国政報告

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新型インフル対策で過剰な人権制限

第180回国会 2012年4月17日 参議院内閣委員会(新型インフルエンザ法 40分)

4月17日(火)、内閣委員会で新型インフルエンザ法案について質問しました。
①法制化は必要なのか②過剰な人権制限にならないか③放送の自律を保障できるか④沖縄など離島対策が中心でした。
③については、沖縄のメディアが災害対策基本法でも日本で唯一「指定公共機関」を拒否していることから詳細にわたりました。・報道内容は「総合調整」や「指示」の対象にならないこと・民間放送は「指定地方公共機関」にならないこと・登録事業者制度に「新聞社」も入るが「取材の自粛は想定していない」などの確認を得ました。

糸数慶子君

無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。

まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法案、法制化のまず必要性について大臣にお伺いをいたします。

本法律案は、新型インフルエンザ及び全国的かつ急速な蔓延のおそれのある新感染症に対する対策の強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするものですが、これは、新型インフルエンザ等の対策につき法制化する必要性は何なのでしょうか。

現在でも、新型インフルエンザ対策行動計画や新型インフルエンザ対策ガイドラインが実際に定められており、これに基づき対策を講じればよいと考えますが、あえて法制化する必要性について大臣にまずお伺いいたします。

国務大臣(中川正春君)

御指摘のとおり、行動計画があって、以前にも、それが三年前に運用されたということがあったわけであります。

そういうところも踏まえて、いろいろな先ほど議論が出ていましたけれども、反省点といいますか、そういうところのものも総合して、一つは、その行動計画等の実効性を更に高めていくということ。それから、特に知事会始め地方公共団体の方でも、そこのところは危機管理としてそれらの権限をはっきりさせていくということ、これが大事だというような御指摘もあったということ。それから、新たに法的整備が必要かどうかということについて、医師会、地方自治体だけではなくて医療関係団体、あるいは経団連や感染症等の学歴経験者から幅広く伺ったわけでありますが、これは一言で言えばあるにこしたことはないというようなことで法制化に踏み切っていったということであります。

その中で、行動計画だけでなくて、発生時の対策本部の法定化、これが一つ、それから指定公共機関制度というのをつくったということ、それから予防接種法や医療法の中での特例ということにこれはなっていくということ、それから国民生活及び国民経済の安定確保等の仕組み、こういうものも盛り込んで国会提出に至ったということでございます。

糸数慶子君

今御答弁いただきましたけれども、四月四日の本院の予算委員会におきまして、本日、委員外議員として舛添要一先生も御出席でございますけれども、そのときに質問されておりましたように、やはりもっと国民の意見を聞いてから進めるべきであって、拙速に法制化すべきではないという、私はその視点に立って順次お伺いしたいと思います。

まず、過剰な人権制限のおそれについてでありますが、やはり本法案は、新型インフルエンザ等が発生した場合に国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的としていますが、そのため政府がとる様々な措置が規定されておりますが、その中には国民の権利を制限する措置があります。

例えば、先ほども出ました外出自粛要請、それから興行場、そして催物等の制限の要請、指示、これは第四十五条です。それから、第四十九条の臨時の医療施設開設のための土地等の使用、さらには第五十四条、緊急物資の運送等などでありますが、この法案の第五条に、「新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。」と規定されています。

国民の生活を守るために新型インフルエンザ等対策のための措置は必要ですが、過剰な人権制限になってはならないというふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

国務大臣(中川正春君)

危機対応法制というのはいつも、それぞれ国民一人一人の権利というものと、それから危機対応に対するリスクというものに対しての国としての対応、いわゆる権力行使ということになるわけですが、それとの葛藤というのがあるんだというふうに思います。

