国政報告

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平和目的限定を削除-軍事利用に道開く

第180回国会 2012年6月20日 参議院内閣委員会(内閣府設置法改正・JAXA法 10分)

6月20日(水)午後の内閣委員会で、内閣府設置法改正(宇宙航空研究開発機構・JAXA法)について、古川元久・宇宙開発担当相と防衛省に質問しました。
 ①自衛隊による宇宙利用の現状、②JAXA法24条(主務大臣の要求)、③宇宙政策委員会について―の3点について質問。  今回のJAXA法改正が、平和目的限定の規程を削除し、宇宙の軍事利用に道を開くことになるため反対しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

現在、準天頂衛星第一号機「みちびき」が実証試験のために運用されています。実証試験の具体的な内容を示していただくと同時に、自衛隊及び米軍もこの実証試験に関与しているのか、もし関与している場合、その具体的な内容を示していただきたいと思います。関与していない場合は、今後関与する予定があるのかどうか、お伺いいたします。

また、今後、他国の軍隊、例えば豪州軍などによる準天頂衛星システムの利用を認めることはあるのかどうか、お伺いいたします。

政府参考人(戸谷一夫君)

「みちびき」の実証試験の具体的な内容についての御質問でございます。

「みちびき」につきましては、平成二十二年九月の打ち上げ以後、初期機能の確認を行いまして、同年十二月中旬よりJAXAを始めといたしました関係各省の研究機関などによります実証試験を行っているというところでございます。

この実証試験の具体的な内容でございますけれども、大きく分けて二点ございまして、まず第一点目は、米国のGPSの補完という観点からの実証でございまして、これにつきましては、高層ビル等の影響によりましてGPSの電波が届きづらい都市部などにおきまして、測位可能な範囲の改善、あるいはGPSと同等の測位性能が得られることについての確認、そういったものが第一点目でございます。

第二点目は、米国GPSの補強という観点でございまして、これにつきましては、「みちびき」独自の補強信号を付加することによりまして精度の改善が開発目標を達成し、実用に供することが可能であるかどうかと、そういったようなことを確かめるというのがその内容でございます。これまでの実証におきまして、おおむね当初の目標どおりの性能が確認されているところでございます。

なお、この実証試験に米軍も関与しているのかということにつきましては、私どもの方からお答えをさせていただきますが、これにつきましては、実証試験に参画をするということではございませんで、ただ、米国GPSの相互運用性の確保の観点からの必要な協力ということで、技術調整といいますか、あるいは衛星を識別するコードの割当て等々の内容につきましての協力はいただいているというところでございます。

政府参考人(須永和男君)

「みちびき」の実証実験への自衛隊の関与についての御質問でございますけれども、これまで防衛大学校の講師が教育及び研究の一環といたしまして一般大学との共同研究で測位の実証実験を行ったほかは、自衛隊として関与をしたことはございません。なお、現時点では今後とも関与をする予定はございません。

国務大臣(古川元久君))

今後、他国の軍隊などによる準天頂衛星システムの利用を認めることがあるかという御質問ございました。

GPSの民生用の測位信号を補完、補強するために準天頂衛星システムから送信する信号は、これはGPSの民生用信号と同様、幅広く一般に利用されるよう、誰でも受信できる仕様とする予定でございます。したがいまして、受信した人がどう利用するかということについて、この利用を認めるとか認めないとか、そういうことを言う立場にはないということは御理解をいただきたいと思います。

いずれにせよ、我が国の宇宙開発利用につきましては、これは宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束に定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり行うこととしておりますので、御理解をいただきたいと思います。

糸数慶子君

主務大臣がJAXAに対して必要な措置をとることを求める場合として、第二項で、関係行政機関の要請を受けて、我が国の国際協力の推進若しくは国際的な平和及び安全の維持のために特に必要があると認めるとき又は緊急の必要があると認めるときとありますが、関係行政機関には当然防衛省が含まれるものと考えられます。

防衛省は、具体的にどのような事態に際したときJAXAの主務大臣に要請することを想定しているのか、お伺いいたします。

政府参考人(須永和男君)

防衛省がJAXAの主務大臣に要請する具体的な事態についての御質問でございますけれども、法第二十四条第二項の関係行政機関には宇宙開発利用に関係する国の行政機関が想定されていると承知しております。防衛省の所掌事務に関連した事案であれば、関係行政機関たる防衛省が主務大臣へ要請することはあり得ると理解しております。

