国政報告

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暴排条例の運用・代理訴訟の問題点

第180回国会 2012年6月19日 参議院内閣委員会(改正暴対法の参考人質疑 10分)

6月19日(火)、内閣委員会で改正暴対法についての参考人質疑が行われました。参考人は北九州市長の北橋健治、弁護士の疋田淳、慶應義塾大学法学部教授の小林節の3氏。
意見陳述に対して、私は①暴排条例の問題点②適格団体による暴力団事務所の使用差し止め請求の制度などについて質問しました。

糸数慶子君

無所属の糸数慶子です。

今日は、本当に貴重な御意見を承りまして、お忙しい中、三参考人に改めまして、限られた時間ではございますが、御質問させていただきたいと思います。

まず、暴排条例で禁止されている暴力団への利益供与について、どこまでが利益供与に当たるか戸惑う企業が多いというふうに聞いておりますが、企業の戸惑いに限らず、条例の課題に直面したこと、それからこの条例の問題点についてどのように考えるか、改めて御三方にまず一番目にお伺いします。

次に、疋田、小林両参考人にお伺いしたいと思いますが、本法案におきまして、国家公安委員会による指定を受けた都道府県暴力追放運動推進センターが、周辺住民に代わり暴力団事務所の使用差止めを請求できることとする制度が新設されていますが、日弁連会長は、人格権という一身専属的権利を任意的訴訟担当という制度により授権し得るかという疑問があるというその理由をおっしゃっており、この制度の導入について慎重を要するという声明を出しています。都道府県センターによる暴力団事務所使用差止め請求の制度についてのお考え、それをお二方にお伺いいたします。

そして、三点目、最後でございますけれども、これは御三方にお伺いいたしますが、暴力団から離脱した人への対応についてであります。暴力団を解体するためには、暴力団への規制強化だけでなく、暴力団から離脱した人又は離脱する意志を有する人へのケアも必要ではないかと考えますが、この法律におきましては、第二十八条に離脱の意志を有する者に対する援護等についての規定が定められておりますが、このような人への施策の現状や問題点、それを国に求めること等についての考えはおありかどうか、お伺いいたします。

以上、お伺いいたします。

委員長(芝博一君)

それじゃ、以上三点の質問でございますが、それぞれ順番にお願いいたします。まず、北橋参考人。

参考人(北橋健治君)

質問の趣旨をどれだけ理解しているかでありますが、利益供与の問題でありますけれども、自治体は、例えば市営住宅に入っている方には、暴力団組員をやめるかあるいは出ていただくかということを一人一人やっているんですけれども、そのリストを直接持っているわけではないわけですね。やはり情報というのは、この実態を承知されている県警察当局と連携を取ることによって、私たちが条例で定めた暴力団排除ということをしっかりと行うという手順でございます。

そういった意味では、暴力団にお金を出さない、暴力団を利用しない、暴力団を恐れないという、三ない主義と呼んで市民を挙げて暴追運動を展開しているわけでございますが、具体的にそういった密接交際の事実が指摘されるとか、そういった場合には指名停止といった処分を行うわけでございますが、福岡県警察と連携を密にいたしまして条例に沿って適切に事務を進めているところでございます。

離脱された元組員に対するケアをどうするかというのは、非常に重要な問題提起だと受け止めます。実際、私どもは、市営住宅に入っていらっしゃる方一人一人に組を抜けていただけないかというお話をしていくわけなんですけれども、なかなかうまくいかないことも多々あるわけです。これは、県知事を始め関係者で、よく行政同士で話をするんですが、やっぱり暴力団をやめた後に、それから職を得て生活をしていけるようなケア、配慮というのは大事な課題だというふうに認識を持っております。

北九州市は、実は法務省の、刑務所を出られた方の社会復帰を助ける公的施設を日本で初めて受け入れた地域でございまして、実は非行少年もそうなんですけれども、立ち直りを支えていこうという市民団体は非常に強く市民社会に根付いております。したがいまして、そういった方、やはり経営者の方の御理解もいただかないと就職口が見付かりませんので、そういった非常に温かいお気持ちを持って更生を手助けする方々もいますので、今日の先生の問題提起を受けまして、改めて、帰りまして、そういった経営者の方々との連携も考えながら、ケアの問題も具体化をしていきたいと思います。