今回の場合は、先ほど御指摘もあったように、法案第五条で、そうした中で国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するための必要最小限のものでなければならないという規定をかぶせております。あとは運用の中で、先ほど御指摘のあった集会場あるいは興行等々の制限をどの時点でどの地域にどういう期間適用していくかというふうな判断があって、それがどれだけインフルエンザの蔓延を後の方に遅らせていく、あるいはそれを、ピークを抑え込んでいくということに効果があるかという、そこの判断だというふうに思っております。

そこは絶えず専門家と会話を交わしながら政治判断が働いていくということになっておりまして、その点でもでき得る限り国民の権利の侵害がない配慮というのは必要だということをこの総論の中で押さえているということでありまして、そのように我々もこの法案の前提を考えていきたいというふうに思います。

糸数慶子君

この問題につきましては、先ほどもございましたけれども、日本弁護士連合会、日弁連の方が三月二十二日に、各種人権に対する過剰な制限がなされるおそれを含むものであると会長声明が出ていることもあります。

新型インフルエンザ等対策においては、人権制限は是非とも最小限になるように十分に配慮することを要求いたしまして、次の質問に移ります。

次に、感染症法やあるいは検疫法、新型インフルエンザ等対策として運用する場合でございますが、この新型インフルエンザ等対策に関連する法律としては、感染症法や検疫法があります。これらの法律を新型インフルエンザ等対策として運用する場合についても、必要最小限でしか人権を制限しないという解釈でよろしいのでしょうか。

平成二十一年度の新型インフルエンザ対策では、検疫法に基づいてなされた停留措置が、余り効果がないのに人権を過度に侵害するものとして問題視されました。あのときのような広範な停留措置はもう行わないということなのか、併せてお伺いしたいと思います。

政府参考人(外山千也君)

停留は、患者から感染したおそれのある方に入国せずに停留施設にとどまっていただくことにより、国内での感染の拡大を防ぐことを目指して実施する措置でございます。

平成二十一年の新型インフルエンザの発生時には、五月八日に機内検疫で三名の患者を発見、隔離し、その濃厚接触者約五十名を停留させ、停留中に発症した患者を一名確認したことにより、発生初期の段階でこれらの患者を端緒とした流行を防止できたものと考えております。

一方、停留の具体的な実施について、今年一月の専門家会議の意見書では、病原性が高い又は高い可能性があり、海外での感染の広がりが限定的な場合に限って、原則として患者と同一旅程の同行者に対象を絞って行うことや、合理性が認められなくなった場合には措置を縮小することが提言されております。こうした意見も踏まえまして、合理的な範囲で停留を実施することとしたいと考えております。

糸数慶子君

次に、放送の自律を保障することへの特段の配慮についてでありますが、実は、マスコミ関係者からはこの法律への懸念の声が上がっています。

新型インフルエンザ法の策定に当たり参考にされたのが災害対策基本法、これは一九六一年ですが、続きまして二〇〇四年、国民保護法によって、NHKや民放など放送事業者はこの二つの法律では首相が指定する指定公共機関あるいは都道府県知事が指定する指定地方公共機関に指定され、大規模災害や、それから他国から武力攻撃を受けた場合、放送を通じた協力の責務や義務が明記されています。

この新型インフルエンザ法でも、NHKは指定公共機関として条文に例示し、民放は知事が指定する枠組みを想定されています。これは、緊急時とはいえ、放送内容への関与は放送の自由を制約することから、行政機関から求められるその放送内容について、災害対策基本法では「予想される災害の事態」、あるいは国民保護法では「武力攻撃事態等の現状及び予測」などというふうに明記しています。一方、新型インフルエンザ法では、首相や知事に総合調整という権限を与え、これに応じない公共機関に対して必要な指示ができる形になっています。

そこでお伺いいたしますが、日本民間放送連盟は、本年一月、指定について、通常の業務範囲を超えて対策に寄与するよう求めるのであれば指定は無用との意見書を提出しています。衆議院での質疑では、園田政務官は、報道の内容を規制する構成になっていないというふうに答弁されていますが、放送内容は指示あるいは総合調整の対象にならないということでよろしいんでしょうか。

