから、やはり啓蒙活動大切でございますので、交通安全運動等々のいろんな機会がございますので、今回の法案の趣旨を徹底をして、啓蒙活動を充実をしていくということが大切だと思います。

ちなみに、高校生ですね、高校生は十八歳になりますから、免許を取っている方と取れない年齢の方もいらっしゃいますので、今、平成二十三年度現在で全高校生のうち約四六%がこういった趣旨の講習をしていますので、まあ四六%が高いか低いかは議論になるところですけど、理想は一〇〇%ですから、そういった取組をしていく。要するに、社会全体でそういった機運を高めて、無免許運転の根絶を図ってまいるために警察も取り組んでいきたいと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

以上で終わります。