他方で、防衛省が主務大臣へ要請する事態につきましては、現時点で具体的な場合を想定しているわけではございません。

糸数慶子君

少なくとも具体的な想定の事態はないということなんでしょうか。

政府参考人(須永和男君)

そういうことでございます。

今般の改正におきましては、政府における様々な検討等を踏まえて、JAXA法の目的規定における平和利用に関する記述を宇宙基本法と整合的なものとしたと承知しております。

宇宙基本法におきましては、宇宙開発利用は憲法の平和主義の理念にのっとり、また我が国の安全保障に資するよう行わなければならないとされていることから、防衛省といたしましては、今般のJAXA法の改正により、今後、安全保障、防衛分野においてもJAXAが役割を果たすことを期待しておりますけれども、現時点においては具体的な事態というものは特に想定してございません。

糸数慶子君

具体的なことは想定しないということであれば、主務大臣に白紙委任をするようなものではないかというふうに思います。これは認められないことだというふうに思います。

次にお伺いいたしますが、文部科学省に設置されていた宇宙開発委員会の委員は、四人の委員のうち二人は常勤でありましたが、内閣府に設置される宇宙政策委員会の委員のうちに常勤を置かない理由は何でしょうか。

大臣政務官(園田康博君)

先生御指摘のように、文科省に設置されておりました宇宙開発委員会でございますけれども、これJAXAの役員の任命に関する同意でありますとか、あるいは宇宙開発に関する長期的な計画の議決という形で、法律上大変強い権限を有している機関でございました。

一方、今回新設させていただきます宇宙政策委員会でございますけれども、これは総理大臣の諮問に応じて専ら政策審議を行う場でございまして、それを任務としていることに加えまして、宇宙開発利用は幅広い、先ほど来御議論がありますけれども、幅広い分野をこれを審議するという形になってまいります。

そうしますと、やはり委員会に、大変優秀な方であり、またかつ広い分野の人材の方々が入っていただく必要があるというふうに考えたところでございまして、そういった意味では、常勤というよりも非常勤でお願いした方が集まりやすいだろうというような形を考えたところでございます。こういった形でほかの例、審議会の例に倣いまして非常勤という形で置かせていただいた次第でございます。

糸数慶子君

委員会の議事内容は公開されるのでしょうか、非公開になるのでしょうか。

大臣政務官(園田康博君)

議事内容につきましては原則として公開するということを考えております。

議事録あるいは議事要旨の公開でありますとか、あるいは議事自体の公開など具体的な公開の方法については、今後、この宇宙政策委員会の審議の中で踏まえて決定されるということになろうかと思います。

糸数慶子君

是非、議事内容は全て公開することを強く求めたいと思います。

日本の宇宙開発は、先ほどからありますように、2008年に宇宙基本法が成立するまでは平和の目的に限る、すなわち非軍事で進められてまいりました。この原則の下で、日本の宇宙科学は世界に誇る数々の成果を上げてまいりました。しかし、平和の目的に限るとする原則は宇宙基本法で覆されております。

今回のJAXA法の改定においては、平和目的の規定を外すことにより、JAXAが宇宙軍拡の研究開発を行う組織へと変容することになり、研究者の自由な発想や好奇心に基づいて行われてまいりました日本の宇宙科学の大切さが失われてしまうおそれがございます。この宇宙の軍事利用に道を開くことが日本の科学、外交、安全保障にどのような影響を及ぼすかについて十分な検討がなされたとは到底言えません。

宇宙飛行士の秋山豊寛氏あるいは科学ジャーナリストの小出五郎氏、そして国際政治学者の浅井基文氏らが呼びかけ人となって行われておりますが、その本法案に対する反対署名運動には多くの研究者、そしてJAXAの関係者、市民からの懸念の声が寄せられていることも事実です。

研究者からは、宇宙の軍事利用による研究成果の公表や情報の公開が妨げられることになるのではないか、JAXAと共同研究を行っている大学も巻き込まれるのではないかという懸念の声もございます。JAXA関係者からは、今までも軍用、民間用の区別はぎりぎりなところがあるが、我々の技術の軍事利用には反対という声も寄せられています。

原子力発電所の事故は、原発の危険性に警告を発する専門家の意見に耳を傾けず、御用学者を囲い込み、政治や経済の論理を優先したために起こりました。JAXA法の改定により、日本の宇宙開発が原子力開発の轍を踏むことになるのではないかと大変危惧しております。

したがって、私はこの法案は否決されるべきだということを申し上げまして、終わりたいと思います。