大臣政務官(園田康博君)

お答えを申し上げます。

先生御指摘のように、報道の内容につきましても、当然、この政府対策本部長等の総合調整であるとかあるいは指示の対象ということにはなっておりません。

衆議院のときもお答えさせていただいたんですけれども、放送法の第三条で申し上げますと、この放送法によれば、「法律に定める権限に基づく場合でなければ、」というのがございます。すなわち、もう既に事前にそういった法律、おっしゃるように災害対策基本法であるとか武力事態法のような法律によってあらかじめきちっとした形が決められているものでなければ、当然ながら、放送事業者は放送番組編集の自由を侵されないというもう既に規定がございますので、翻ってみて、今般の私どもの提出をさせていただいている新型インフルエンザ等対策の法律案につきましてはこのスキームにはなっていないということでございまして、報道内容の抑制にも当然ながら当たっていないということでございます。

糸数慶子君

次に、知事が指定する地方指定公共機関に民間放送を想定しているのでしょうか。それから、指定する可能性はあるのでしょうか。その際、指定公共機関や指定地方公共機関はどのような行動計画を作ることを求められているのでしょうか。お伺いいたします。

大臣政務官(園田康博君)

御指摘のように、指定公共機関となる放送事業者、これにつきましては、現段階においては日本放送協会、NHKでございますけれども、それ以外には想定をいたしておりません。

そして、なお、指定の地方公共機関につきましては、これは先生御指摘のように知事が指定する仕組みという形になっておりますけれども、この放送事業者を指定することは、民放については今、現段階においてもやはり想定はしていないという、ところでございますので、したがって、その指定された場合の云々かんぬんという、その過程も今の段階では私どもは考えておりません。

糸数慶子君

新型インフルエンザの感染予防のために、厚生労働大臣が国民生活及び国民経済の安定に寄与する事業者を登録し、首相の指示に基づき従業員や公務員らに優先的に予防接種をする仕組みである登録事業者制度に新聞社も入るのでしょうか。その際、取材自粛などの要請もあり得るのでしょうか。お伺いいたします。

大臣政務官(園田康博君)

新聞社がこの登録事業者に入るかどうかというお尋ねでございますけれども、これについては、この法律の二十八条のスキームからちょっと申し上げさせていただきますと、いわゆる二十年の九月の十八日に報告書が、取りまとめがございますけれども、先行接種の対象者と順位についての案をこの取りまとめ第一次案の中で盛り込まれたところでございますけれども、今般のこの法律案につきましては、政府行動計画において特定の接種の対象となる登録事業者の基準に関する事項を定めるというふうにまずさせていただいております。その具体的な内容につきましては、様々な事案が想定されますので、現段階においてどうだということは申し上げられないというのが現状でございます。

衆議院の段階でも大臣からお答えさせていただいておりますけれども、大体のそのカテゴリー分けについては申し上げさせていただきまして、例えばカテゴリーⅠにつきましては、これは感染拡大防止の被害の最小化に資する業種、指定の医療機関等々がまず挙げられるということは、この平成二十年のところでもございましたけれども、そういったカテゴリーⅠからⅡ、Ⅲといった想定はさせてはいただいております。

しかしながら、具体的にこれから、まさしく幅広い専門家の御意見であるとか関係者の御意見、そしてまた、やはり国民の御意見という形でパブリックコメントを付させていただきながら、その先行対象者、先行接種の対象者というものは決めていく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、現段階において、何かここが入っている、入らないといったことはまだ想定をしていないということでございます。

糸数慶子君

私がなぜこのような質問をするのかと申しますと、それは二〇一〇年に宮崎県で発生いたしましたあの口蹄疫をめぐる報道や、それから昨年の東京電力福島第一原発事故の報道では、現地での取材が規制されている中で、県や政府、東電からの情報に依存していた、いわゆる報道機関に対する国民のこの不信感、高まっている、その現状から危惧をして申し上げております。