委員長(芝博一君)

続きまして、疋田参考人、お願いいたします。

参考人(疋田淳君)

利益供与の問題でございますけれども、これは本法、暴対法の問題ではなくて、暴排条例上の事業者に対する利益供与禁止という問題だろうと思いますけれども、今現在各都道府県で条例が運用されています。その中で、告発案件、公表案件、多々出てきております。何が利益供与で何が利益供与ではないのか。つまり、例えば本当に小さな店舗の方が、たまたま来たお客さんに対して、あなた暴力団ですかというふうなことを本当にできるんですかというふうなことがありますけれども、これはやはり条例等をよく読んでいただいたら分かりますように、あくまでもできないことを事業者に対して求めているわけではありません。暴力団員であることを知って、そしてその行う取引行為が暴力団の威力を助長するという、そういうことがあって初めて利益供与違反となるわけですので、必ずしも事業者に対して過度なものを与えているというふうには思いませんし、今後、実例やまた都道府県のQアンドA等で事業者に対してこういう事例が利益供与になりますよということを積極的に発出していけば、おのずと分かっていただけるのではないかというふうに思います。

適格団体のいわゆる任意的訴訟担当という問題に関しましては、これは言わば一身専属的なものであってなじまないというような見解を実は私ども日弁連の方が出しておりますけれども、この点に関しましては、既に民事訴訟法学者において、一身専属的なものであっても、これはこのような団体訴訟に、いわゆる授権団体という形で行うことは可能であるという、いわゆる法理論的な問題点はクリアされているというふうに私どもも理解しております。

最後に、離脱支援でございますが、これはやはり何よりも経済状況が一番大きな背景にあることかと思いますので、やはり経済状況をきちっと好転させ、そして本人の強い意志の下に、行政を含めて、地域含めて支援していくということが必要だと思います。我々日弁連民暴委員会もこの離脱者支援というのは非常に大事なものだと考えておりますので、今後とも研究をして行政と一緒に対応していきたいというふうに考えております。

委員長(芝博一君)

続きまして、小林参考人、お願いいたします。

参考人(小林節君)

条例が全国的に完備したとき、私は印象として、ちょっとこれやり過ぎかなと思ったんですけれども、ただ、何というか、排除しなきゃならない危険が現にそこにあるという実態からしますと、国家として強い意思を示すことに意味があったんだと思うんですね。ですから、あとは現場での試行錯誤の中で徐々に出っ張りやへっこみを直していく、もう今回の法改正もそうですけど、そういうことの繰り返しで完成されていくもので、流れとしては私は賛成、今しております。

それから、例の訴訟の代理の問題ですけど、これもう民訴だという、こう決め付けなくたって私いいと思うんです。つまり、守っているものは個々の個人の人格権と言うから弁護士立てなきゃと、それもしかも制度として弁護士使うことになっていますし、これは言わば刑事訴訟ではないとしても行政訴訟、つまり公益の代言人がいていいと思うんですね。これはもう地域社会の安全という、個人を超えた公益を守るための闘いで、それのために個人が民訴の形で矢面に立って弾ぶち込まれたりするのは理不尽ですから公権力が盾で入るという、つまり、中間形態の訴訟が始まったと思えば理解できるわけで、既存の民事訴訟法という枠だけではなくて、民事訴訟と行政訴訟と刑事訴訟の中間地帯が生まれた。そこにはむしろ、だって刑事訴訟だって、被害者が訴えずに、被害者に代わって公益の代表の検察官が訴えてくれる、だから被害者、関係者は安全なわけでありますから。

そういう時代の中で変化した訴訟形態と御認識なさればいいんではないでしょうか。それを国会がそう決めてしまえばそれでいいわけでありますから。これ自体、憲法違反でも何でもないと思います。

それから、暴力団離脱者のケアの問題、私にとって一番触れてはならぬ、つまり、お付き合いはまずないし、それから行政経験もないですから、一番私は答える能力を持っておりませんので、これは下手なことを言って失礼になってもいけませんので、返答を辞退させていただきます。済みません。

糸数慶子君

終わります。