今回の新型インフルエンザ法の枠組みでは、実際に発生した際、被害の実情を伝える報道の役割を果たせない可能性もありますし、やはり行政も報道機関も再び不信感を招いてしまうのではないかというふうに危惧しておりまして、この点を指摘いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

次に、国民への周知及び新型インフルエンザ等に関する情報の提供についてでありますが、本法律は国民の権利を制限する政府の措置が多く定められています。そのため、十分な国民への周知が必要ですが、第十三条に国民に対する啓発の規定があります。政府はどのような周知方法を考えているか、大臣にお伺いいたします。

また、いざ新型インフルエンザ等が発生した場合には、国民が慌てずに冷静に行動できるように正確かつ迅速に新型インフルエンザ等に関する情報を提供しなければなりませんが、国民への情報提供についてはどのような対策を取るのか、大臣にお伺いいたします。

国務大臣(中川正春君)

御指摘のように、この十三条というのは大事な規定だというふうに思っておりまして、この法案によって講じられる対策について正しく理解をしていただくということも併せて対策を進めていきたいというふうに思っております。

この法案においては、新型インフルエンザ等の予防及び蔓延の防止に関する知識の普及や理解の促進をしなさいということ、あるいは政府行動計画においても新型インフルエンザ等に関する情報を国民等に対して適切な方法により提供することについて定めているわけですが、これを前提にして、本法案で対象とする新型インフルエンザ等の内容、あるいは特徴、あるいは法案により講じられる対策、これについて、分かりやすいリーフレットの作成だとか、あるいは様々な機会をとらえた周知活動、そして報道機関等々も含めてそれを周知していく媒体、こういうのも工夫をしながら国民が十分理解できるように努めてまいりたいというふうに思っております。

また、新型インフルエンザ等の発生時については、国民や現場の医療関係者等に正しい情報が迅速に伝わるということが大切なことでありますが、コールセンターの設置、あるいはインターネットの活用、あるいは情報の受取手に応じた情報提供、これは改めてシステムを構築をしていくということを考えていかなければならないと思っています。

それから、対策の現場とのメール等によるリアルタイムかつ双方向の情報共有、こうしたものも含めて新たなICTを前提にした対策というのを講じていくということ、これが大切だというふうに思っております。

糸数慶子君

次に、沖縄など離島に対する対応についてお伺いしたいと思います。

インフルエンザは冬に寒い地方で広がりやすいというイメージがあるわけですが、平成二十一年の新型インフルエンザによる初の日本国内での死亡例は、八月、沖縄県内においてありました。そのことについては留意する必要があると思っておりますが、沖縄など離島地域におきましては、仮に新型インフルエンザ等緊急事態になった場合、本土と異なって周辺の自治体から応援が簡単ではない、あるいは物資それから資材などが不足した場合の供給に手間とコストが掛かるという事態が容易に想像されます。

政府行動計画において、新型インフルエンザ等の発生に備えて離島地域でどのような取組を進めていかれるのか、また指定公共機関等に対して離島地域での新型インフルエンザ対策についてどのような行動を求めていくのか、お伺いしたいと思います。

大臣政務官(園田康博君)

離島についてお答えを申し上げます。

その前に、先ほどの新聞社の取材について、ちょっと私の答弁が足らなかったものですから付け加えさせて申し上げさせていただきますと、取材の自粛の要請まで行うことができる、なるのかというお問合せ、御質問ではなかったかというふうに思いますけれども、そういったことの、取材の自粛の要請を行うということも想定はしていないということでございます。当然ながら登録事業者の中に新聞社が入ることも今後あり得るわけでございますけれども、もしそうなったとしても、取材の自由まで自粛要請をするということは想定していないということだけ付け加えさせていただきます。

その上で、今御質問ございました離島でございますけれども、当然ながら国が対策本部をつくり、そして都道府県も対策本部をつくっていただくという形になるわけでございますが、御指摘のように、離島地域においてはその都道府県だけでなかなか対策が講じられないといった部分もあるかと存じます。

そういった部分には、逆に都道府県が国に対して対策の実施に関して必要な要請をすることができるという規定がございます。それに基づきまして、恐らく都道府県が国に対してその要請をしていただければ、当然ながら国がしっかりと、国とそれから都道府県とで一体となってその対策に、迎え撃つという初動体制を取っていくという形になっていくのではないかというふうに思っております。こうした枠組みなどを活用して、沖縄等の離島地域においても当然ながら新型インフルエンザ等対策が的確かつ迅速に実施されるように万全を期していきたいというふうに思っております。

また、離島地域の指定公共機関に対してどのような対応を求めるかというお問合せでございますけれども、基本的には当該の法人の本来の業務を、これを継続して実施していただくというのが大変重要なことではないかというふうに思っておるところでございまして、この当該の地域の実情に応じて、発生時の状況等を踏まえてしっかりと検討されていくというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。

次に、法案の第六十二条ですが、これ、停留のための施設の強制的な使用の場合などについては、先ほども出ておりましたが、損失をやはり補償することとしていますが、広範に国民の権利を制約する法案である割には損失補償の対象となる事柄が少ないように見受けられます。国民の権利を制約するにおいて、どのような場合に損失を補償し、どのような場合は損失補償を要さないと考えていらっしゃるのか、本法案に則してお示しをいただきたいと思います。

また、医療関係者におきましては、第三十一条の要請等に基づいて医療に従事して死亡等の結果が生じた場合、損害補償の対象となっていますが、地方自治体や指定公共機関の職員が新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に際して感染し、死亡等の結果が生じた場合の損害補償については規定されていません。通常の労災のような扱いで済ませるような考え方で緊急時に必要な人員が確保できるのでしょうか。また、医療関係者への補償も手厚くしなくては医療行為が確保できない懸念もございます。

医療関係者、それ以外の職員に被害が生じた場合に国は責任を持って賠償するのか、お伺いをいたします。

副大臣(後藤斎君)

先生から御指摘をいただいたように、今回の法律の六十二条一項におきまして、都道府県知事が臨時の医療施設を開設するため所有者の同意なくして土地等を使用した場合や、所有者の同意なく物資を収用した場合などにその損失を補償しなければならないというふうに規定をしております。

通常、このように同意なくして土地を収用したり物資を収用するということについては、当然のことながら、特定の個人に対する特別の犠牲ということで社会的制約として受忍すべき限度を超えているというふうな場合、その損失を補償するというふうな形になっております。

一方で、先ほど来これも御議論にありますように、施設の使用制限や催物の開催制限につきましては、興行場等が大規模な蔓延の原因になるということ、さらには新型インフルエンザ等緊急事態宣言が行われた場合実施されるものというふうに限定をされます。

この部分につきましても、国民の生命、健康の保護の観点、それから元々催物の開催自体が自粛をされるということと、期間が先ほどもお答えをしているように一時的ということで、新型インフルエンザの感染力の強さや国民の多くが影響を被るということも踏まえて、その損失を補償するという規定は置いておりません。

さらに、先ほどこれも御議論があったように、そのままではなかなか、その後の経済的損失がある場合、お仕事等が継続できないという部分につきましては、第六十条の規定を設けまして、特別な融資というふうな規定を設けさせていただいているところでもございます。

もう一点の、先生が御指摘の医療関係者に対する補償制度というのは、当然のことながら直接患者さんと接するということで、他の社会機能維持業務と比較して異なる特殊な部分で直接発症、感染というリスクが極めて高い、感染リスクの高さという点の着目、さらには患者さんへの医療提供というものは感染拡大と発生による健康被害を最小限に抑えるため極めて重要な業務という業務の特殊性という、この二つに主に焦点を当てて医療従事者に関する補償、損害補償という制度を設けさせていただいております。

そういう意味では、一般の公務員の方々や指定公共機関の従業員の方々、これは知事の要請を受けて対応している医療関係者の方々とは当然異なりますので、そういう意味で、医療関係者とは差を設けながら、それ以外の、その業務が同様の感染リスクの高さや業務の特殊性を伴うものではないというふうに判断をして特別の補償制度を設けていないということで整理をさせていただいたところでございます。

糸数慶子君

次に、新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書についてお伺いしたいと思います。

本年一月三十一日に厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議におきまして、新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書が取りまとめられました。これは、平成二十一年に発生した新型インフルエンザから得られた知見、教訓を踏まえてガイドラインの見直しについて意見を取りまとめたものと承知しておりますが、その内容につきまして何点か御質問させていただきます。

まず、水際対策についてでありますが、水際対策は効果が薄いといった意見がありますが、飛行機や宿泊施設における停留は国民の活動を大きく制限するものであり、必要最小限のものでなければならないと思います。

ガイドラインの見直しに係る意見書にも、水際対策につき合理性がなくなった場合は停留措置を縮小することが記載されていますが、水際対策は国内発生をできるだけ遅らせるための効果があるにしても、国民を何日間か引き止めておくことは多大な人権制限につながるおそれがあります。そのため、停留等の措置は、実施するのであれば科学的知見に基づき必要最小限の範囲で行わなければならないと考えますが、厚生労働省の見解をお伺いいたします。

政府参考人(外山千也君)

平成二十一年の新型インフルエンザに対する水際対策の科学的証拠といたしましては、発生後に行われた海外の研究によりまして、日本を含めた検疫の実施国において国内感染をある程度の期間遅らせる効果があった可能性を示唆する結果が報告されております。また、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議におきましては、水際対策は海外での感染の広がりが限定的である場合等に侵入遅延に有効となる可能性が期待できる対策であるとの意見をいただいております。

こうした専門家の意見等を踏まえまして、ウイルスの病原性や感染力、海外の状況等の情報を勘案して合理的な範囲で水際対策を実施することが重要であると考えております。

糸数慶子君

次に、パンデミックワクチンについてお伺いいたします。

海外で新型インフルエンザが発生いたしますと、当該インフルエンザに効くワクチンを日本国内でも製造しなければならなくなります。国際機関を通じて、発生したインフルエンザの株を入手し、ワクチンを製造し、国民に接種することになりますが、今現在、海外で新型インフルエンザが発生し、国民に接種できるまで何か月掛かるのでしょうか。

また、新しいワクチンの製造法の研究開発状況、またワクチンの生産ラインの整備について、先ほどもございましたけれども、改めまして厚生労働省にお伺いいたします。

政府参考人(外山千也君)

新型インフルエンザ発生時には、ワクチンの製造の着手までにWHOの推奨株の決定やワクチン製造用の株の開発などに二か月程度掛かることが見込まれております。また、ワクチン株の増殖のしやすさによって変動する可能性はございますけれども、現在、開発に取り組んでいる細胞培養法による生産体制が整備された場合には、製造に着手後三か月程度で最初のワクチンを出荷でき、六か月程度で全国民のワクチンの生産ができるようになると想定しております。

国民への接種につきましては、ワクチンの生産と同時並行で実施することとしておりまして、最初の出荷後速やかに接種を開始し、集団接種を基本に、可能な限り速やかに全国民への接種を完了できるようにしたいと考えております。

また、細胞培養法による生産体制の整備事業につきましては、これまでのところ、平成二十一年度補正予算で合計一千百九十億円の基金を創設いたしまして、第一次事業では平成二十二年七月に四事業者を採択し、実験用工場の整備等を実施いたしまして、第二次事業では平成二十三年八月に四事業者を採択し、実生産工場の整備等に取り組んでいるところでございます。

厚生労働省といたしましては、この事業を着実に進め、平成二十五年度中を目途に新型インフルエンザワクチンの新たな生産体制を整備できるよう最大限取り組んでまいりたいと考えております。

糸数慶子君

次に、仕事を休めない保護者対策についてでありますが、新型インフルエンザが蔓延いたしますと学校あるいは保育所などが臨時休業となる場合が想定されます。その場合、保護者が仕事を休むことができればよいのですが、どうしても仕事を休めない保護者も存在すると考えられます。その場合の対応は今般のガイドラインの見直しでどのようになったのか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(外山千也君)

今年一月に取りまとめられました新型インフルエンザ専門家会議の意見書では、事業所、事業者が新型インフルエンザの発生に備えた業務継続計画を策定する際には、学校や保育施設等の臨時休業による保護者の欠勤についても見込むことが求められるとしております。一方、社会機能維持等のためどうしても乳幼児等に付き添えない保護者もおりますことから、可能な範囲でファミリー・サポート・センター事業等を活用すること、それから医療従事者や社会機能維持者の事業所内保育事業につきましては臨時休業の例外として対応すること、感染拡大防止策そのものの効果が減弱する可能性も十分に考慮した上で、一部保育施設の部分的な開所について認めることなどの例示が示されているところでございます。

厚生労働省といたしましては、こうした意見書の内容も踏まえまして必要な対応を検討していきたいと考えております。

糸数慶子君

次に、平成二十一年の新型インフルエンザでは日本の死亡率は諸外国に比べて低かったというその理由の一つとして学校閉鎖が挙げられますが、確かに学校閉鎖は死亡率を抑えることに大きく貢献いたしましたが、一方で過剰であったとの批判もあると聞いております。学校閉鎖のような国民の権利を制限する対策は必要最小限とするべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

国務大臣(中川正春君)

実際の運用の中で必要最小限にしていくということ、これはそういうことだというふうに思っております。

この中で、第五条、前にも紹介しておりますように、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するために必要最小限のものでなければならないという、これが基本になるわけであります。

この長期の要請、指示というのは、病原性の高い新型インフルエンザが国内で発生した場合等の新型インフルエンザ等緊急事態宣言の対象区域にまず限って発動可能であるという枠組みが一つあるということ、これが法案第三十二条ですが。それから次に、潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して定める期間に限って行うこと、これは法案の第四十五条第二項。それから、関係者が指示に従わない場合であっても、これを罰則は設けていないということでありますが、そういう具体的な前提の中で過剰な対応を取らないように配慮をしているというふうに考えております。

糸数慶子君

最後の質問になりますが、生活関連物資等の買占めあるいはその売惜しみに対する対策、つまりパニック対応についてでありますが、新型インフルエンザの蔓延によって生活関連物資等の需要が一時的に高まり、価格の高騰、それから事業者による買占め、売惜しみが生じる可能性があるわけですが、政府としてはどのような対策を考えているのでしょうか、お伺いいたします。

副大臣(後藤斎君)

三年前の平成二十一年の新型インフルエンザのときにもお店から、特に薬局からマスクが消えたということで、私は余り買った記憶がないんですが、それがかなり全国的に行われました。そういう意味では、昨年の三・一一の東日本大震災以降でも、かなり数週間にわたって、首都圏の中でもそうですし、私、山梨に住んでおりますが、山梨でもそういうことが行われました。

今回のこの法案では、御案内ですが、五十九条に生活関連物資の価格の安定等という項を規定を置かさせてもらいました。そういう意味では、病原性の高い新型インフルエンザが発生したときに、先生御指摘のように、生活関連物資の供給不足や、その不安等を理由とした物価の高騰、買占め、売惜しみ等が発生しないように、国民生活、国民経済に大きな影響を与えないような形を、当然のことながら、関連法令とも連携をしながら適切に対応していくということが政府に課せられた大きな役割だというふうに認識しております。

糸数慶子君

時間ですので終わりたいと思いますが、先ほど園田政務官が追加してお答えになりましたように、報道に関しましてはやはり感染防止の陰で表現の自由を侵害するようなそういう状況が起こらないように改めて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。